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※お前も黒竜なのーか!?(ノアム視点)

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私は、あれから脱走計画を練っていーた。
下働きをしていて、情報も多く得ることができーる。

この島を出入りする船がやってくる時間や、どんな積荷をいつ積み込むのーか。

かかか。
積荷に紛れ込んで、島を出ーる!

こんな素晴らしい計画が立てられるのは、世界にただ一人、この私ーだ!!

ん?
脱走計画あるあるだーと?

・・・。
ほっといてくーれ。

とにかく、問題は出たあとなのーだ!

私が返り咲くには、手柄がいーる!
何かこう・・・大巫女シェーラが平伏すような凄い情報があればーな。

そうすれば、テルシャを追い落とし、私が理事長の席に座れるのーだ!!

ふははは!

今、世界は何やら、淀みとかいう化け物が、各地に姿を見せているとゆーう。
それと同時に、疫病まで流行りだしたとか。
流石に、隣国との国境付近のいざこざも収まり、共闘体制を敷くのだとーか。

ま、誰もが命は助かりたいからーな。

何やら軍が対抗武器を持っているらしく、今のところ市民にさほど被害は出ていないよーだ。

それにしても、いつの間にそんなものが生まれていたのだろーか。

千年前の淀みが、時を超えてやってきたとしか思えんーわ。

・・・。
ん?

千年前の・・・?
まさか、まさか!

ハーティフが、そんなことできるわけがなーい。

過去の歴史を変えれば、今も変わってしまうではないーか。

千年前の淀みは、全て先代の漆黒の狼のアムが、仕留めたと聞ーく。

つまり、今の淀みは別物ーだ。
そうだろーう!?

「・・・い。」

うるさい、今考え中ーだ。

「おい、あんた。」

何度も呼ばれて流石に頭にくーる。

「なんーだ!?
私はこの崇高な頭で考え中・・・。」

振り向くと、そこには目を奪われそうな美青年が立っていーた。

おおおお!?

漆黒の長い髪。目鼻立ちの整った顔。

何という美しいー男!

ん?
誰かに似ていーる?

「あんた、ここの人?
今の時代はいつなんだ?
俺は淀みたちを追って、ここに来たんだ。」

美しい声で、その美青年に質問されて、素直にほいほいと答えーる。
なんていいー声!

「・・・そうか。
俺は千年後の未来に来たんだな。
ということは、この時代の漆黒の狼は無事か?」

その美青年は、真剣な顔で聞いてくーる。

「あぁ、リタのことーか。
今、上の次元にいるーぞ。」

と、私がめろめろになりながら、言うと、

「リタ?
・・・そうか、次は雌か。
この世界にいないなんて、何かあったのか?」

と、また質問される。
見つめられて、私は幸せーだ。

もちろん包み隠さず全部話しーた。

美青年は、みるみる表情を変えて、私を睨みつけーる。

「お前・・・!
兄弟で何てことしやがった!
そんなことの始末のために、リタは精霊界へ行くのか!?」

と、言われて私は怯みながらも、

「と、とにかくーだ。
各世界で、淀みたちが暴れていーる。
千年前は、漆黒の狼のアムが全て倒したらしいが、今は新しい武器があって、対抗できているそーだ。
心配なーい。」

と、答えると、その美青年は首を振ーった。

「おそらくダメだ。
俺の時代の淀みは、神喰いの乱から二千年の間に濁ってできたもの。
それだけの淀みは、武器に吸い込んで太陽の光で焼いても浄化しきれず、時が経てば新たな淀みが生まれてしまう。」

「ま、まさか。
ハーティフはそれがわかっているから、対抗武器が淀みを倒しても、静観していーる?」

「多分な。
それに千年前の淀みの数は、相当な数だ。
しかし、そのハーティフとか言う奴の企みが絡むなら・・・。」

その美青年は、考え込んでいーる。
まさか・・・こいつは・・・。

「お前・・・アムなのーか?
千年前の漆黒の狼ーの?
淀みを平らげて、最後は闇の商人に狩られて毛皮になったといーう。」

その言葉に、アムは顔を上げーた。

「毛皮?
俺は未来でそうなるのか?」

そう言われて、頷ーく。

「そうか・・・。」

悲しそうな顔・・・。
美青年がこんな顔しても美しーい。

アムは何かを振り切るように、その顔を横に振ると、
「この時代の大巫女に会わせてくれ。」
と、言ーう。

私は精霊の神殿を教えてやーった。

「道案内しろ。
振り落とされるな。」

アムは目の前で、リタのように黒竜へと変わーった。

うぉぉぉー。
リタとはまた違う迫力!

