終わり

千夜 すう

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第一章

憂鬱と癒し

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今日は仕事で、普段の私だったらしないミスを連発したので主任に怒られた。
そして同時に心配もされた。

すみません。大丈夫です。

と言って、集中する為に両頬を叩いて切り替えた。



----------



ちゃんと、切り替えられたおかげで、あの後はミスが無くなり定時に仕事が終わった。


さぁ、懐かしきの同級生に会うかと気合を入れて、会社を出ようとした時に慣れた声に引き留められた。

振り返ると走ってきたのか、少し息を切らした主任が居た。

「駅まで一緒に行かないか?」

今日、ミスばっかりしてたから注意をされるのかなと思った。
でも、既に怒られてしまったし、その後は何も問題がなかったから即座に違うだろうと思考を打ち切った。

主任はその後、ちゃんとすれば引きずらない性格だ。

だから、なんの用事だろうと思った。

「駅までなら」

主任と横に並んで歩く

「今日は集中が出来てなくて本当にすみません」

歩きながら主任に向かって軽く頭を下げる

「そうだね。これから、気をつけるように」

真剣な声で注意される

「すみません。以後、気をつけます」

「うん。あ、これ」

差し出されたのは、会社の中に入ってるカフェの紙袋だった。

主任が自分用に買ったものかと思っていたが私にあげる物だった。

少し、躊躇いながら受け取った。


「ありがとうございます。でもなぜ?」

「普段なら、しないミスだからね。公私混同しない木佐が、動揺してたから、何かあったのかなって...お昼に誘われなかったし、俺は役に立たない出来事かなって思って、せめての癒しに」

少し、照れながら話してくれた。

「お気遣いありがとうございます」

心配してくれる上司が居るって、私は恵まれてるなと嬉しくて心が暖かくなった。

「なんか、覚悟を持った顔をしてる。頑張れ!」

「はいっ。頑張ります!」

主任にエールを貰った所で駅に着いた。

主任とは別方向なので解散した。

電車を待ってる間に紙袋の中身を見る。

星のクッキーが透明の袋に入れられていた。

ひと口

甘さ控えめのこの味が、結構お気に入りである。

主任ありがとうございます。
癒されました。

心の中で呟く。


心配されてる。

これから、結婚すると言った数日に、婚約破棄を言った。

幸せから不幸への報告に申し訳ない。

お礼も兼ねて、お返しに主任も好きな、会社の中に入ってるカフェのカップケーキを贈ろうと決めた。

電車の到着のアナウンスが入って、まだ残ってるクッキーを仕舞った。

車両に乗り、目的地の駅まで岡崎さんのアドバイスを元に、プチ同窓会でどう切り出すのか。
全ての段取りを頭の中で何度も色んなパターンに備えられる様に、シミュレーションをする。

これから、憂鬱なプチ同窓会だ

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