31 / 78
国王と令嬢と
しおりを挟む
「さて終わったな。ピエール、アルベルトが来たのはどうせエルザの件だろう。人払いをさせろ。」
「分かりました。」
バゼルハイド王はアルベルトを顎でしゃくり、部屋の隅に設置されているソファーへ向かうように促した。
自分も立ち上がると向かい合うソファーの反対側へと座る。
「おい!早く座れ。時間が惜しい。」
動こうとしないアルベルトに痺れを切らしたバゼルハイド王は静かに怒りを表した。
その声にアルベルトは眉間にシワを寄せたが、言われた通りに対面するソファーへと向かった。
「母さんとナタリーの交換の理由を。」
用件だけを簡潔に述べた息子の顔を見て、バゼルハイド王はフンッと鼻を鳴らした。必要以外の事を話したくはないという表れだろう。
「その理由を語るには、お前の恋人の話しをせねばなるまい。」
「恋人?」
「マリアの事だ。可愛らしい娘じゃないか。」
からかうそぶりを見せる父に、チッとアルベルトは舌打ちし顔をそらす。
「マリアが悪魔と契約を結んだんだ。それで状況が変わった。」
「悪魔とだと!!??」
アルベルトは耳を疑った。元いた国では魔物を飼育していただけで極刑、悪魔と契約などと知れれば本人だけで無く家族にまで何らかのお咎めがある。
マリアはその事を知っているはずだというのになぜ、、アルベルトは父の言葉を信用出来なかった。
「彼女に光魔法を使えるようになれればお前と結婚させてやろう伝えたのだが、、まさか悪魔と契約してくるとはな。愉快な子じゃないか。」
「愉快?あなたは何を考えているんだ?」
「何を?魔王を倒す事だ。邪魔な魔物達も殲滅する。」
「そんな事、、出来るはずがない!!各国の兵が出陣したのに歯が立たなかったんだ。魔物の殲滅など、、」
そんな有り得ない事、そしてそれはしてはいけない事だ。魔王は同胞を殺されたにも関わらず人間達を生かした。
恩を仇で返した上に戦いに負けるような事になれば人類はもう終わりだ。
「そうだ。今はまだ出来ない。それにはナタリーが必要なのだ。」
「ナタリーが?一体何の話しをしているんだ?訳が分からない。」
「お前に話す必要は無い。私が考え私が実行する。お前は事の顛末を見ていればそれで良い。」
「何だと!!」
アルベルトは席を立ちバゼルハイド王を掴みかかろうとしたが、少し先に立ち上がった彼に投げ飛ばされてしまう。
「うっ、、」
床に叩きつけられ衝撃で息が一瞬止まる。
背を床に付けたまま苦しげに上を見上げると、バゼルハイド王が去って行く姿が目に映った。
「話しは終わっていないっ、ゲホッ、ゲホッ、、」
「フッ、父に意見したくば私より強くなってからにしろ。」
バゼルハイド王は振り返りもせずそう告げると部屋を出て行った。
「クソッ!!!」
拳を床に叩きつけアルベルト吠えた。自分の無力さを痛感したからだ。
「一体何を考えている、、」
悔しそうに呟いた後、力無く立ち上がり部屋を後にした。
「アルベルト様、凄い音がしましたが大丈夫ですか?」
部屋を出てすぐ彼は声を掛けられた。
その声にアルベルトの身体は強張る。
そちらをゆっくりと見ると、予想通りマリアが微笑みながら立っていた。
ぱっちりした目に、淡い茶色のフワリとした肩までの髪、頬と唇は淡いピンクの花が咲いたような愛らしさ。アルベルトが好きになった彼女がそこに立っていたのだが、今の彼の目には何か他の恐ろしいモノに思えた。
「マリア、、」
「何ですかアルベルト様?最近お話し出来なくてとても寂しかったんですよ?」
上目遣いで瞳を濡らしてそう訴えてくる彼女にアルベルトは怒りを感じ、世にも恐ろしい壁ドンを繰り出した。
ドンッ!!!