だが、すぐに体を透明化して、見えなくすーる。
こんなことまで、できるのか!?

「ハーティフとか言う奴に見つかれば厄介だ。
このまま神殿へ行く。
行くぞ!」

私は鬣に捕まって、空を飛ーんだ。

素晴らしーい!!

私はあっさり石切場を抜け出したのーだ!!

アムは神殿に着いて狼の姿になると、暫く座り込んーだ。

・・・疲れたのーか?
アムは呼吸を整えて、やっと立ち上がーる。

すぐに大巫女シェーラに会いに行ーった。

「人払いしてくれ。」

アムは大巫女シェーラに会うと、すぐにそう言ーう。

「は、はい。
でも、信じられない・・・。
同じ時代に黒竜が二体存在するなんて。」

大巫女シェーラは、驚愕していーた。
私のおかげだーぞ?

「俺は千年前、淀みたちを倒していた時に、いきなり淀みたちが時空の狭間に吸い上げられるのを見た。
俺は奴らの後を追うために、当時の天王の力を借りて、ここに来ている。」

と、アムが説明しーた。

「おそらくは、ハーティフがやったとは思いますが、この時代の時の精霊は、核が抜けて不安定な状態。
こんな大きな魔法は、外郭の崩壊に拍車をかけるかもしれません。」

と、大巫女シェーラが青い顔で話す。

「彼女は、それほどの霊力があるのか?
まさか・・・俺の毛皮を使ってるのか?」

「・・・!!
お、おそらくはそうかと。
時の力はリタか、三界の王にしか使えないはず。
いくら元巫女とはいえ、何もなしにはできぬでしょう。」

「・・・やれやれ。
人間は、ろくなものに毛皮を使わないよな。」

「・・・申し訳ありません。」

大巫女シェーラは、深々と頭を下げていーた。
アムはため息をつく。

「淀みは、俺が全てこの身の内に喰らって始末する。
そして、元の時代へと戻る。
その前に、リタには時の精霊の核を戻してもらわなくてはならない。」

「えぇ、それはそうなのですが・・・。」

「ハーティフは相当手強そうな相手だな。」

「はい。」

「話を聞く限りでは、リタはまだ覚醒して間もないようだ。
俺はこの時代の黒竜じゃない。
下手に淀み以外に関われば、混沌の神がリタを吸収して、俺をこの時代の黒竜として存在させようとするかもしれん。」

と、アムが言ーう。
そうなると?
リタはいなくなーる?

「だから、淀み以外に俺は積極的に関わらない。
でも、黒竜としての力の使い方を、伝えられるものなら、伝えたい。
上の次元にいるのだろ?」

「は、はい。」

「次元の扉を開いてくれ。
そして、大巫女からも前もって上の次元に伝えておいて欲しい。」

と言っている。

おおおお!
歴史上、黒竜同士が出会ったことはなーい!!

これは、これは見たーい!!

大巫女シェーラが、頷いて扉を開ーく。

アムはすぐさま、姿を消しーた。

・・・え?

わ、わ、私は?

「ノアム元理事長、ご苦労様でした。
石切場へ戻りなさい。」

と、大巫女シェーラが言ーう。

え?
これは手柄でしょー?

「各地で淀みが出現して忙しいのに、あなたの相手までしてられません!
お戻りなさい!」

私はあっという間に戻されーた!
なんでじゃー!!

私はいつもの下働きに戻ーった。

そうしていたら、石に躓いて骨を折ーった。
いったぁぁぁぁーい!

これで終わればよかったのだーが・・・。




























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