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第2章
48 地震
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アルティスが地上に戻って1年が過ぎようとしている。
魔神の襲撃も未だ始まらず、比較的穏やかな日々が続いていた。
〝グワタガタガタガタガタガタ~~~~〝
〝〝キャ~~!!〝〝 〝ワァ~~!!〝 〝ギャ~~!!〝
「じ、地震!? な、何い~~?凄く!大きくない!?」
「フィナこっちに!!」
覆い被さる様に抱きしめ、地震からフィオナを守るアルティス。
〝ガシャンガシャンガッシャン!〝
埃と共に、上から壊れた照明やら天井の漆喰やら、色々落ちてくる。
慌ててバリヤを張り、近くにいるユッフィー達も守る。
地震は、なかなか治らず、3分も続いた。
「皆んな怪我は無い?え~~~と……」
あたりを見回すアルティス。
「大丈夫そうだな。だったら俺は外を見てくるよ」
外に出て、遠くを見渡すと、そこは何事もなかった様な、いつもの景色が広がっていた。
(あれ?なんか変だぞ?埃が立ち込めているのは王城だけ?)
「陛下!外は大丈夫です!慌てて転んだとかそんな程度で、怪我人も、ほぼいない様でした」
家臣に囲まれたリヴァルド王。このような場合アルティスは、
リヴァルド父さんとは呼ばず、陛下と呼び、言葉遣いも変えていた。
「やるじゃないアル。TPOをわきまえてるのね?見直しちゃった。キリッとしてかっこいいわよ」
「でしょでしょ?フィオナ~~」
「あらら……一瞬で何時もの残念アルに戻っちゃってるわ?」
「コホン。陛下、街の者にも聞いたのですが、多少の揺れはあったものの、何の被害も無い様です。
皆、王城が揺れる凄い音と、埃で霞む城を見て、驚いたと言っておりました。
地震はこの城周辺に限られていた様です」
「この城周辺だけ?そんな地震があるのか?聞いた事がないぞ?そもそもあれは本当に地震だったのか?」
「どうなんでしょう?自分にも分かりませんね?あっ、それと、裏山に大きな穴が出来ており、
そこから瘴気が流れ出していたのでバリヤを張って止めておきました。地震と何か関係しているのかもしれません」
「まさかついに悪魔の襲撃が始まったとでも言うのか?」
「いえ、その後の動きが無さ過ぎます。多分その様な事ではないと……
奴の言う〝その時〝とはもう少し先の事と、自分は予想しているのですが……
城内の怪我人を、フィオナ達に任せて宜しいのであれば、穴を調べて参りますが?」
「アル、こっちの怪我人は私達に任せて良いわよ。穴の事、心配だからそっちを、貴方にお願いするわ」
「うむ、そうだな……アルティス、そうしてくれるか?」
「承知!では今から行って参ります」
穴は、直径20m程有り、かなり広かった。
バリアで止めてあるからか、瘴気が紫色にまで濃くなり、穴の中がまるで見えない。
どれ程の深さがあるのか、見当もつかなかった。
「う~ん?良く見えないけど、この穴、結構深そうじゃないか?」
悪魔の可能性も考え、カインを共だって、穴に入るアルティス。
「はい、悪魔の気配がプンプンでございます」
「だよね。やっぱ、あいつ……魔神の仕業かな?でもこの前の奴らとは、少し気配が違うような気もするんだよね?」
「私もそう感じます。う~ん……この気配は……」
「ん?どしたの?気配に心当たりでも有る? あ、でも、またあのガーゴイルとか言うのがゾロゾロ出てきたね。
ん?……やっぱりこの前のガーゴイルとは少しだけ気配が違うな?
いずれにしてもこいつら排除しないと先には進めないね?
いっぺんに片付けたいけど、ここの構造が解らないから、大きな魔法は使えないか?」
「それでしたら、この雑魚共は、私にお任せ下さい。アルティス様は先にお進み頂ければと……」
「こいつら任せて良いの?さすがカイン。頼りになる~」
「万事お任せを……我が君」
入ってすぐ分かるのだが、ここは穴というよりは、ダンジョンの様になっており、何層にも層が分かれていた。
(もう20層位か?いいとこ2~3層かと思ったけど、思ったよりずっと深いな?
