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本当の始まり

校外学習2日目 後

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アル達が見張りを減らしている時、講堂内ではイサキオスとカルロス先生が話し合っていた。
講堂の前には檻に入れられた生徒が数名いる。
あの檻は、魔力に反応して潰れるように出来ており、誰かが魔力を使えば生徒が死ぬのだ。
そして、魔力以外の攻撃も出来ないように、生徒1人に剣が向けられている。
八方塞がりだ。

「先生、どうにかならないのでしょうか?」

「1時間ごとに学園へ安否報告を行っているのだが、それが途絶えければ学園からも応援が来るはずだ。しかし、、この手際の良さ、学園側に裏切り者がいるかもしれない。1人裏切っているのか、2人裏切っているのか、、。」

安否報告は1時間ごとに先生が学園へ報告に行く決まりだ。しかし、先生の中に裏切り者がいれば嘘の報告をするかもしれない。そこで、1時間ごとの報告は同じ先生が行わない決まりがある。
先生が1人裏切っているだけなら、2時間もあれば学園から偵察部隊が来るだろう。
しかし、2時間も生徒達が無事でいられるだろうか。
すでに先生が3人ほど殺された。
学園で雇われている先生達は相当の魔法の使い手だ。
その先生が3人もやられたのだ。それよりも強い者達が占拠している事になる。
狙いはヘンリー、、彼がこの場にいないのは幸運だった。

「あとこの場を何とか出来るとすれば、クリスティーナ、マグリット、ニコラス、サーキス、、。いやもう動いているかもしれないな。無事であれば良いのだが。」

「、、ティーナ。」

イサキオスは拳を握りしめた。
自分のいない所でまた彼女か危ない目に合うのか、、。
俺に力があれば、、。
握りしめた手に爪が刺さり血が流れる。
カルロス先生が気付いてやめさせた。

「俺達が出来る事を考えよう。それに、いざという時に冷静でいなければ。」

先生は彼の肩を叩いた。

「ティーナ、、どうか無事で。」

彼がそう願っている時、クリスティーナはゴブリンの首を蔦で切り落としていた。
ホラー映画状態だ。

「ねぇ、何で私が結界張りながら1人でこんな事しなくちゃいけないの?」

マグリットの指示によりこうなった。

「俺は右、サーキスは左を見張ってるんだ仕方ないだろ。」

先生を呼びに行った皆が帰って来ないので、あちらでも何かあったと判断した私達は、周囲を警戒しながらゴブリンを倒す事にした。
マグリットが急に仕切り始め今の状態になった。
私は前へ進みながら、自分が進んだ分結界を狭め、そして見える範囲のゴブリンを倒していく。
ゲームでは倒せば魔物の姿が消えて無くなるが、現実はそうではない。
魔物の屍がどんどん増えていく、
私は吐き気がし始めた。

「ねぇ、魔力が無くなるって。」

これもゲームと違い、魔力量は数字で判断できない。
何か減ってきたなという感覚しかないのだ。

「やれるだけやれ。倒れたら担いでやるから。」

マグリットが口の端だけで笑う。
サーキス君は心配そうにチラチラ見てくるが、これといって他に良い案が無いのだろう、マグリットに口答えしない。

「ねぇ、私班長だよね?私に仕切らせてよ。」

私はゴネた。
こいつが本当に担いで帰ってくれるのか疑わしいからだ。

「うるさい!緊急事態だ。班長を交代する。」

何だそれ。
いや、諦めよう。
口ではコイツに勝てないのだから。

それにしても、蔦でゴブリンを殺すたびに、魔力が減り、他の何かが身体に溜まっていく感覚がする。
一体これは何なのか。
何度かバレンティアの血に振り回されたので、私は警戒した。
お父様にバレンティアの血に振り回されるのでなく、バレンティアの血を利用出来るようになれと言われていた。
それがきっと隠密ゼロに繋がっていくのだろう。
ドロリと溜まっていく何かに違和感を感じながら、私はゴブリンを倒していった。
そして半分ほど数を減らしたところで異変が起きたのだ。
逃げ惑っていたゴブリン達が私の元へ寄って来て、結界ギリギリの辺りで平伏し始めた。

