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第1章
20 学園の魔法訓練
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王都に平穏が戻ると、フィオナに一つ変化が訪れる。
休校されていた学園が、再開されるのだ。
「アル。来週から魔族襲撃で、臨時休校していた、王立学園が再開されるの。
私は高等部の1年生。アルも学園に通わないかって、お父様が……」
「学園?フィナと一緒に通うの?来週から、昼間はフィナがいないって事?
フィナとの時間が減るのは……だけど……学園は今更って感じかな?
神界で、ありとあらゆる事を、叩き込まれながら育ったんだよ?」
「何言ってるのよ?魔法科と騎士科が有るけど、
共通して貴族としての、必要な知識とかの勉強も有るのよ?
貴方その辺、からっきしじゃないの!」
「う~ん。でも俺、色々やる事有るから、やっぱり、やめとく」
「やる事?色々?そう言えば貴方、時々姿が見えないけど、どこに行ってるの?」
「領地。フェイト領だよ。ハートさんと色々見て回ってるんだ」
ハートとは宰相ハーゲンが、アルティスにつけてくれた執事だ。
先だって、ハーゲンの下に、叔父ラグナルがやって来て、
白爵位をアルティスに返す事を、伝えたと聞く。
伝え終わると、こそこそ逃げる様に帰ったそうだ。
アルティスが、爵位を継ぐ事になる。
ハートは執事とは言うものの、領地の統治を始め、諸々を助けてくれている、
とても優秀な初老の人物で、
アルティスにとっての、宰相の様な人だ。
ハートはハーゲンの弟であった。
反対にすると?ハーゲンはハートの兄である。
2人合わせてハーゲンハート♡……美味しそう。
髪はふさふさシルバーグレー。
(ハーゲンさんの頭……あの人、苦労してるんだな……
半分位は俺のせい?イヤイヤ、会った時から禿げてたな……気のせい気のせい)
アルティスの下に着いて、未だ一月程しか経っていないのだが、
お互い信頼できる仲になっており、しなくても良いのに、身の回りの世話まで色々面倒を見てくれている。
「領地を見て回る事は、良い事だと思うけど、勉強も大事よ?
まあ入園するかは置いといて、一度は見学する様にと、お父様からの言いつけよ。
それに学園長からも、一度呼んでほしいって、言われているのよ。
何でも神の子の英雄様に、色々な訓練の方法とか、アドバイスが欲しいんだって……」
かくしてアルティスは、生まれて初めて、学園なる所に足を踏み入れるのだった。
王城からは、壮麗な正門でなく裏門が近い。
目立つのを嫌う意味も有り、近い裏門で、馬車を降りるアルティスとフィオナ。
「何だこれ~ 王城並みに広くて、でかいんだけど」
公園と見間違える程に整備された、広大な敷地の遥か向こうには、
お金の掛かってそうな、立派な校舎がそびえる。
そこに行くまでには、色々な訓練場やら闘技場の様なものが
彼方此方に点在している。
「教育には力を入れているのよ?」
「……力を入れてる……って? その割には、人族は余りにも脆弱すぎない?」
魔族との戦いを見たアルティスには、不思議でならない。
こんなにお金をかけて、何を勉強、訓練しているのかと。
「魔族と比べてるの?相手は魔族よ?」
「俺は人族だけど? 魔族にも負けないよ?
