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森での討伐5
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ティーロさん達が無事に保護された後は森から少しでも街に戻る為に野営していた場所を片付けて街へと急いだ。
魔物の討伐は二体もあるので思った以上に討伐までに時間がかかり、結局その日のうちには森を抜けることが出来ずもう一晩野営することになったが、街に近い方が危険な魔物に遭遇する率が下がるので、少し大変だったけれど夕刻近くまで歩いた。
怪我をしていた青年は出血はしっかり止めて表面上は大丈夫だけど、歩く度に痛みがあるのか苦しそう。
木の根が地面の上を這うように出ているので歩く時に気を付けないと転んでしまうかもしれない。
可哀想だけど、この痛みがなければ森への警戒心を養うことなく無謀に森に入る青年になってしまってはいけないので、あえて痛みは消していなかった。
野営地では昨日と同じようにアルフォ様の指揮官のテントと聖女のテントを中心に騎士達のテントが設営されていたんだけど、領民達のテントは騎士達のテントよりは手前に設営された。
本当はティーロさんの所に会いに行きたいけれど、私が会いに行ったらカーリンさんとティーロさんの仲が疑われてしまう事になりかねないから行けない。
ヴェールを外せないので聖女はテントの中で一人静かに食事するってことになってて、皆がワイワイ食事している音だけをテントの中で聞いてました。
ティーロさん寂しいよ・・・
「聖女様よろしいでしょうか?」
食事が終り、あまり外に出るとボロが出るかとテントの中に居たらアルフォ様の声がした。
「はっ、はい、どうぞ」
どうしたんだろう?
テントの入り口からアルフォ様が少しだけ体を中に入れて小声で訊ねてきた。
「魔物討伐時にちゃんとお礼が言えてなかったから改めてお礼を言いたくってね」
「わざわざそんな、私の方こそお礼をきちんと伝えていません。ティーロさんを助けて頂きありがとうございました」
行方不明の領民の数が多かったこともあり、討伐隊が時期を少し変更してくれたこともあり助かったのだ。
あのままあの岩場に隠れていたら数日で捕食されていただろう。
「領民を護るのが私達の仕事の一つだから私だってお礼を言ってもらう必要はないよ」
「でも・・・」
「とにかく今回の討伐感謝している。もしよければ次回の討伐も今回の聖女様に参加して欲しいな」
「それはちょっと・・・」
この仕事は本来は聖女の仕事なので、私がやるべき仕事ではないから次はないと思うんだ。
周りに聞こえないように小声で話しているけれど、明日の解散後のことも教えてくれた。
聖女は騎士達と領主の下へ討伐終了の旨を報告に行くのが習わしらしく、それだと流石に領主の前ではヴェールを取って挨拶しなければならず、とっても不味いことになる。
何らか理由をつけて領主の下へと報告に聖女だけ行かなくていいようにしてくれるって。
アルフォ様ありがとうございます。
「あまり長く話すと聖女様と私の仲が疑われてしまうな・・・」
嬉しそうにアルフォ様がこちらを見ているけれど、そうだ!アルフォ様とカーリンさんの噂が流れてしまうかも。
「カーリンさんと急接近って・・・」
その事を言おうとしたらアルフォ様はさっとテントから身を出した。
何を思い出したんだろうか慌てていた?