「これは一体、、。」

さすがにこの状態のゴブリンを殺すのは良心が咎める。
私はマグリット達を見た。
彼らは警戒を怠らないようにしながら、私の元へ集まる。

「何でお前好かれてるんだ?」

「さすがクリスティーナ様、魔物達まであなたの素晴らしさを理解しているのですね。」

「いや、それはないでしょう?」

これは彼らの演技なのか、、ゴブリンは知能が高くないが、これだけの数で集団生活をしているのだ。学園の授業で学んだゴブリンとは違い知能が高いのかもしれない。
それなら、平伏したこの状態が演技な可能性がも十分あり得る。
結界を解くわけにはいけないが。

「この前お前に頼み事をしただろ?」

唐突にマグリットが話し始めた。
カルロス先生の写真の事だろう。あれは頼み事ではなく命令だったと思うが。
私は頷いた。

「カルロス先生に王城にある閲覧禁止の書庫に入って貰う為に脅したんだ。」

私は目を見開いた。
先生に何て事を頼んでいるんだ。しかも王城の閲覧禁止となれば、先生が化けたのはチャールズ陛下だろう。

「先生も良く引き受けたね?」

私は苦笑いした。

「俺達の調べたい事に理解を示してくれたんだ。その時に読んだ本の中に、魔物の血を自分の魔力に取り込む事で、魔の力を高めるという本を読んだんだ。」

「魔の力?」

「お前、この前魔竜を囲む結界を張っただろ?あの時にすでに凄い量自分に取り込んでいたんじゃないか?」

私は禍々しい姿の魔竜を思い出した。
あの禍々しいやつの何かを取り込んだ、、ゾッとした。

「それって私ヤバイの?」

私が震え上がると、サーキス君がそっと肩を抱いてくれる。
いや、逆効果だよ?余計震えるよ?

「お前は元々闇の魔法の使い手だ。多分ヤバくない。どの様な影響があるかは記されていなかったが、自分の力を高めるとそう書いてあった。」

3人はゴーレム達を見る。

「で、これなの?」

私は尋ねたが、マグリットは答えない。彼にも分からないのだろう。
平伏したゴーレム達をかき分け、一際大きいゴーレムが先頭にやってきた。
そいつはお辞儀した後に口を開いた。

「ココチヨイマリョクカンジタ。アナタマカイノヒメカ?アナタツヨイ。ワレラシタガウ。コロサナイデ。」

私達は目を丸くした。

心地よい魔力を感じた。あなたは魔界の姫なのか?あなたは強い。我らは従うので殺さないでくれ。

彼はそう言ったのだ。

「私達の言葉が話せるの!?」

私が聞くと、ゴーレムは頷いた。

「ハナセルノオレダケ。ホカノハナセナイ。デモワカル。」

私はマグリットを見る。
信用出来るのか?
マグリットは言った。

「今結界を解いても俺達は殺されるほど弱くない。信用してみるか?」

サーキス君も頷いた。

「彼らの目は私があなたを見る目と同じだ。これが嘘とは思えない。それに何かあればクリスティーナ様は私が命がけで守る。」

「、、サーキス君、私の事魔物と同じ目で見てるの?」

私は悩んだが、戻って来ない仲間達も気になっていたので、結界を解く事にした。
その途端、彼らはワラワラと私に群がる。
殺される。一瞬そう思ったが、彼らは私に抱き付いては離れて行く。

「何か野良犬の匂いがする。」

私は獣臭い匂いに耐えながら妙な儀式が終わるのを待った。
しばらくすると、大きなゴーレムが私の後ろに並び、その後ろに皆も並んで行く。
かなり殺してしまったが、それでも500ぐらいはいるか。
見た目は恐ろしい顔にボコボコした手足で可愛らしさは皆無なのだが、何だか懐かれると、殺した事への罪悪感が湧き上がってくる。

「後でお墓作るから、、ごめんね。」

私は何だかシュンとした。
サーキス君が手を握ってくる。
だから逆効果だからね?
彼をチラッと見たが、蛇の様な目をキラキラさせて見てくるので結局振りほどけない。
最近見た目蛇な彼が犬に見えてくるから不思議だ。
後ろを振り返ると、煮えたぎる鍋をかき混ぜていそうな魔女の風貌のゴーレム達がゾロゾロ付いて来ている。
彼らも同じ目をしている。
一体何なんだ。
私はため息を吐いた。
これがバレンティアの血なのか?

