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覆面冒険者してたら秒で怪しまれたんだが2

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 城の門前に立ち尽くした俺は、かなり場違いだと思う。

「なにコソコソしてんの」
「う、うるせえよ! コソコソなんて……」

 必死で存在感を消そうとするが、まあ無理な話で。

「うぅ」

 やばい。めちゃくちゃ目立ってんじゃないのか、この馬面マスク。高価だっていうスチルの言葉通り、視界だけはやたら良好。さっきから周りの視線がこっちをチラチラと往復してるのは痛いほどわかるのが最悪だ。

『うわぁ、あれ』
『おい目を合わせるな』
『つーか、あれって馬? 前見えてるのかなぁ』
『ケンタウロス (半獣)の亜種じゃね?』
『ていうかあの、フッサフサ。モフモフしたーい!』
『なんかの呪いかなぁ、怖い』
『シッ、聞こえるって!』

 ……うん。聞こえてる、ほんとぜーんぶ聞こえてるんだよなぁ。

 そして俺のメンタルはもうライフゼロに近い。

「もう有名人だね」
「悪い意味でな」

 毛並みとか、変にリアリティのあるマスクのせいで完全にイロモノのヤバいやつ扱いじゃねーか。まあこれでも顔バレするよりはマシなんだろうか。
 
「で。受付はどこだよ」

 もうこうなったら都合の悪い現実から目を背けるしかない、とばかりに城門に目を向ける。

「ほら特設受付がある」
「え……」

 彼が指さす方にはなぜか簡易テント。露天商みたいなそれには、数人の受付嬢と長蛇の列。
 さながら人気クエストの受注会場のような――そう、まさにそれなわけだ。

『国王直々の依頼クエスト』

 そう聞いた時は耳を疑った。
 たしかにギルドクエストの中には調査や害獣駆除、魔獣討伐の公的依頼のモノが多数ある。
 しかしそれらは大体、危険度のわりには報酬はひかえめ……ぶっちゃけ安くて冒険者達のはすこぶる悪い。

 いくらそこで依頼をこなしても、名をあげるの‍はなぜか国の調査兵団なのだから。こちらとしては旨味もないんだ。
 それなら領主貴族からの、魔獣駆除の方が懐も暖かくなるってもんだよな。
 メリットっていうのがまるでないんだ。

『今回は少し違う』

 思いきりしかめっ面する俺に、彼はウィンクした。

『これはだからな』

 このクエスト、なんと挑むのは自由だが成果を上げるのはかなり困難。そして報酬は多額だとか。
 しかもそれだけでなく。

『王国お抱えの冒険者パーティとして、国の絶対的なバックアップを受けることができる』

 つまり顔を売るだけにとどまらず、それなりの地位と強大なパトロンを得ることができるという。

 領主や貴族との繋がりを持つことで優先的に仕事を得たり、金に困らない生活をする一部の冒険者パーティを知っているがまさにその上位互換というべきか。

 まあ平たくいえば、誰しもがのどから手が出るほどに欲しい立場になれるってわけだ。

「でもその依頼内容をまだ知らないぞ」

 そう、肝心な事がまだ不透明なんだ。依頼書にもそれは書かれていない。ただ。
 
【腕に自信のある冒険者達よ、クエストを成功させてになってみないか。君のヤル気と熱意が世界を救う!?】

 どこぞのバイト募集みたいな。
 これにアットホームな職場です! なんて記載されていたら完璧だったかもしれない。

 しかし肝心な事を知らないのに、ここまで挑戦者が集まるのもなんだか不気味に思える。
 だがら今さらどうしようもない。俺たちは最後尾に並ぶことにした。

「かなり時間かかるな」
「そうかもね。でもここはあくまで受付であって、は別らしい」
「試験?」

 待て、聞いてないぞ。仕事をするのに試験されるとか。
 だが確かに簡単な受付を終えた人々は、なにやら大きな番号札をつけて向こうへ誘導されていた。
 
「ねえ君たち」
「え?」

 突然後ろから声がした、と同時に肩を軽く叩かれる。
 振り返ると。

「やあどうも」
 
 ニコニコと柔和な笑みを浮かべる男が立っていた。

「は、はあ」
「驚かせてごめんね。変わった装備だなって思ったから、ついつい声掛けちゃった」

 いきなりで戸惑うが、穏やかそうな人だ。
 フード付きのローブを着ていることから魔法使いだろうか。だがふとある特徴に目がいった。

「エルフか」

 スチルがぼそりとつぶやく。
 耳がとがっているのと褐色の肌。プラチナブロンドの髪から、ダークエルフだと容易に検討がつく。

「はは、ご名答。ちゃんと観察できてえらいね」

 男は少し腰をかがめ、目線を合わせて微笑んだ。

「ちっちゃくても君も立派な冒険者なんだね、さすがだ」

 優しく話しかける彼をよそに、スチルは黙ってそっぽをむく。
 なんだ人見知りか、と俺が頭を下げた。

「あ、すいません……おいスチル!」
「いいんだよ。警戒心があるのも大切なことだよね」

 男はゆっくりこちらに向き直る。

「出会ってそうそう悪いんだけどさ」

 そして困ったように眉を下げた。

「頼みがあるんだ」
「へ?」

 