「では次回の件ご検討ください」
そう告げると聖女のテントからサーっと離れてしまった。
カーリンさん・・いったい何をしたのかしら。
翌日は無事に森を出る事が出来た。
領民達と聖女は街の外れに留まり、私は今度は神殿からの使いの馬車が来ていてそれに乗って帰った。
その場で解散となり、討伐隊の騎士は領主の屋敷の敷地にある騎士団の本部へと戻り、領民達は迎えに来ている家族との再会し治療院へ向かうそうだ。
私もティーロさんと家に帰りたかったが、神殿に帰るまでがカーリンさんなのだ。
神官様とペトラさんは討伐参加を労ってくれて、しばらく休むようにって言ってくれた。
神官様の話では、魔物の森で死ぬかもしれない体験をすると、その恐怖から数日して精神的に不安定になってしまう人もいるとか。
だから少しティーロさんが落ち着くまで私もゆっくり支えてあげるようにって。
確かにあの魔物は・・・トラウマになるかもしれないわ。
私の帰りが遅かったら家に帰ったティーロさんがわざわざ迎えに来てしまうかもしれない。
ペトラさんの部屋の隣に置いてある私の荷物を慌てて荷造りして、お言葉に甘えて家へと急いだ。
◇◇◇
数日間空けていた家に着くと先ずは窓を開けて換気をし、それからお風呂の準備をした。
まだ帰っては来ないだろうからこの間に急いで入浴を済ましてから、またお風呂のお湯を新しく入れ替えた。
二日ぶりのお風呂は気持ちよかった。
食事の用意をしていたら、扉を叩く音がして台所の火を消して慌てて玄関へと迎えに出た。
ティーロさんもようやく解散になったみたいで、急いで帰って来てくれた様子だった。
「ただいまマナ」
「おかえりなさいてティーロさん」
私はやっとちゃんと会うことが出来たティーロさんと、いつものように向かい合う事が出来たのだ。
「心配かけてすまなかった」
ティーロさんは謝りながらいきなり私の体を引き寄せて抱きしめた。
突然の事で驚いたが、ティーロさんの腕の力は思った以上に強くって腕の中から抜け出せない。
びっくりした!!
神官様の話していた精神的な不安・・・?
いつものティーロさんであれば取らないような行動だったから驚いたけれど、私がもしティーロさんのように魔物に捕食されるかもしれない極限状態から解放されたらやっぱりティーロさんに抱きついていたかもしれない。
だって、もしかしたらもう二度と会えなかったかもしれないから。
よかった・・・
本当にティーロさんが助かってよかった。
その想いを込めて私もティーロさんの背中に腕をまわし玄関先で抱き合っていた。
しばらく経ってもティーロさんは離れてくれない。
そろそろ離れて欲しい・・と思って体を離そうとするとギュっと更に抱き込まれてしまうので、だんだん苦しくなってきたのよね。
「ティーロさん苦しいです」
離してもらうよう何度かお願いして、最終的には早くお風呂に入るよう急かしてようやく解放されました。
魔物の討伐は二体もあるので思った以上に討伐までに時間がかかり、結局その日のうちには森を抜けることが出来ずもう一晩野営することになったが、街に近い方が危険な魔物に遭遇する率が下がるので、少し大変だったけれど夕刻近くまで歩いた。
怪我をしていた青年は出血はしっかり止めて表面上は大丈夫だけど、歩く度に痛みがあるのか苦しそう。
木の根が地面の上を這うように出ているので歩く時に気を付けないと転んでしまうかもしれない。
可哀想だけど、この痛みがなければ森への警戒心を養うことなく無謀に森に入る青年になってしまってはいけないので、あえて痛みは消していなかった。
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本当はティーロさんの所に会いに行きたいけれど、私が会いに行ったらカーリンさんとティーロさんの仲が疑われてしまう事になりかねないから行けない。
ヴェールを外せないので聖女はテントの中で一人静かに食事するってことになってて、皆がワイワイ食事している音だけをテントの中で聞いてました。
ティーロさん寂しいよ・・・
「聖女様よろしいでしょうか?」
食事が終り、あまり外に出るとボロが出るかとテントの中に居たらアルフォ様の声がした。
「はっ、はい、どうぞ」
どうしたんだろう?
