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第3章

80 ゴールド?まんまじゃん?

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「さ~て~ ここからは俺のターンだよ?」
 いつの間にかアルティスの手には、シルバーブルーに光り輝く剣が握られていた。
 一番上の頭に向かって飛び込む。四方八方から他の頭が牙を剥き襲いかかる。
 その一つ一つに剣を向け、最後に上の頭を切り付ける。
「マジ~?この剣でもかすり傷程度しか付けられんの?
 剣神の叔父さんが、うろこに傷一つ付けられなかったって聞いたけど、ほんとだったんだ。
 キメラどころの騒ぎじゃないな?こいつの方が全然でかいし」
 この分だと、魔法も打撃もたいしてダメージを与えられないだろう。
「さ~て、どうしたもんかな~」
 しかし、そう言うアルティスに焦りは全くない。
 怪物の放射熱線は、難なく弾けるし、鋭い牙もアルティスに掠りもしないからだ。
 小さな空間移動を繰り返すアルティス。

 アルティスのすぐ後ろに、長い首を回し放射熱線をはこうとする怪物。
 〝ドッカ~~ン!〝
 振り向きもしないアルティスに、裏拳で打たれ、一つの頭が吹き飛んだ。

「ちょっと待てよ~今考え中なんだから~ ん?あれ?あんな裏拳で頭が吹き飛んだ?
 放射熱線はこうとして、俺に口を塞がれ、中で爆発?硬いのは鱗だけで、中はいけるのか?」
 怪物が放射熱線を吐こうとする度、アルティスはタイミングを計りながら、帝級火魔法のインフェルノを叩き込む。
 8つの頭が吹き飛び、残る一番大きな頭も崩れ去る寸前だった。

「キメラと違って再生はしないんだ。ラッキ~」
 〝グギャアォォォォォ~~~~〝
 最後の頭が断末魔の叫びをあげた……
 〝ビキビキビキ〝
 怪物の体に無数の亀裂が走り、そこから光が洩れ輝くと、突然爆発する。
「あっぶね~!俺を道連れに自爆か~?でも未だ真ん中で、何かが光ってるな」

 爆炎が晴れてくると、高さ10m程の、螺旋状の光が渦巻いていた。
 すると、飛び散ったはずの爆炎が戻ってくる。そして光に吸い込まれる。
 バリバリと稲妻が横に飛び交う。中から光る何かが姿を現した。

 ガーゴイルを3m程大きくした様な姿だが、顔以外は小さな金の鱗で覆われている。
 耳が尖り、湾曲した2本の大きな角が恐ろしげだ。
「お前の様な者がこの地におったとはな……」
「うわっ!喋った。 え?同じ言語ことば?」
「そ、そこは良いのだ……」
「あ、あの~どちら様で?」
「つれないの~先程まで我と戦っておっただろう?」
「あのカッコいいキメラもどきさん?」
「キメラが何かは分からぬが、かいっこいいは、合ってるな。教えてやろう、我が名はゴールド」
「まんまじゃん?誰が付けたの?あ、自分でか?だっさ~
 遥か遠くの星から来たんでしょ?何故同じ言語ことば話せるの?」
「………………」


「カ、カイン殿!あの禍々しい光の影は?」
「凄まじいエナジーですね。こちらからも異界の光が透けて見えるとは」
「何者でしょう?」
「あちらには、アルティス様とあのキメラもどきしか居ませんから……キメラもどきが形態を変化させたのではと」
「それにしても、あの凄まじく膨大なエナジー……アルティス様大丈夫でしょうか?」

(じいちゃん。ここからは覗けなくするよ。分かってくれてると思うけど……
 手の内は見せたくないからね)
(あい分かった。頼んだぞアルティス。くれぐれも油断せぬ様な)
「どうした?何か靄がかかって見えんぞ?アルティスは大丈夫か?」
「あの怪物が何かしたのでしょうか?」
「こうしてはおられない。我らも向かうか?」
「止めるのじゃ。我らではアルティスの足を引っ張るだけじゃ」
「しかし、あれは以前より、何倍も強くなっていますよ」
「だからこそじゃ。我らでは何も出来まい。アルティスを信じ待つのじゃよ」


「強い!強いよねあんた?今の俺より何倍かも? ねえねえ、俺の眷属になってくんない?」
「何を馬鹿な事を。恐怖で気でもふれたのか? いや、お前からは恐怖など微塵も感じぬな?
 なぜ、そんなに平然とした顔をしていられるのだ?」
「キメラもどきの時はただ暴れるだけで、無理だと思うけど。
 今のあんたからは知性を感じるし、邪悪って感じがしないんだよね?
 見た目はグロいけどさ。あと言語ことばも通じるしね?」
「…………だとしても我より弱い者の眷属になんぞに、なる訳がないだろ?」
「じゃあ、俺の方が強かったらなってくれる?」
「くだらん事を喋ってないで、そろそろ始めようではないか?
 お前も我に喰われて我がエナジーになるといい」
「残念。仕方ないこのままほっといたら、皆んな捕食し尽くされちゃうからね」
 そう言うと、アルティスはゴールドの視界から消え高速移動で後ろし回り込む。
 しかしその動きをゴールドは把握しており、既に後ろに振り向いていた。
「バア~~」
 ニヤリと笑いながら、アルティスを揶揄からかううゴールド。
「くっ……」
 慌てて後ろに距離を取るアルティス。しかし動く先々にゴールドが居る。
 〝シュシュ!シュンシュンシュンシュン!〝
 目で追うことが出来ない攻防が続く。

「フゥ~」
 息をつくアルティス。口から一筋の赤い血が流れる。
「ほんとつえ~や。こいつ。口の中を切られたのなんて何年ぶりだろう?」
「フフフ……そんなものか?お前の力は?我は半分の力も出しておらんぞ?」
「は、半分だ……と?」
「何を驚いておる? ん?何をニヤニヤしておる?」
「ニヤニヤ?……してないし……」
「してるだろ。やはり気でもふれたか?」
「やっぱあんたそんなに強くね~や」
「はっ!口から血を吐きながら言うセリフか?」
「半分の力も出してない?そう言った?そんなもんか……」
「何が言いたい?」
「俺、1/100も力出してないぞ?」
「負け惜しみか?」
「負けてね~し!」
「じゃ、負けず嫌いか?ま、嫌いではないぞ?」
「じゃあ!?」
 眷属に?と言いかけたアルティスに……
「ああ、死ね!」
 そう吐き捨てるゴールド。
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