12 / 37
十二話「見た目が十割」
しおりを挟む
よく、「人は見た目じゃない」とかうすら寒い事言う奴居るけど、人って見た目そのままなのね。
アタシだったら、見たまんま、常識知らずで人の事なんか考えないクズの社会不適合者、多分何かの精神病持ち。そのまんまでしょ。こっちの……ああ、この子アタシの担当なんだけど、この子だったら、犯罪とは無縁の作りものみたいなリア充で常識人、友達いっぱい、絶対サンリオ大好きなわけ。好きだよね、サンリオ? ……ほらね?
で、アンタらの場合は、陽キャ気取ってるただの馬鹿で、いっつも人に尻ぬぐいしてもらって今までなんも一人で成し遂げた事のない甘ったれってのが分かるわけよ。あ、無理無理、否定しても無駄。顔に出てるモン。結局、みーんな見た目そのまんまなのよ。
……で。それって勿論、生きてる人間に限った事じゃなくてね。見た目が恐ろしい霊は、そのまんま怖い奴なんだよ。シンプルなの、人も霊も、邪悪さは見た目に比例する。
……そんなもんも分からないんだから、やっぱアンタら馬鹿なのよ。
鬼村は目の前に座る若者達にそう吐き捨てるように言うと、追いすがる彼らを無理やり家から追い出してしまった。何故か彼女のもとには、こうしてたまにお祓いじみた相談がくるらしい。基本的にそう言った話は全て断っているが、家まで押しかけられては話くらい聞いてやるのだそうだ。それは勿論親切心からなどではなく、小説のネタ集めでしかないのだが。
「……怖い顔した幽霊って、やっぱり怖いんですね」
肩を落として帰っていく若者達を見送りながら、私は独り言のように呟いた。
「顔がぐちゃぐちゃにつぶれた女が、気を付けて帰ってねなんて言う訳ないでしょ」
……成程。そんな目撃情報は今まで聞いた事がない。それは最早コメディの世界だ。
「顔がぐちゃぐちゃにつぶれた女の幽霊が憑いてたんですか?」
「知らないよ、見えないもん」
え、と驚いて鬼村の顔をまじまじ見やると、彼女は人の悪い満足気な笑みを浮かべていた。
「用があるのはアタシじゃないからね」
少し離れた所で、車のエンジンがかかる音が聞こえた。
アタシだったら、見たまんま、常識知らずで人の事なんか考えないクズの社会不適合者、多分何かの精神病持ち。そのまんまでしょ。こっちの……ああ、この子アタシの担当なんだけど、この子だったら、犯罪とは無縁の作りものみたいなリア充で常識人、友達いっぱい、絶対サンリオ大好きなわけ。好きだよね、サンリオ? ……ほらね?
で、アンタらの場合は、陽キャ気取ってるただの馬鹿で、いっつも人に尻ぬぐいしてもらって今までなんも一人で成し遂げた事のない甘ったれってのが分かるわけよ。あ、無理無理、否定しても無駄。顔に出てるモン。結局、みーんな見た目そのまんまなのよ。
……で。それって勿論、生きてる人間に限った事じゃなくてね。見た目が恐ろしい霊は、そのまんま怖い奴なんだよ。シンプルなの、人も霊も、邪悪さは見た目に比例する。
……そんなもんも分からないんだから、やっぱアンタら馬鹿なのよ。
鬼村は目の前に座る若者達にそう吐き捨てるように言うと、追いすがる彼らを無理やり家から追い出してしまった。何故か彼女のもとには、こうしてたまにお祓いじみた相談がくるらしい。基本的にそう言った話は全て断っているが、家まで押しかけられては話くらい聞いてやるのだそうだ。それは勿論親切心からなどではなく、小説のネタ集めでしかないのだが。
「……怖い顔した幽霊って、やっぱり怖いんですね」
肩を落として帰っていく若者達を見送りながら、私は独り言のように呟いた。
「顔がぐちゃぐちゃにつぶれた女が、気を付けて帰ってねなんて言う訳ないでしょ」
……成程。そんな目撃情報は今まで聞いた事がない。それは最早コメディの世界だ。
「顔がぐちゃぐちゃにつぶれた女の幽霊が憑いてたんですか?」
「知らないよ、見えないもん」
え、と驚いて鬼村の顔をまじまじ見やると、彼女は人の悪い満足気な笑みを浮かべていた。
「用があるのはアタシじゃないからね」
少し離れた所で、車のエンジンがかかる音が聞こえた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
小さな部屋
瑞多美音
ホラー
小さな部屋をテーマにした短編です。
全く別のお話になりますのでどちらから読んでいただいても大丈夫です。
〜ある少女の場合〜
「あれ、ここどこ……」
目が覚めると小さな部屋に閉じ込められていた。
手は拘束され、誰もいない薄暗い部屋でクスクスと変な声も聞こえている……
なぜ自分は生かされているのだろう。
どうしてここにいるのかわからないままに過ぎていく日々……そんなある日、目が覚めると元通りの生活が。
あの日々はただの悪夢だったのか、それとも……
〜ある一家の場合〜
「母さんいい加減僕たちを出してくれよ!」
「……だめよ、あなたを出すことはできない」
息子を別荘の地下に閉じ込めて約ひと月。
「僕たち一緒になったんだ」
あの時、血の海の中心にいた息子いや、あの悪魔は何かを食べていた……人の指に見えるソレを。
優等生で前途有望といわれた自慢の息子があんな悪魔だったなんてーー
どうか返事が返ってきませんように……願いを胸に秘め毎週扉をノックする。
ああ、早くいなくなってくれないかしら……
※※※
〜ある一家の場合〜には 〈残酷/グロ/食人〉が含まれます。ご注意ください。
※※※
※この物語はフィクションです。
残酷なシーンなどございますのでお食事時を避けることをお勧めします。
タグやあらすじをご確認の上お進みください。よろしくお願いします。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
柘榴話
こはり梅
ホラー
ザクロの実の花言葉は「愚かしさ」、様々な愚かしさをどうぞ。
柘榴(ざくろ)の実には「愚かしさ」という花言葉があります。
短い作品集になっていますが、どの話にも必ず「愚かしさ」が隠れています。
各話10分ほどで読めますので、色んな愚かしさに触れてみて下さい。
父の周りの人々が怪異に遭い過ぎてる件
帆足 じれ
ホラー
私に霊感はない。父にもない(と言いつつ、不思議な体験がないわけではない)。
だが、父の周りには怪異に遭遇した人々がそこそこいる。
父から聞いた、彼らの怪談・奇談を集めてみた。
たまに、父本人の体験談もあり!
※思い出した順にゆっくり書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる