上 下
81 / 97
第3章

81 何じゃゴルア〜!……なの♡

しおりを挟む
「やっぱ、本当の力を見せないとダメか?……だよな?見せてやるからちょっと待て」
「ほう?よいいぞ?やってみるがいい」
 アルティスは剣を消し、素手になる。
「ん?剣はどうした?」
「これで良い。お前は素手だろ?お前には圧倒的な力の差を見せてやる」
「ふんっ。好きにすれば良い」
「ああ、それと始めに言っておく……これをすると、少々興奮状態になる。
 手加減が難しい……許せ……」
「………………」

 〝クッ……クッ…… オ……オオオオオオ~~~~!!〝
 アルティスが全身に力を込める。周りに電気が走り髪が逆撫でられる。
 アルティスの顔に光る龍のタトゥーが浮かび上がる。

「フウフウフウ……ま、待たせたな?い……いつでも良いぞ?かかってこい」
「ほう、少し見た目が変わったな?面白い。
 本来は、戦いの最中に待ってなどやらんのだがな……」
「ああ、俺も、ま、待ってくれなど言わないよ。フウフウフウ……
 と、途中から戦う目的が変わったからな」
「眷属になれ……か?」
「お、お前は強い。そして、けっ……決して邪悪では……ない」
「邪悪ではないのか?」
「お、お前はただ食い続けただけ。そ、それは生きるものの、ほ、ほ、本能……食欲ってやつだ。
 俺だって肉は、く、食う。喰われる方にとっては良い迷惑だし、お、お前の食欲は異常だけどな?
 フウフウフウ……さて始めようや。こ、今度は、半分の力とか言わずに、ぜ、全力でかかってこいよ……」
「俺からいくのか?本当に楽しませてくれるんだろうな?」
「お……俺から攻撃したら直ぐ終わる。お、お前からこい」
「大した自信だな?後悔するなよ?」

 〝ド~ン!ド~ン!ド~ン!ド~ン!ドカ~ン!ドカ~ン!〝
 お互い素手なのに、拳が交差する度、衝撃で爆発の様な火花が飛び交う。
 姿は見えないが、あちこちで、爆発が起きている。
 〝ド~ン!ド~ン!ド~ン!ド~ン!ドカ~ン!ドカ~ン!〝

 〝ハアハアハア……〝
「い、今のは全力か?お、俺はまだまだ本気じゃないぞ」
 〝ハアハアハア……………………〝
「け、眷属になる気になったか?」
 〝ハアハアハア……………………〝
「何も喋らなくなったな?」

 〝フウ~~~~〝
 アルティスの顔から龍の紋様が消える。
「……仕方ない……もう一つ上の力を見せてやろう……」
「な、何だと?……」

「本気で攻撃する。死ぬんじゃないぞ?」
 足を少し開き、胸のペンダントに両手を添える。
 〝オ……オ……ウォォオオオオオオオオ~~!〝
 ペンダントから無数の光が漏れ出す。渦になってアルティスの周りを飛び交い、
 徐々にアルティスに飲み込まれる光。
 アルティスが銀色に輝きだす。眩い光がアルティスを包み込み、サファイア色の瞳が際立つ。

「……………………」
 一瞬で格の違いを理解するゴールド。
「キンキラ金色と、ギラギラ銀色。さてどっちが強いかな?」
 その瞬間、ゴールドの頭が吹き飛んだ。アルティスの蹴りが炸裂した様だ。
 頭の無くなったゴールドはヨロヨロと後ずさる。
 〝ブシュブシュブシュ……〝ふらつきながらも、何とか頭を再生させるゴールド。
 両手を広げるアルティス。ゴールドの両脇に銀色の魔法陣が現れる。
 アルティスが、銀色の魔法陣を見せたのはこの時が初めてだ。
 魔法陣が作り出す、銀色に輝く球体がゴールドを閉じ込めた。
 サファイアの瞳の銀河エーテルが光を増す。球体は次第に縮まり小さくなる。
 1mほどに縮まるとゴールドの姿が認識できなくなり更に小さく縮まっていく。
(ずびばぜん……おだずげぐだざい……あなだざまの……げんぞぐにじでぐだざい……)
「オッケ~♡」
 又1人、何故かこの地の言語ことばを話せる異星の者が、仲間に加わった。