 ※※※

「いやぁ、すまないね」
「別にいいけど」

 俺は困惑していた。
 このニコニコ男――失礼、アルワンと名乗る彼がしてきたに。
 なんと名義上だけでいいから、自分もパーティとしてクエストに参加させてくれと言ってきたんだ。

「報酬に関して僕はノータッチ。別に金や手柄が欲しいワケじゃないから。ただこの仕事、どうやら個人じゃ参加出来ないらしくってね」
「へえ」

 知らなかった。よく依頼書を見れば書いてあったのかもしれないが。

「あんたは依頼内容を知ってるのか?」
「えっ、まさか君たち知らずに来ちゃったの!?」

 逆に驚かれた。
 聞けば、依頼はギルドを通していない代わりに言ってみれば口コミで広がったものらしい。
 
「オーガ族にさらわれた王女の救出だよ」

 男の言葉に耳を疑った。

「お、オーガ族!? それに王女って……」

 いやいやいや情報量が一気に増えた、つーかこれは異常事態じゃないか!

「あれ、知らない? 少し前から噂になってたんだよ。ルグラ国王陛下の愛娘であるラビッツ王女が、行方不明になったって」

 数日前、城にいたはずの王女が忽然と姿を消した。
 
「若い侍女も一緒にいなくなっていたから誘拐だっていわれてたけど、すぐにその侍女が城に戻ってきたんだよ。ボロボロで命からがらって感じにね」

 その女性がいうには、王女はオーガ族の男に連れ去られたらしい。

「そこで兵を使って近くのオーガ族の村に襲撃をかけたんだ」

 オーガ族というのは、大きく強靭な肉体と荒々しい性格をもつ種族。
 一目見て分かる特徴としては浅黒い肌に、額に生えた二本のつのだな。
 異国では鬼神、とも呼ばれた通り恐ろしげな見た目と人間を酷く嫌う様子から種族間のトラブルは耐えない。

 しかもオーガ族は数年前の魔王が統治していた魔族軍団の中でもひときわ驚異的な戦力を持っていたと聞いている。

 つまり今回のことも人間を憎むオーガ族の仕業に違いないと結論づけられたんだろう。

「でも歯が立たなかったらしい」
「マジか」

 やはりオーガは強いということか。
 だとしても兵士たちが度になって敵わない相手ってのだけで、その凶暴さが分かるというものだ。

「それでもうなりふり構わなくなったんだろうね。国内外からの冒険者を集めることにしたんだ」

 なるほど。しかしオーガを相手にするってことで最低限の能力テストが行われると。

「見たとこ、君たちはまだこの街に来たばかりだろう」
「まあな」

 するとアルワンは大きくうなずいた。

「頼みを聞いてくれたお礼だよ。お金はないけど、知る限りのことを教えるね。ボクは生まれてからずっとこの街にいるんだから」
「……」

 俺の影にかくれるように、でもジトーっとした視線を彼に向けるスチルのを見下ろしながら考えあぐねていた。
 さっきこいつが言っていた戦争、とはそういう意味だったか。

「なあアルワン、受付を終えたあとの奴らはどこに連れていかれるんだ?」

 いつの間に俺たちの後ろにも長蛇の列が出来ている。
 ほとんどが人間の冒険者パーティだが、その中にはたまにエルフや獣人の姿があった。
 彼らは皆、オーガ族の村を滅ぼすために集められたのだと思うとなんだか複雑な気分だ。
 まあ戦争ってのはそういうものだし、そもそも王女誘拐というのが大それた事なのだが。

 俺の問いに、アルワンは少し首をかしげて言った。

「ボクにもよく分からないけど、多分能力判定するんじゃないかな」

 そういや試験って聞いた気がする。国の奴らに俺たちの実力を見せてみろってやつか。
 大軍つくって一斉攻撃じゃダメなのか?

 そんな俺の疑問を先回りしたかのように、スチルが鼻で笑った。

「異種族間の争いは、基本的にはあまり大っぴらにしたくないってわけだ」
「え?」
「数年前の魔王討伐を忘れたのかよ、ボケ老人」
「ボケてもねーし。老人ですらねえわ……って、なるほど」