テントの入り口からアルフォ様が少しだけ体を中に入れて小声で訊ねてきた。
「魔物討伐時にちゃんとお礼が言えてなかったから改めてお礼を言いたくってね」
「わざわざそんな、私の方こそお礼をきちんと伝えていません。ティーロさんを助けて頂きありがとうございました」
行方不明の領民の数が多かったこともあり、討伐隊が時期を少し変更してくれたこともあり助かったのだ。
あのままあの岩場に隠れていたら数日で捕食されていただろう。
「領民を護るのが私達の仕事の一つだから私だってお礼を言ってもらう必要はないよ」
「でも・・・」
「とにかく今回の討伐感謝している。もしよければ次回の討伐も今回の聖女様に参加して欲しいな」
「それはちょっと・・・」
この仕事は本来は聖女の仕事なので、私がやるべき仕事ではないから次はないと思うんだ。
周りに聞こえないように小声で話しているけれど、明日の解散後のことも教えてくれた。
聖女は騎士達と領主の下へ討伐終了の旨を報告に行くのが習わしらしく、それだと流石に領主の前ではヴェールを取って挨拶しなければならず、とっても不味いことになる。
何らか理由をつけて領主の下へと報告に聖女だけ行かなくていいようにしてくれるって。
アルフォ様ありがとうございます。
「あまり長く話すと聖女様と私の仲が疑われてしまうな・・・」
嬉しそうにアルフォ様がこちらを見ているけれど、そうだ!アルフォ様とカーリンさんの噂が流れてしまうかも。
「カーリンさんと急接近って・・・」
その事を言おうとしたらアルフォ様はさっとテントから身を出した。
何を思い出したんだろうか慌てていた?
「では次回の件ご検討ください」
そう告げると聖女のテントからサーっと離れてしまった。
カーリンさん・・いったい何をしたのかしら。
翌日は無事に森を出る事が出来た。
領民達と聖女は街の外れに留まり、私は今度は神殿からの使いの馬車が来ていてそれに乗って帰った。
その場で解散となり、討伐隊の騎士は領主の屋敷の敷地にある騎士団の本部へと戻り、領民達は迎えに来ている家族との再会し治療院へ向かうそうだ。
私もティーロさんと家に帰りたかったが、神殿に帰るまでがカーリンさんなのだ。
神官様とペトラさんは討伐参加を労ってくれて、しばらく休むようにって言ってくれた。
神官様の話では、魔物の森で死ぬかもしれない体験をすると、その恐怖から数日して精神的に不安定になってしまう人もいるとか。
だから少しティーロさんが落ち着くまで私もゆっくり支えてあげるようにって。
確かにあの魔物は・・・トラウマになるかもしれないわ。
私の帰りが遅かったら家に帰ったティーロさんがわざわざ迎えに来てしまうかもしれない。
ペトラさんの部屋の隣に置いてある私の荷物を慌てて荷造りして、お言葉に甘えて家へと急いだ。
◇◇◇
数日間空けていた家に着くと先ずは窓を開けて換気をし、それからお風呂の準備をした。
まだ帰っては来ないだろうからこの間に急いで入浴を済ましてから、またお風呂のお湯を新しく入れ替えた。
二日ぶりのお風呂は気持ちよかった。
食事の用意をしていたら、扉を叩く音がして台所の火を消して慌てて玄関へと迎えに出た。
ティーロさんもようやく解散になったみたいで、急いで帰って来てくれた様子だった。
「ただいまマナ」
「おかえりなさいてティーロさん」
私はやっとちゃんと会うことが出来たティーロさんと、いつものように向かい合う事が出来たのだ。
「心配かけてすまなかった」
ティーロさんは謝りながらいきなり私の体を引き寄せて抱きしめた。
突然の事で驚いたが、ティーロさんの腕の力は思った以上に強くって腕の中から抜け出せない。
びっくりした!!
神官様の話していた精神的な不安・・・?
いつものティーロさんであれば取らないような行動だったから驚いたけれど、私がもしティーロさんのように魔物に捕食されるかもしれない極限状態から解放されたらやっぱりティーロさんに抱きついていたかもしれない。
だって、もしかしたらもう二度と会えなかったかもしれないから。
よかった・・・
本当にティーロさんが助かってよかった。
その想いを込めて私もティーロさんの背中に腕をまわし玄関先で抱き合っていた。
しばらく経ってもティーロさんは離れてくれない。
そろそろ離れて欲しい・・と思って体を離そうとするとギュっと更に抱き込まれてしまうので、だんだん苦しくなってきたのよね。
「ティーロさん苦しいです」
離してもらうよう何度かお願いして、最終的には早くお風呂に入るよう急かしてようやく解放されました。
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