「ねえ?何で同じ言語ことば?」
「そこは忘れて下さい」
(しつこいんだよ~~)
「ん?なんか言った?」
「滅相もない」
「でも、その姿だとな~ そうだ名前つけちゃお。名前を付けて眷属にすると姿が変わるかもよ?」
「〝変わるかもよ〝って本当ですか?」
「前に名付けした時は、ほとんど変わんなかったけどね。
 でも変わる事の方が多いって専門書には書いてあったよ?いっそ可愛い名前にしちゃお。
 う~ん……そのまんまのゴールドってダサいよね?そだ!ゴールドじゃなくて、ピンクちゃんとか?」
 その瞬間、ゴールドが、60cm程の可愛いピンク色の不思議動物に変わった。
「……なんか可愛くなっちゃつたね?でも、弱そう?」
「中身の力は変わってないみたいなの♡」
「女の子だったの?」
「ううん。性別はなかったの♡」
「……そ、そう……で、何で語尾に♡付けるの?名前が可愛く変わったから?」
「さあ?分からないの♡ピンクって可愛い?」
「ピンクじゃなくて、お前の名前は〝ピンクちゃん〝だよ?」
「何それ?変なの♡じゃあ、ちゃん付けしたら〝ピンクちゃんちゃん〝?」
「ププ~ッ!やっぱただの〝ピンク〝でいいや」
「ハイなの♡」

「アルティス様。片付いた様でございますね?して、その可愛い物体は?」
「元キメラもどきだよ。さっきまでは金色に輝くガーゴイルみたいな姿になってたけど、
 眷属にして、名前を付けたらこんな可愛いのになっちゃった」
「さようで……名をつけるとそんな事もあるのですね?」
「しかしこんなの役に立つんですかね?カイン殿はどう思います?」
「何じゃゴルア~!なんか文句あるんかい?ゴルア~!」
「「「……………………」」」
「使えるかも?」
「でしょ~なの♡」
「「「……………………」」」
(次から名前つける時は気をつけよ。なの♡)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

【R18】淫夢の城

月島れいわ
恋愛
背徳の官能物語

偶然が生んだ最強種

大路
ファンタジー
神が世界の危機に人類に与えた希望。 それは「転移」・・・ その転移に選ばれたのは愛犬家の心優しい青年。 地方都市に暮らす門口 直樹。 しかし「転移」を行なったのは愛犬のテツ! テツに与えられた能力は 「進化」 異世界で強力なモンスターの討伐 様々な人物との出会い 全ての行いが進化素材になる! 進化する為により強力な進化素材を探し 幻獣として異世界をチワワから進化しながら 旅をするテツと相棒が送るファンタジー小説 です!

来訪神に転生させてもらえました。石長姫には不老長寿、宇迦之御魂神には豊穣を授かりました。

克全
ファンタジー
ほのぼのスローライフを目指します。賽銭泥棒を取り押さえようとした氏子の田中一郎は、事もあろうに神域である境内の、それも神殿前で殺されてしまった。情けなく申し訳なく思った氏神様は、田中一郎を異世界に転生させて第二の人生を生きられるようにした。

神様に転生させてもらった元社畜はチート能力で異世界に革命をおこす。賢者の石の無限魔力と召喚術の組み合わせって最強では!?

不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
ファンタジー
●あらすじ ブラック企業に勤め過労死してしまった、斉藤タクマ。36歳。彼は神様によってチート能力をもらい異世界に転生をさせてもらう。 賢者の石による魔力無限と、万能な召喚獣を呼べる召喚術。この二つのチートを使いつつ、危機に瀕した猫人族達の村を発展させていく物語。だんだんと村は発展していき他の町とも交易をはじめゆくゆくは大きな大国に!? フェンリルにスライム、猫耳少女、エルフにグータラ娘などいろいろ登場人物に振り回されながらも異世界を楽しんでいきたいと思います。 タイトル変えました。 旧題、賢者の石による無限魔力+最強召喚術による、異世界のんびりスローライフ。~猫人族の村はいずれ大国へと成り上がる~ ※R15は保険です。異世界転生、内政モノです。 あまりシリアスにするつもりもありません。 またタンタンと進みますのでよろしくお願いします。 感想、お気に入りをいただけると執筆の励みになります。 よろしくお願いします。 想像以上に多くの方に読んでいただけており、戸惑っております。本当にありがとうございます。 ※カクヨムさんでも連載はじめました。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...