「おい、向こうで何があったのか分からないのに、こんなに目立ちながら歩いて良いのか?」

マグリットが今更言い出した。

「そうだね。このまま行ったら、ゴーレム達皆に殺されるよね。」

私は考えた後、代表ゴーレムに皆に隠密の魔法をかけるから、勝手な行動を取らないようにお願いをした。
私達とゴーレムに隠密の魔法をかける。
結界は解いたが、人数が人数だ。
これだけの数に隠密魔法を使えば魔力を相当消耗する。
ちなみに私達がお互いどこにいるかは分かるようにする。これにはコツがいるが、説明は端折る。

「大丈夫なのか?」

マグリットが聞いてきた。
魔力が保つかという質問だろう。

「分かんない。だから急ごう。」

私の魔力残量は一体いかほどなのか。
私達は走り始めた。

寮の辺りまで戻って来ると、建物の隅でイザベル達が黒ずくめの男達を縛っているのが見えた。
やはり何かあったのだなと思いながら近付く。

「今はそんな事言ってる場合でないでしょ。」

イザベルが小さな声でマリアに怒っていた。
マリアは嘲るように笑っている。

「イザベル。」

私は彼女の名を呼び、ゴーレム以外の人の隠密を解いた。
イザベルは私の姿を認めると、抱き付いて来た。

「あぁ、ティーナ、無事だと思っていたわ。」

「静かに。イザベル、ヘンリー達は?アルもこっちに来たはずなんだけど。」

私はアルの隠密魔法で、ヘンリーとニコラスが黒ずくめの男達を減らしている話しを聞いた。

「皆講堂の中でいるわ。生徒を人質に取られて先生方も動けないの。」

「狙いはヘンリーだな?」

マグリットが言った。
イザベルは頷く。

「黒ずくめの男達がヘンリーはどこだと言っていたから間違いないわ。」

私は大事なことを思い出した。

「あのね、驚かないで聞いて欲しんだけど、、」

私は、イザベル、マリア、マリアの取り巻きにゴーレムの話しをした。
皆目を丸くしていたが、彼らの姿が見えないのが幸いしそこまで騒がなかった。

「あんた、何てものに好かれてるのよ。まぁ、連れて来たものはしょうがないわ。それにしてもどうするの?」

「講堂の結界を潜り抜ける方法がある。それは、、隠密ゼロ。バレンティアではお父様だけが使える魔法。」

これはお父様が身に付けた特殊な魔法だった。お兄様もまだ使いこなせていない。パオロ君から聞いた後、お父様から手紙で教えられた。

「そんなもの使えるの?」

マリアが口を開いた。
彼女はそんな存在私は知らないと言っていた。彼女がゲームの事を知っているなら、乙女ゲームには存在しなかったという話しだろう。

「使わないと、皆が死ぬ。」

その時、ちょうどヘンリー達も戻って来た。
私は作戦を皆に伝えた。
結界の中に私が入り、人質を解放する。イサキオス達にゴブリンの事を伝え、中と外から結界を破り、敵がゴブリン達に驚いている間に黒ずくめの男達を捕まえる。
作戦は至ってシンプルだ。
後は私がゼロを使えるかどうかだけ。

私は皆と別れ、普通の隠密で講堂の前まで行った。結界は張ってあったが、ドアは開いている。中が見渡せたが、人が多くて分かりづらい。
お父様の手紙を思い出す。
バレンティアの血を意識して、その血を操れと。
決して操られてはいけない。
私は集中し、血を意識したがやはり簡単に使うことは出来ない。
焦ってはいかないと思うが、目の前に囚われた人が見える。焦るのが普通だ。

私は目を閉じ、意識を深いところへ落としていく。
バレンティアの血とは、、深いところへ落としては浮上するを繰り返す。
ゴブリンに隠密をかけているせいで、魔力の消耗が激しい。
頭がフラつく。
ヘンリー達も近くで待っているはずだ。
私は講堂の隅に移動し、懐に隠し持っていた短剣を取り出した。
それで思いっ切り腕を切りつけた。
鮮血が飛び散り、その場が赤く染まる。