威嚇する為に繰り出された壁ドンにもマリアは頬を染めて微笑んでいる。
「父から君が悪魔と契約したと聞いたが?」
睨みつけるように話すが、マリアは一向に怯える様子を見せないままだ。
「あら、バゼルハイド王様ったら秘密にしておけって言ってたのに、自分がバラしたのね。プンプンッ。」
頬を膨らませ怒る彼女を冷ややかな目で見ながら質問を続ける。
「なぜそんな事を?」
壁ドンに怯えないマリアに嘆息しアルベルトは彼女から離れた。名残惜しそうにアルベルトの小指をマリアが握ったが、それを鬱陶しそうに振り解く。
「もう!アルベルト様、冷たいですわぁ~。」
「いい加減にしろ!!今はそんな時ではないだろう!?理由を言え!!」
アルベルトは我慢の限界と言わんばかりにマリアに噛み付いた。しかし彼女はどこ吹く風でそんな彼の事すら頬を染めて見つめてくる。
「そんなのアルベルト様の為ですわ。アルベルト様は将来バゼルハイド王様の後を継いで国王になるのでしょう?少しでも国が良い状態で継いで欲しいと思うのは当たり前の事ですわ。」
マリアは胸を張り、拳を作ってどうだとばかりに軽く胸を叩いた。
「俺の為!?どうしてそうなる?悪魔と契約したのが俺の為だと!?一体悪魔に何を願う気なんだ!?しかもナタリーと母さんを入れ替えるなどと、、あれも君の仕業か!!??」
「それは違いますわ!ナタリーの代わりにエルザ様を選んだのはバゼルハイド王様です!あと数ヶ月で息子と結婚するはずだった公爵家の令嬢の代わりになるような者は、我妻ぐらいのものかと王様が勝手に言い出したのです!!」
「父が、、」
「そうですわ。」
呆然とするアルベルトを気遣うようにマリアはアルベルトの手を握った。
今度は振りほどく事が出来ず彼女の顔を見れば、彼女の柔らかな茶色い瞳に捕まり彼は目が離せなくなる、
(チッ、こんな時に何を考えているんだ!)
心の中でそう自分を叱咤したが、彼は手を握ったままで会話を再開する。
「そうまでしてナタリーを連れ戻す理由は?」
「フフフッ、供物にするのです。」
「供物だと!?」
マリアは頷き嬉しそうに笑った。
「魔力の強いうら若き乙女。それはそれは最高の供物になるんですって。ナタリーは学園の中でも一番と言われる程の魔法の才を持っていたでしょう?だからナタリーを進めてみたの。あっでも、進めたのは私だけど、それを最終的に選んだのは悪魔よ。私だけが悪いんじゃないわ。」
「悪魔悪魔というが、そいつは本当に願いなど叶えられるのか?」
「ええ。」
マリアは迷う事なくそう返事した。
「根拠は?」
「魔王の血族に2人だけ対価と同等の願いを叶えられる魔族がいるの。」
「魔王の血族?」
「そう。1人は魔王の兄カイエン、ナタリーが使役している悪魔よ。そしてもう1人は魔王の弟、ヴェルディス。私が契約した悪魔。」
アルベルトは驚愕し言葉が出なかった。そんな彼をマリアは面白そうに見やり微笑む。
「魔王の子供の中で魔王を襲名出来なかった者が悪魔と呼ばれ、その能力を発揮するんですって。知ってました?ん?アルベルト様?おーい!」
「ハッ、、、すまない。驚き過ぎて、、頭が付いていかなかった。」
「そうですよね。アルベルト様には早くお話ししたかったのですけど、バゼルハイド王様には止められるし、アルベルト様は私と話してくれないし。」
マリアは右手の拳を頭に乗せて困ったとポーズをした。アルベルトは呆然として彼女の事など見ていないのだが、彼女は可愛く見せる事に余念が無い。
「、、それにしても、君はどうやってヴェルディスと知り合ったんだ?」
ようやく頭が働き出したアルベルトは呟くようにそうマリアに聞いた。
マリアは嬉しそうな顔でワンピースがヒラリと広がるようにクルッと回って見せた後、アルベルトの手をもう一度取った。