15層辺りから、流石に下級の悪魔だとは言え、素通り出来なくなってきて、相手しなきゃなんないから面倒くさいな)
大きな魔法が使えず、小技で進むのは面倒くさいと、アルティスは言うものの、
小さな魔法と光の剣で難なく先に進んで行った。
この剣は殺モードだ。決して転移させているわけでは無い。
(やっと、この先に大きな気配が……どうやら、この仰々しくも大きな扉の向こうに、ラスボス?が待っているようだな)
「お待たせ致しました。我が君」
「え、もう雑魚共、片付けたの?早っ!さすがだね~」
「いえいえ雑作もない事で」
「この先に大きな気配がある様だよ?良い?カイン。それじゃ行くよ?」
「御意」
魔神の襲撃も未だ始まらず、比較的穏やかな日々が続いていた。
〝グワタガタガタガタガタガタ~~~~〝
〝〝キャ~~!!〝〝 〝ワァ~~!!〝 〝ギャ~~!!〝
「じ、地震!? な、何い~~?凄く!大きくない!?」
「フィナこっちに!!」
覆い被さる様に抱きしめ、地震からフィオナを守るアルティス。
〝ガシャンガシャンガッシャン!〝
埃と共に、上から壊れた照明やら天井の漆喰やら、色々落ちてくる。
慌ててバリヤを張り、近くにいるユッフィー達も守る。
地震は、なかなか治らず、3分も続いた。
「皆んな怪我は無い?え~~~と……」
あたりを見回すアルティス。
「大丈夫そうだな。だったら俺は外を見てくるよ」
外に出て、遠くを見渡すと、そこは何事もなかった様な、いつもの景色が広がっていた。
(あれ?なんか変だぞ?埃が立ち込めているのは王城だけ?)
「陛下!外は大丈夫です!慌てて転んだとかそんな程度で、怪我人も、ほぼいない様でした」
家臣に囲まれたリヴァルド王。このような場合アルティスは、
リヴァルド父さんとは呼ばず、陛下と呼び、言葉遣いも変えていた。
「やるじゃないアル。TPOをわきまえてるのね?見直しちゃった。キリッとしてかっこいいわよ」
「でしょでしょ?フィオナ~~」
「あらら……一瞬で何時もの残念アルに戻っちゃってるわ?」
「コホン。陛下、街の者にも聞いたのですが、多少の揺れはあったものの、何の被害も無い様です。
皆、王城が揺れる凄い音と、埃で霞む城を見て、驚いたと言っておりました。
地震はこの城周辺に限られていた様です」
「この城周辺だけ?そんな地震があるのか?聞いた事がないぞ?そもそもあれは本当に地震だったのか?」
「どうなんでしょう?自分にも分かりませんね?あっ、それと、裏山に大きな穴が出来ており、
そこから瘴気が流れ出していたのでバリヤを張って止めておきました。地震と何か関係しているのかもしれません」
「まさかついに悪魔の襲撃が始まったとでも言うのか?」
「いえ、その後の動きが無さ過ぎます。多分その様な事ではないと……
奴の言う〝その時〝とはもう少し先の事と、自分は予想しているのですが……
城内の怪我人を、フィオナ達に任せて宜しいのであれば、穴を調べて参りますが?」
「アル、こっちの怪我人は私達に任せて良いわよ。穴の事、心配だからそっちを、貴方にお願いするわ」
「うむ、そうだな……アルティス、そうしてくれるか?」
「承知!では今から行って参ります」
穴は、直径20m程有り、かなり広かった。
バリアで止めてあるからか、瘴気が紫色にまで濃くなり、穴の中がまるで見えない。
どれ程の深さがあるのか、見当もつかなかった。
「う~ん?良く見えないけど、この穴、結構深そうじゃないか?」
悪魔の可能性も考え、カインを共だって、穴に入るアルティス。
「はい、悪魔の気配がプンプンでございます」
「だよね。やっぱ、あいつ……魔神の仕業かな?でもこの前の奴らとは、少し気配が違うような気もするんだよね?」
「私もそう感じます。う~ん……この気配は……」
「ん?どしたの?気配に心当たりでも有る? あ、でも、またあのガーゴイルとか言うのがゾロゾロ出てきたね。
ん?……やっぱりこの前のガーゴイルとは少しだけ気配が違うな?
いずれにしてもこいつら排除しないと先には進めないね?
いっぺんに片付けたいけど、ここの構造が解らないから、大きな魔法は使えないか?」
「それでしたら、この雑魚共は、私にお任せ下さい。アルティス様は先にお進み頂ければと……」
「こいつら任せて良いの?さすがカイン。頼りになる~」
「万事お任せを……我が君」
入ってすぐ分かるのだが、ここは穴というよりは、ダンジョンの様になっており、何層にも層が分かれていた。
(もう20層位か?いいとこ2~3層かと思ったけど、思ったよりずっと深いな?
15層辺りから、流石に下級の悪魔だとは言え、素通り出来なくなってきて、相手しなきゃなんないから面倒くさいな)
大きな魔法が使えず、小技で進むのは面倒くさいと、アルティスは言うものの、
小さな魔法と光の剣で難なく先に進んで行った。
この剣は殺モードだ。決して転移させているわけでは無い。
(やっと、この先に大きな気配が……どうやら、この仰々しくも大きな扉の向こうに、ラスボス?が待っているようだな)
「お待たせ致しました。我が君」
「え、もう雑魚共、片付けたの?早っ!さすがだね~」
「いえいえ雑作もない事で」
「この先に大きな気配がある様だよ?良い?カイン。それじゃ行くよ?」
「御意」
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