 この世界は人間だけのものじゃない。
 いくたの動物、種族や魔獣たちがいる。そして紛争やいがみ合いが太古から絶えないわけで。
 
「魔王討伐で大人しくなった魔族たちどもがまた騒ぎだしたらめんどくさいってのと、近隣諸国との兼ね合いもあるんだろうな」
「ああなるほど」

 国によっては魔族が多く住む土地もあり、その事情は様々だ。異種族差別反対、でつい最近にも反乱があったのを耳にした記憶がある。

「あくまで少数精鋭で、サクッと殲滅させろって。バカにしてるよなァ」

 スチルが皮肉げに笑った。
 確かに白黒はっきりつけ難い、またはつけるわけにはいかない世の中だ。

「でも個人の能力なんてどうやって……」

 その時だった。

「はい、次の方々ー!」

 受付嬢が俺たちに手招きしている。あれだけ長いと思っていた列も、気がつけば俺たちの番になっていた。
 口の中の唾をグッと飲み込んで、進む。

「この番号札を持って、あちらへどーぞー!」
「あ、はい」

 明るい声に背中を押されるようにして、別の先導する女性について歩こうとすると。

「おいっ、ナメてんのかッ!!!」

 怒号と共に色んなものがなぎ倒される大きな音に、思わず振り返った。

「試験ってなんだよ、ア゙ァ!? オレたちをなんだとおもってやがる!」

 えらくガラの悪い奴が受付嬢を怒鳴りつけていた。
 頬に走る傷跡にスキンヘッド、筋骨隆々の巨体はめちゃくちゃイカつい。その周辺には同じくチンピラめいたオラついた輩がなにやらヤジを飛ばしている。

「オーガひとつマトモに殺せねぇあまちゃんどもが、オレたちの何を判断するっつーんだ、あ?」
「オレたちはなぁっ、そこらのゴミみたいな奴らとは違うんだよ。S級だぞ? おい、コラなんとか言えや!!!」

 S級、これは冒険者ギルドで与えられる称号のひとつだ。
 ルーキー、B級、A級、そしてS級のざっくりとしたもの。まあぶっちゃけると、そのギルドにおける実績値だな。
 それによって紹介してもらえる仕事のグレードが大きく変わる。

「メイト、やめときなよ」

 足を踏み出そうとした俺を、スチルが静かな声で制した。

「そんなこと言ってもな」

 女性がこんなゴツイ奴らに恫喝されてんだぞ。そのまま放置なんてできるワケが――。

「し、しかしこれは決まりですので……」

 少し離れたここからでも見えるほど、女性は青ざめて震えている。それでも頑なに職務を全うしようしようと思ったのか、番号を差し出すが。

「ごちゃごちゃうるせぇッ!!!」
「きゃっ!?」

 思い切り手を叩き、その腕を掴む男。

「女、テメェじゃ話にならねえ。他に連れてこい、いやテメェが国王の元にオレたちを連れて行け」
「そっ……そんなこと……」
「早くしろ、腕へし折るぞ!」
「っ……」

 冗談でも脅しでもないのを示したいのか、小さな軋みをあげさせながら女性の細腕をひねりあげていく。
 苦痛と恐怖で声すらあげられない彼女は今にも気を失ってしまいそうだ。
 周りも騒然とするばかりで、なぜか誰ひとり止めようとしない。

「これはさすがにマズイだろ!」

 俺は迷わず走り出す。

「っ、いい加減にしろ。アホども」
「あ?」

 奴らの前に立ちふさがれば、一斉に怒りと悪意の視線がこちらに向くのがわかった。
 うっ。思ったより怖いツラしてるな、こいつら。
 汗が一気に噴き出すが、もう引き返すわけにもいかない。腹の底に力を込めて、俺は精一杯声を貼った。

「その女性を離してやれって言ってんだ、悪質クレーマーかよ」

 男たちの表情が完全に殺気に染まる、そう肌で感じた。
 
「テメェ、見ない顔だなァ?」

 おそらくこのチンピラもどき共のリーダーだろう。スキンヘッド男が歯を剥いて笑う。

「だからこんな愚かなことをする、そうだよなァ?」
「……」

 相手は四人、いや五人か。見た目どおりなら魔法使いらしい奴はいなさそうだ。でも大剣やトマホーク、あとは体術つかいがいるな。
 なんとなくだが、単なる嘘やハッタリでなくS級冒険者たちだろう。

「おいケンカふっかけてきたのはそっちだぜ。いまさら怖くなってダンマリかよォ」

 男の言葉に、周りのやつらも嘲笑と罵倒をここぞというばかりに浴びせてくる。

「ギャハハッ、ダセー!」
「おしっこチビってンんじゃねーのォ?」
「おいおいおい、ビビってんじゃねぇぇよっ!!」

 そんな罵声を聞き流しながらも、場所が悪いと内心つぶやく。でも贅沢も言ってられないよな。
 
 俺は剣をぬくのをやめた。せっかくの新品だ、こんなヤツらに使いたくない。
 その代わり、しっかり重心を落として構えた。

「ケンカなら買ってやるから、まずはその女性を離せと言ってる」
「……ンだと、コラ」

 男の声色がまた一段と低くなる。怒ったらしい。
 女性を投げ捨てるように腕を離すと、俺に向き直った。

「S級のオレたちと対峙しても小便漏らさず立っていられるのは褒めてやる。ただな」

 先に動いたのは男。
 次の瞬間には、俺の横っ腹に奴のつま先が――。

「っ、あぶな!?」
「チッ」

 こいついきなり来やがった! しかしすんでのところでかわし、地面に転がった。

「ほぅ、少しは腕に覚えがあるようだな。馬面野郎」
「そりゃどうも」

 思ったよりずっと強いぞ、この男。なんせ直前まで気配がなかった。
 俺はマスクの下の大量の汗を拭うことも出来ず、唇を噛み締めた。

 ……これ、やばいかもしれない。


 

 



 



 
 



 

 

 
 
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