「それを話すには私の生い立ちから話さなければなりません。長くなるのでどうぞ私の部屋へ。」
強引に引っ張る彼女に連れられてアルベルトはマリアの部屋へと歩いて行くのだった。
「分かりました。」
バゼルハイド王はアルベルトを顎でしゃくり、部屋の隅に設置されているソファーへ向かうように促した。
自分も立ち上がると向かい合うソファーの反対側へと座る。
「おい!早く座れ。時間が惜しい。」
動こうとしないアルベルトに痺れを切らしたバゼルハイド王は静かに怒りを表した。
その声にアルベルトは眉間にシワを寄せたが、言われた通りに対面するソファーへと向かった。
「母さんとナタリーの交換の理由を。」
用件だけを簡潔に述べた息子の顔を見て、バゼルハイド王はフンッと鼻を鳴らした。必要以外の事を話したくはないという表れだろう。
「その理由を語るには、お前の恋人の話しをせねばなるまい。」
「恋人?」
「マリアの事だ。可愛らしい娘じゃないか。」
からかうそぶりを見せる父に、チッとアルベルトは舌打ちし顔をそらす。
「マリアが悪魔と契約を結んだんだ。それで状況が変わった。」
「悪魔とだと!!??」
アルベルトは耳を疑った。元いた国では魔物を飼育していただけで極刑、悪魔と契約などと知れれば本人だけで無く家族にまで何らかのお咎めがある。
マリアはその事を知っているはずだというのになぜ、、アルベルトは父の言葉を信用出来なかった。
「彼女に光魔法を使えるようになれればお前と結婚させてやろう伝えたのだが、、まさか悪魔と契約してくるとはな。愉快な子じゃないか。」
「愉快?あなたは何を考えているんだ?」
「何を?魔王を倒す事だ。邪魔な魔物達も殲滅する。」
「そんな事、、出来るはずがない!!各国の兵が出陣したのに歯が立たなかったんだ。魔物の殲滅など、、」
そんな有り得ない事、そしてそれはしてはいけない事だ。魔王は同胞を殺されたにも関わらず人間達を生かした。
恩を仇で返した上に戦いに負けるような事になれば人類はもう終わりだ。
「そうだ。今はまだ出来ない。それにはナタリーが必要なのだ。」
「ナタリーが?一体何の話しをしているんだ?訳が分からない。」
「お前に話す必要は無い。私が考え私が実行する。お前は事の顛末を見ていればそれで良い。」
「何だと!!」
アルベルトは席を立ちバゼルハイド王を掴みかかろうとしたが、少し先に立ち上がった彼に投げ飛ばされてしまう。
「うっ、、」
床に叩きつけられ衝撃で息が一瞬止まる。
背を床に付けたまま苦しげに上を見上げると、バゼルハイド王が去って行く姿が目に映った。
「話しは終わっていないっ、ゲホッ、ゲホッ、、」
「フッ、父に意見したくば私より強くなってからにしろ。」
バゼルハイド王は振り返りもせずそう告げると部屋を出て行った。
「クソッ!!!」
拳を床に叩きつけアルベルト吠えた。自分の無力さを痛感したからだ。
「一体何を考えている、、」
悔しそうに呟いた後、力無く立ち上がり部屋を後にした。
「アルベルト様、凄い音がしましたが大丈夫ですか?」
部屋を出てすぐ彼は声を掛けられた。
その声にアルベルトの身体は強張る。
そちらをゆっくりと見ると、予想通りマリアが微笑みながら立っていた。
ぱっちりした目に、淡い茶色のフワリとした肩までの髪、頬と唇は淡いピンクの花が咲いたような愛らしさ。アルベルトが好きになった彼女がそこに立っていたのだが、今の彼の目には何か他の恐ろしいモノに思えた。
「マリア、、」
「何ですかアルベルト様?最近お話し出来なくてとても寂しかったんですよ?」
上目遣いで瞳を濡らしてそう訴えてくる彼女にアルベルトは怒りを感じ、世にも恐ろしい壁ドンを繰り出した。
ドンッ!!!
