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第2章

63 あ……あ〜〜〜ん……

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「アル?今回の事は、バートさんには話さない方が良いと思うの。
 だから、そんな顔して彼の所へ行っちゃダメよ。なんか勘付かれるでしょ?」
「それもそうだよな?分かったよ。 って、ここは何処?」
「カスタマイン魔国ってのは間違いなさそうね」
「すみません、そこの方。王城はどこでしょう?」
「ん?目の前ですが?」
「え?ここ?思ってたのとちょっと違うぞ?少し小さいし、質素?だな」
「この国、今は神のお孫様とかのお陰で、少し景気良くなってきたけどさ、
 元々貧乏だったからね?うちの魔王様は1人で贅沢する様な人じゃないからね」
「カスタマイン魔国の魔王バートランド。見直したぜ~」
「何、他人ひとの城の前で大声出してんだよ?」
「おお、バート!例の物、持って来たぞ」
「そ、そうか!すまんアル。入ってくれ!」


早速さっそく食べさせてやれよ」
「それがさ、見てくれよ?昨日から起きないんだよ……
 どうやって食わせたら良いと思う?擦って口移しか?」
「う~ん?良いのか?それ? 何か皮も残さず、丸ごと一個食べる様にって言われてんだけどな」
「一度きり。失敗は出来んな?どうしたら良いんだろうな?」
「起きてくれないかな?ヒールは全然効かないのか?」
「ダメだな。やっても無効化されてしまう」
「無効化するだって?それってなんか不自然じゃね?ちょっと調べてみて良いか?」
「調べるって、どうするんだ?」
「胸に手を当て感知してみる」
「な、胸に手をだと~」
「良いだろ~?胸だぞ?おっぱいじゃないからな?心臓の上。真ん中の平なとこ……
 俺はフィオナの胸しか興味無いって言ってんじゃん……ぶつぶつぶつ……」
 〝パカ~ン〝
「いて……」
「何だそこか?乳房かと……分かった。やってみてくれ」

「おっきな胸……綺麗……うらやま……」
「フィナ。気が散る……」
「な、何だこれ?バートに入っていたのと同じような物が埋め込まれてるぞ?」
「何だと!本当かそれ?」
「お前のはエーテルに、これはマナに作用してる様だ……あっ!アハハハハハ!」
「ど、どうしたのアル?急に笑い出して」
「これってあれじゃん!」
「これ?何……あ~~~ それを取っちゃえば治せるって事ね!
 世界樹の実無しで!世界樹の実は赤龍の奥さんに……」
「そうだよそれだよ!アハハハハハ!」

「何言ってんの?お前達?」
「この埋め込まれてる魔道具を俺が取るだろ?そしたらヒールが効くって事。
 世界樹の実無しで治せるじゃん!お前の奥さん。 実はな……………………」

「そんな事が?赤龍の龍神様が……」
「よし。サクサクっとやるぞ!」
 〝ズズズズズ……〝
「あっそれ気持ち悪いんだよな~~」
「あ……あ~~~ん……」
「び、びっくりした……ホントに気持ち悪いのこれ?気持ち良いんじゃなくて?」
「良いから早くやれ~~」
 〝ズズズズズ……〝
「あ……あ~~~ん……」
「ビクッ! と、取れたぞ」

 後ろを向き小声で……
「なあなあ……お前の奥さん変態?」
「んな訳あるか……」

「何コソコソしてらっしゃるのかしら?」
「え?魔道具取ったら元気になった???」
「貴方方がコソコソ言ってうちに、私がヒールかけました」
「フィオナが?どれどれ?お~完璧! じゃ無いな?心臓だけ直してどうすんだよ?
 身体が弱ってるんだから、身体全部にヒールかけるの!」
「あ、そか?じゃあ、ヒール!」
「あ……あ~~~ん……」
「「やっぱ変態?」」
「何かおっしゃって?」
「「言ってない」」

「貴方がアルティス様?と奥様?私、バートランドの妻でアイリスと申します。
 いつも主人がお世話になっております。」
「ぼ……」
 〝パカ~ン〝
「な、なにを……」
「ニャンしようとしたでしょ?」
「アルティスだわんっ!」
 〝パカ~ン〝
「え~……と言う事で、先を急ぐんでお暇するよ」
「何が、と言う事でだよ。ま、赤龍様の所が心配なのは分かる。
 又ゆっくり来てくれよ?今日はありがとな」
「……と言う事で、行くぞフィナ」

「き、消えたわね?驚いた~ すごい子ね?」
「本当に良い奴なんだよ……今日もそうだけど……他人ひとの為に働いて……
 あいついつも財布持ってないだぜ?他人ひとの為に自分の金を惜しみなく全部使い……いつだって文無し……
 物凄い影響力で他人ひとの人生を変えてるのに、自分じゃ全く気付いてない……」
「貴方の人生も随分変わったものね?」
「ああ……そうだな……お前、気分はどうだ?」
「うん大丈夫。心配かけてごめんなさい」


「お~い!赤龍のじいちゃ~ん!お~い!」
「これ、アルティス、大きな声を出すでない。やっと寝ついたとこなのじゃ」
「すぐ起こせ!じいちゃん!ほれこれっ!」
「ん?良い匂いじゃの? お、お前これ?」
「早く起こして食べさせるんだ!じいちゃん」
「魔王の所は、どうしたんじゃ?」
「治せたんだよ。世界樹の実無しで!」
「誠か?」
「詳しい話は後、後、後っ」
「わしの連れは、この奥で寝ている……」
 奥には人間の老婆が小さく息をして布団に包まっている。
「はいっ?じいちゃんの連れって人間?」
「あほう。人のわけあるかい。 3000年近くも生きておると言っただろ?
 我らは人化出来るんじゃ。この方が体力を使わずに済むと思っての」


「アハハ、ばあちゃん、じいちゃんより強かったんか?」
「バカ言うでない。花を持たせてやっておったに決まっておろう?」
「うそ~ん? ワハハハハハハ」
 人化したじいちゃん、ばあちゃん。そして2人の孫。楽しそうに笑って会話する仲の良い人間の家族にしか見えない。

「ねえ?じいちゃん達。年に似合わず綺麗なお揃いのネックレス。
 それもしかして龍の姿の時、眉間に有る綺麗な勾玉まがたまなの?」
「これは親から子へ代々伝わる物でな?人化すると、この様なネックレスになるんじゃよ。
 我らは子に恵まれなんだ。わしが死んだら、これは、お前にやろうかの?」
「マジ~ いいの~?でもじいちゃん達のが長生きすんじゃない?」
「お前が普通の人間じゃったらな。そうではなかろう?お前に寿命等有るまいて」
「ど、だろね?」
「それじゃあフィオナちゃん。私のは貴方にあげようかね?」
「え、本当ですか?嬉し~い!」
「にしてもこの世界樹の実、当たりだったね?」
「当たりって何?」
「種入り世界樹の実」
「種が入ってるのが普通なんじゃ無いの」
「種入りって超珍しいらしいよ?」
「そうじゃよ?皆んな種入りだったら、世界中世界樹だらけで大変じゃろ?」
「世界中世界樹……は~ それもそうか?」
「だからこれは当たりって事。今は世界樹は世界中で……ややっこしいな……
 世界中で一本しか無いからね?何処に植えてみようかな?
 カスタマイン魔国?バートの所は?南国は暑過ぎてダメか~?」
「いや、世界樹は強いからの~ マナさえ上手い事、供給し続けられれば、何処でも育つぞ?
 わしの若い頃……2000年以上前じゃが、世界に7本の世界樹が有ったな」
「そんなにか~バートの所で育てば、世界樹の恵みでカスタマイン魔国は豊作間違い無しだよね。
 今度持ってってやろ~」
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