金塊を探せ!

たからかた

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立て札に注意

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私の名はコパン。

名の知れた金塊ハンターだ。

私の相棒はこのツルハシと、犬の『ゴールド』。

今日も金塊を求めて、この『イカンキ』国へやってきたのだ。

今日はあの山にしよう。

私は金塊の匂いに惹かれるように、ある山へと向かう。

愛犬ゴールドが反応した。

どうやらこの山に金塊が眠っているようだ。

喜んで山に登ると、立て札がある。

なになに?

『金塊はこの山にはない!
帰れ!』

だと?

ふふふ。

露骨な立て札だ。

つまり、あるということだろ?

私はそのまま歩いていく。

また、立て札があった。

『金塊はない!
ないってば!』

おろろ。
えらく必死だ。

さては独り占めしたいんだな。

そうはさせるか。

そのまま歩き続ける。

またまた、立て札があった。

『金塊はないの!
あー、もう!!』

なんだ、あー、もう!て。

投げやりになってきたな、この立て札。

立て札の向こう側には、トンネルが見えてくる。

鉱脈の入り口だろう。

私はツルハシを握りしめて、トンネルへと向かう。

トンネルの入り口に最後の立て札があった。

『負けたよ。
中へどうぞ。』

おや。
諦めたか。

しかしなーんだ?
この立て札。

来るなと言われれば行きたくなるが、どうぞと言われると、なんとなく疑ってしまう。

・・・、ホントにいいのか?

愛犬ゴールドを見る。

あれ?
ゴールド?
いない?

周りを見渡すと、遥か後ろの方でフセをして座り込んでいる。

耳が後ろに倒れて、震えているのがわかる。

・・・、なんだよゴールド。
なんでこない?

そう思って前を見ると、トンネルが大きくなったり、小さくなったりしている。

なんだよ。
まるで生き物の口みたいじゃないか。

そう思っていると、中から舌のようなものが伸びてきた。

腰に巻きついてくるので、ツルハシを振り下ろす。

おや!
ツルハシが跳ね返される。

やばい・・・なんかやばい!!

ゴールド!

助けて・・・!

ゴールドは怯えて、逃げていくのが見える。

あー、うそ!
お前の忠誠心はそんなものか!?

ど、どうしよう!!

おっと!
足が浮き上がる!!

あ、そうだ。
ダイナマイトがあったんでした。

慌ててリュックから取り出して、火をつけると、トンネルの中へ放り込んだ。

ドッカーーーーーーーーン!!!

大きな音がして、たちまちトンネルの中から煙が立ち上り、私を捕まえていた舌がゆるんで下に落ちた。

慌てて離れると、中から巨大なヤドカリが出てきた!

うぉー!
こいつはトンネルを貝殻の代わりに住処にする、アナヤドカリの妖怪!!

金塊目当てにきた鉱夫たちを、餌にしていたな?

危なく食われるところだった。
私はトドメにもう一つダイナマイトを取り出すと、アナヤドカリの妖怪の口の中に放り込んだ。

ドドーーーーーーーン!!

ようやく息絶えたようだ。

私は先に逃げたゴールドを呼び戻し、再び穴へと向かった。

もう大丈夫だろう。

ゴールドも怯えていないな。

私は中に入ると、崩れかけた穴にツルハシで掘り進んだ。

出てこい!
金塊め!

・・・数時間が過ぎた。

はい、だめでした。

こら、ゴールド!
金塊のにおいがしたんじゃないのか!?

え?

違う?

間違えただと?

もぅ、しょーもない。

明日があるさ、よし!次だな。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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