威嚇する為に繰り出された壁ドンにもマリアは頬を染めて微笑んでいる。
「父から君が悪魔と契約したと聞いたが?」
睨みつけるように話すが、マリアは一向に怯える様子を見せないままだ。
「あら、バゼルハイド王様ったら秘密にしておけって言ってたのに、自分がバラしたのね。プンプンッ。」
頬を膨らませ怒る彼女を冷ややかな目で見ながら質問を続ける。
「なぜそんな事を?」
壁ドンに怯えないマリアに嘆息しアルベルトは彼女から離れた。名残惜しそうにアルベルトの小指をマリアが握ったが、それを鬱陶しそうに振り解く。
「もう!アルベルト様、冷たいですわぁ~。」
「いい加減にしろ!!今はそんな時ではないだろう!?理由を言え!!」
アルベルトは我慢の限界と言わんばかりにマリアに噛み付いた。しかし彼女はどこ吹く風でそんな彼の事すら頬を染めて見つめてくる。
「そんなのアルベルト様の為ですわ。アルベルト様は将来バゼルハイド王様の後を継いで国王になるのでしょう?少しでも国が良い状態で継いで欲しいと思うのは当たり前の事ですわ。」
マリアは胸を張り、拳を作ってどうだとばかりに軽く胸を叩いた。
「俺の為!?どうしてそうなる?悪魔と契約したのが俺の為だと!?一体悪魔に何を願う気なんだ!?しかもナタリーと母さんを入れ替えるなどと、、あれも君の仕業か!!??」
「それは違いますわ!ナタリーの代わりにエルザ様を選んだのはバゼルハイド王様です!あと数ヶ月で息子と結婚するはずだった公爵家の令嬢の代わりになるような者は、我妻ぐらいのものかと王様が勝手に言い出したのです!!」
「父が、、」
「そうですわ。」
呆然とするアルベルトを気遣うようにマリアはアルベルトの手を握った。
今度は振りほどく事が出来ず彼女の顔を見れば、彼女の柔らかな茶色い瞳に捕まり彼は目が離せなくなる、
(チッ、こんな時に何を考えているんだ!)
心の中でそう自分を叱咤したが、彼は手を握ったままで会話を再開する。
「そうまでしてナタリーを連れ戻す理由は?」
「フフフッ、供物にするのです。」
「供物だと!?」
マリアは頷き嬉しそうに笑った。
「魔力の強いうら若き乙女。それはそれは最高の供物になるんですって。ナタリーは学園の中でも一番と言われる程の魔法の才を持っていたでしょう?だからナタリーを進めてみたの。あっでも、進めたのは私だけど、それを最終的に選んだのは悪魔よ。私だけが悪いんじゃないわ。」
「悪魔悪魔というが、そいつは本当に願いなど叶えられるのか?」
「ええ。」
マリアは迷う事なくそう返事した。
「根拠は?」
「魔王の血族に2人だけ対価と同等の願いを叶えられる魔族がいるの。」
「魔王の血族?」
「そう。1人は魔王の兄カイエン、ナタリーが使役している悪魔よ。そしてもう1人は魔王の弟、ヴェルディス。私が契約した悪魔。」
アルベルトは驚愕し言葉が出なかった。そんな彼をマリアは面白そうに見やり微笑む。
「魔王の子供の中で魔王を襲名出来なかった者が悪魔と呼ばれ、その能力を発揮するんですって。知ってました?ん?アルベルト様?おーい!」
「ハッ、、、すまない。驚き過ぎて、、頭が付いていかなかった。」
「そうですよね。アルベルト様には早くお話ししたかったのですけど、バゼルハイド王様には止められるし、アルベルト様は私と話してくれないし。」
マリアは右手の拳を頭に乗せて困ったとポーズをした。アルベルトは呆然として彼女の事など見ていないのだが、彼女は可愛く見せる事に余念が無い。
「、、それにしても、君はどうやってヴェルディスと知り合ったんだ?」
ようやく頭が働き出したアルベルトは呟くようにそうマリアに聞いた。
マリアは嬉しそうな顔でワンピースがヒラリと広がるようにクルッと回って見せた後、アルベルトの手をもう一度取った。
「それを話すには私の生い立ちから話さなければなりません。長くなるのでどうぞ私の部屋へ。」
強引に引っ張る彼女に連れられてアルベルトはマリアの部屋へと歩いて行くのだった。
0
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる