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わんこ認定

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学園生活2日目の朝、私はメイドのリサとアンリに遊ばれていた。
タイマリス学園には制服が無い。
身分に関係無く魔法が使える者が通う学園なので、平民の子供達も多く存在する。
制服を買えない子供達がいるのでは可哀想だと、学園側の配慮なのだろう。

服装に決まりは無いが、授業の邪魔にならない服装が望ましいと説明があったので、女の子達はドレスは着ない。

とは言っても、上は王族まで通う学園なので、ワンピースに豪華な刺繍をあしらったり、皆服装に工夫を凝らしている。
ドレスを着ずとも女の子は華やかだ。

私は男装して通っているので、そんな可愛い服装をせずに済むのだが、、。
リサとアンリが、短パンを履かせたい、蝶ネクタイは?サスペンダーを付けてみよう!!と、朝から張り切っている。

何だか坊ちゃんスタイルになった自分を鏡で見て、私は恥ずかしくなった。

「普段でも膝小僧なんて出さないのに、何でこんなに足を出さなくちゃいけないんだ!」

私がふてくされると、リサとアンリが声を合わせて、

「「可愛いからです!」」

と言った。どうやら2人は仲良くやっているらしい。
私は諦めて朝ご飯を食べる事にした。
従者のトマスが紅茶を入れてくれる。

「クリス様、2人を許してあげて下さい。昨日あなたが学園へ行かれてから、あーでもないこーでもないと2人で随分と悩んでいたみたいですから。」

私は苦笑いしながら頷いた。

「リサは昔から言い出したら聞かないのです。気の合うアンリが加わってしまえば、私は太刀打ちできませんよ。諦めて2人に服装の事はお任せします。」

私の言葉が聞こえ、2人のメイドが嬉しそうに顔を見合わせていた。

その日から本格的な授業が始まった。

Aクラスの授業速度は思ったより早く、予習をしていなかったら、付いて行けなかったかもしれない。

しかし、ヘンリーやマグリットは先生に当てられても、難なく問題を答えていたのでさすがである。
私も何度か当てられた。少し時間がかかってしまったが答えられたので良しとしよう。
、、イザベルの勉強を見ている場合ではないな。
ちょっと後悔する。

昼までの授業が終わり私がカフェへ行こうとしていると、ヘンリーが一緒に行こうと誘ってくれた。
マグリット、イサキオス、アルルーノも一緒である。

イサキオスとアルルーノと話す機会を持てたので、ヘンリーに感謝である。
ついに推しとお話しが!!、、いかんいかん、私欲に走ってはいけない。

「初めまして。クリス・ランカスターです。クリスと呼んでください。よろしくお願いします。」

私が先に名乗ると、アルルーノが人好きする笑顔で答えてくれた。

「こっちこそよろしく。アルルーノ・ストレンディアだよ。アルってよんで!あっ、敬語も無しねぇ~。」

「俺はイサキオス・ベルナドットだ。イサキスと呼んでくれ。」

、、、イサキス?何か妙な響き、、
何となく呼びづらくて、私はポロっと言ってしまう。

「オぐらい呼ぶよ?」

それを聞いたアルが笑い出した。

「そりゃそうだよね、イサキスってそんな短くなってないし!それならいっそ、イッキスで良いんじゃないの?」

イサキオスの眉間にシワが入る。

「そんなくしゃみみたいな名前嫌だ。」

イサキオス以外の4人の目が合う。
、、くしゃみ??

「えっ?イッキション!!って事?」

アルがくしゃみの真似をした。
ヘンリーが顔を横に向け、肩で笑っている。

「うるさいな!俺がイッキスなら、マグリットだってマグと呼ぶぞ!」

おっ、マグリットまで被害が、、
マグリットは逡巡した後、さも当たり前のように言った。

「惚れた女が甘々にマグと呼ぶなら良いが、ヤローに呼ばれたくない。」

変な空気が漂う。
たまりかねて私が口を開く。

「悪かったよ。私がいらない事を言ったせいだ。ヘンリー、マグリット、イサキオス、アル、私はそう呼ぶよ!」

「じゃぁ俺はクリスの事クリって呼ぼ~うっと。」

アルがまだ茶化す。
私が額に手を当ててため息を吐いていると、イサキオスが私に真剣に語り出した。

「クリスは私じゃない。ヘンリーとマグリットは私で良い。俺は俺。アルも俺だ。だがクリスは僕!その方が似合う。」

イサキオスが何を言っているか分からなくて、私は今馬鹿みたいな顔になってるはずだ。

「クリスは可愛いから僕だ!」

「僕?」

「そうそう。」

私は聞き返したつもりだったのだが、イサキオスは満足そうに頷いた。

「???」

困って3人の方を見ると、3人とも顔を横に振っている。諦めろと伝えてきているようだ。
ヘンリーが小さな声で、

「イサキオスがこの前子犬を拾った時と同じ顔をしている。気に入られたという事だ。諦めろ!」

と言ってきた。
いきなりのワンコ認定!?

ランチが終わり教室へ帰る時、イサキオスに頭を撫でられ、手を繋がれた。

私今男の子なんですけどぉぉぉ!!!
前世の推しにワンコ扱いされ、うろたえる。

、、推しがすでに脳筋化している?何考えているか分からない、、グフッ(血)

この日から私は、少しずつ彼に飼い慣らされていく事をまだ知らない。
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