「バレンティアの血を操る。」

自分の血を眺めているうちに、私はこの前血に支配されて人を殺しかけた時の事を思い出していた。
あの時は覚悟が足りなかった。
覚悟が足りないくせに、お父様を助けたいなど甘い事を思っていた。
でも、、、、
でも今は違う。
私の目が赤く輝く。
そして吹き出した血が固まっていく。

「隠密ゼロ」

そして私は存在しなくなった。
そこに何も無い。
それが隠密ゼロ。

結界内にすんなり入った私はイサキオスを探した。
人にぶつかるが、気にもされない。
しばらく走って彼を見つけた。
正面からぶつかり抱きしめた。

「ティーナ?」

なぜ彼には分かるのか。
私は彼と側にいたカルロス先生に事情を話した。
彼らが身動きが取れない理由も聞いた。
講堂の前に目をやると檻の中に入れられた生徒が目に入る。

「私が彼らが潰される前に彼らに結界を張ります。剣を突きつけられている者は身体強化を。講堂の結界が壊されたらゴーレム達がなだれ込む事になっているので、騒ぎになったすきに生徒の避難させ黒ずくめの男達を捕まえて下さい。」

そして、生徒達にゴブリンを殺させない為、ゴブリンが来るので殺すなと伝言を回してもらう。

私はそのまま檻へ移動しようとした。
イサキオスは正確に私の腕を掴み引き寄せた。
彼に私はどう見えているのだ、、。

「ティーナ無茶はするな。」

彼の心配そうな瞳に胸が詰まる。
私は彼の頬に手を当てそっとキスをした。

「後で。」

そう言い残し振り返らずに前へ向かった。
それからは面白いほど上手く行った。
人質さえ解放されれば、無敵のイサキオスがいるのだ。それに加え、ニコラスもとても強かった。
ゴブリンの群れを見た時には皆怯えていたが、彼らは黒ずくめの男達に突進して行ったので皆ホッとした様子だった。

1つ誤算だったのは、黒ずくめの男達が捕まると分かったやいなや、自害した事だった。
最初にヘンリー達が捕まえた奴ら以外は皆死んでしまった。
先生は講堂の外に移動した生徒達をまとめるていた。
転移の魔法陣が壊されてしまったいたので、帰るのは明日になりそうだ。

私はというと、ゴブリン達に囲まれたいた。
一緒に行きたいと言われたのだが、連れて行くわけにはいかない。
私は皆に謝り、また来ると約束した。
帰るまでに時間があれば殺してしまったゴブリン達のお墓を作ろう。

ゴブリン達は森へと帰って行った。
代表ゴブリンが、

「ヒメマタアオウ。」

と手を挙げた。
私は頭を下げたのだった。

やれやれと背伸びをした。
魔力を使い過ぎたのだろう今にも倒れそうだ。
イサキオスが近づき私の身体を支える。

「部屋まで連れて行く。少し寝たらどうだ?」

私は首を振った。

「もう少しここでいる。」

イザベル達も私の側へやって来ていた。

その時、Fクラスの担任が剣を握り鬼の様な形相でこちらへ走って来るのが見えた。
走った先にはヘンリー、残党か。
先に気付いたイザベルがヘンリーの前に立ちはだかる。
イザベルが切られるそう思った瞬間に私は彼女の前へ転移した。
驚く皆が見たものは、切り捨てられた私の姿ではなく、禍々しい剣を握りしめ先生の剣を吹き飛ばした私の姿だった。

魔剣。
その昔、裂け目よりやって来た魔王が握っていたとする剣。
伝説とされている為、本当にあるのかどうかも分からない代物だった。
私はそのまま先生に斬りかかった。

人を殺すならば、殺される覚悟を持たねばならない。
私もこれを背負おう。

「でも、お前も背負え!!!」

私は叫んだ。
この日私は初めて人を殺めたのだった。

悔いはない。

私は魔力が枯渇し、この後意識を手放した。
全て終わったのだと思い心は穏やかだった。

しかし、終わったのでは無かった。
むしろ始まったのだった。
それを知ったのは私が目を覚ましてからだった。
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