そもそも人も魔族も、遥か昔に、創造神のじいちゃんが造ったものだし、同等だよ」
「貴方が規格外なだけじゃないの?貴方5歳の時から別格だったじゃない……」
「確かに俺は、エーテルを宿した事で、とてつもない潜在能力は得たけど……
他の皆んなだって、体格差はあれど潜在能力は魔族にだって引けを取らない筈だよ?」
横目で訓練を見ながら、足を進めるアルティスとフィオナ。
「あれは何してるんだ?」
アルティスにとっては、少し違和感の有る風景が目に入る。
「攻撃魔法の訓練ね。あそこは魔法障壁が煉瓦の壁に施してあって、
存分に訓練できる様になってるの」
指導者らしき年配の女性が、1人の生徒に魔法を促す。
指名された生徒は、悦にいった顔をしてポーズを決める。
「我は炎の精霊と契約を結びし者なり、我が盟約に従い、炎の精霊よ、集え。
猛る灼熱の炎で、全てを焼きつくせ」
詠唱をしながら、踊る様にクルリと一回転。
両手を右肩の上に挙げ、かしわ手を2回打つ。
その手を前に出すと、小さな炎がふらふらと前に飛び、
的に当たるとポスンと煙が上がる。ドヤ顔で有る。
「え……?」
その様子を何気に見ていた???なアルティス。
「見事です」
教師だろう女性が褒め称える。
攻撃魔法の訓練?アルティスは口を思いっきり膨らませ真っ赤な顔で
「フィ……フィナ……ちょ…… すぐ戻……」
転移魔法か?忽然と姿を消した。
「ぶゃ~はははっっっ!マジかマジなのか……ダメだ死ぬ~」
とある山の中。仰向けに腹を押さえて足をバタつかせ、涙を流しながら笑い転げるアルティス。
「侮れん!あいつらの魔法……この俺が笑い殺されるところだった……
凄まじい破壊力~~~」
「ハアハアハア……あれマジだよな……真剣にやってんだよなぁ?
それを笑っちゃ悪いけど……しかし完全にツボに入った……もうダメ死ぬ~」
「ごめんフィナ。待たせちゃって」
「も~ 5分もどこいってたのよ?」
「ちょっと、急にもよおしちゃって」
「もう、変なもの食べたんじゃ無い?」
「うん、ちょっと変わった物食らった……ハハハ」
フィオナは生徒に囲まれていた。
「あれが噂の英雄?」
「なんかヘラヘラして、それ程、強そうには見えないんだが?」
こそこそアルティスを見て囁いている。
「さあ、学園長がお待ちよ。急ぐわよ」
休校されていた学園が、再開されるのだ。
「アル。来週から魔族襲撃で、臨時休校していた、王立学園が再開されるの。
私は高等部の1年生。アルも学園に通わないかって、お父様が……」
「学園?フィナと一緒に通うの?来週から、昼間はフィナがいないって事?
フィナとの時間が減るのは……だけど……学園は今更って感じかな?
神界で、ありとあらゆる事を、叩き込まれながら育ったんだよ?」
「何言ってるのよ?魔法科と騎士科が有るけど、
共通して貴族としての、必要な知識とかの勉強も有るのよ?
貴方その辺、からっきしじゃないの!」
「う~ん。でも俺、色々やる事有るから、やっぱり、やめとく」
「やる事?色々?そう言えば貴方、時々姿が見えないけど、どこに行ってるの?」
「領地。フェイト領だよ。ハートさんと色々見て回ってるんだ」
ハートとは宰相ハーゲンが、アルティスにつけてくれた執事だ。
先だって、ハーゲンの下に、叔父ラグナルがやって来て、
白爵位をアルティスに返す事を、伝えたと聞く。
伝え終わると、こそこそ逃げる様に帰ったそうだ。
アルティスが、爵位を継ぐ事になる。
ハートは執事とは言うものの、領地の統治を始め、諸々を助けてくれている、
とても優秀な初老の人物で、
アルティスにとっての、宰相の様な人だ。
ハートはハーゲンの弟であった。
反対にすると?ハーゲンはハートの兄である。
2人合わせてハーゲンハート♡……美味しそう。
髪はふさふさシルバーグレー。
(ハーゲンさんの頭……あの人、苦労してるんだな……
半分位は俺のせい?イヤイヤ、会った時から禿げてたな……気のせい気のせい)
アルティスの下に着いて、未だ一月程しか経っていないのだが、
お互い信頼できる仲になっており、しなくても良いのに、身の回りの世話まで色々面倒を見てくれている。
「領地を見て回る事は、良い事だと思うけど、勉強も大事よ?
まあ入園するかは置いといて、一度は見学する様にと、お父様からの言いつけよ。
それに学園長からも、一度呼んでほしいって、言われているのよ。
何でも神の子の英雄様に、色々な訓練の方法とか、アドバイスが欲しいんだって……」
かくしてアルティスは、生まれて初めて、学園なる所に足を踏み入れるのだった。
王城からは、壮麗な正門でなく裏門が近い。
目立つのを嫌う意味も有り、近い裏門で、馬車を降りるアルティスとフィオナ。
「何だこれ~ 王城並みに広くて、でかいんだけど」
公園と見間違える程に整備された、広大な敷地の遥か向こうには、
お金の掛かってそうな、立派な校舎がそびえる。
そこに行くまでには、色々な訓練場やら闘技場の様なものが
彼方此方に点在している。
「教育には力を入れているのよ?」
「……力を入れてる……って? その割には、人族は余りにも脆弱すぎない?」
魔族との戦いを見たアルティスには、不思議でならない。
こんなにお金をかけて、何を勉強、訓練しているのかと。
「魔族と比べてるの?相手は魔族よ?」
「俺は人族だけど? 魔族にも負けないよ?
そもそも人も魔族も、遥か昔に、創造神のじいちゃんが造ったものだし、同等だよ」
「貴方が規格外なだけじゃないの?貴方5歳の時から別格だったじゃない……」
「確かに俺は、エーテルを宿した事で、とてつもない潜在能力は得たけど……
他の皆んなだって、体格差はあれど潜在能力は魔族にだって引けを取らない筈だよ?」
横目で訓練を見ながら、足を進めるアルティスとフィオナ。
「あれは何してるんだ?」
アルティスにとっては、少し違和感の有る風景が目に入る。
「攻撃魔法の訓練ね。あそこは魔法障壁が煉瓦の壁に施してあって、
存分に訓練できる様になってるの」
指導者らしき年配の女性が、1人の生徒に魔法を促す。
指名された生徒は、悦にいった顔をしてポーズを決める。
「我は炎の精霊と契約を結びし者なり、我が盟約に従い、炎の精霊よ、集え。
猛る灼熱の炎で、全てを焼きつくせ」
詠唱をしながら、踊る様にクルリと一回転。
両手を右肩の上に挙げ、かしわ手を2回打つ。
その手を前に出すと、小さな炎がふらふらと前に飛び、
的に当たるとポスンと煙が上がる。ドヤ顔で有る。
「え……?」
その様子を何気に見ていた???なアルティス。
「見事です」
教師だろう女性が褒め称える。
攻撃魔法の訓練?アルティスは口を思いっきり膨らませ真っ赤な顔で
「フィ……フィナ……ちょ…… すぐ戻……」
転移魔法か?忽然と姿を消した。
「ぶゃ~はははっっっ!マジかマジなのか……ダメだ死ぬ~」
とある山の中。仰向けに腹を押さえて足をバタつかせ、涙を流しながら笑い転げるアルティス。
「侮れん!あいつらの魔法……この俺が笑い殺されるところだった……
凄まじい破壊力~~~」
「ハアハアハア……あれマジだよな……真剣にやってんだよなぁ?
それを笑っちゃ悪いけど……しかし完全にツボに入った……もうダメ死ぬ~」
「ごめんフィナ。待たせちゃって」
「も~ 5分もどこいってたのよ?」
「ちょっと、急にもよおしちゃって」
「もう、変なもの食べたんじゃ無い?」
「うん、ちょっと変わった物食らった……ハハハ」
フィオナは生徒に囲まれていた。
「あれが噂の英雄?」
「なんかヘラヘラして、それ程、強そうには見えないんだが?」
こそこそアルティスを見て囁いている。
「さあ、学園長がお待ちよ。急ぐわよ」
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