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いざ学園へ
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そしてついにやってきた!!
短い準備期間ではあったが、必死にやったと自分を褒めても良いぐらいには頑張った。
今はランカスターの家にいる。
ランカスターの馬車に乗り込み学園を目指す。
メイドには、リサの他にランカスターのメイドが1人付いて来てくれる。
それに従者が1人を加え、3人で私の面倒を見てくれる。
年頃の男の子にメイド2人でまずい。
従者は必須だ。
「今日からクリス様にお仕えさせて頂きます、トマスです。どうぞよろしくお願い致します。」
「アンリです。よろしくお願い致します。」
2人が深々とお辞儀する。
「こちらこそよろしくお願いします。ランカスター家の事で分からない事があれば、あなた達を頼りにします。難しい任務になるので、皆も気を引き締めて下さい。」
「 「「はい!」」」
3人の声が重なった。
これから5年間、私は学園の寮で暮らす事になる。
王城が近くにあるのだが、ヘンリーは寮で住む。移動の際に狙われるのを避けるためというが、ゲームでヘンリーが寮に住んでいた事を考えると、何らかの強制力が働いたのでは?とも思う。
ランカスター家も王都の近くにあるのだが、殿下をお守りするなら、なるべく離れない方が良いだろうと私も寮へ入る。
そうこう考えている間に、学園に着いた。
今日は荷物の整理をし、明日から学園生活が始まる。
クラス分けの張り出しは今日からと言っていたので、先に確認して来よう。
噂ではヘンリーが新入生代表の挨拶をすると聞いたので、予想通り試験でトップを取ったのだろう。
私はメイド達と分かれて、クラス分けの張り出しをしている正面玄関へ向かった。
そこにはもう人だかりが出来ている。
遠くからシャルロットの姿も確認出来たが、彼女とは他人を装わなければいけない。
仲良く話したいなら、学園生活で自然と友達になりましたよという前置きが必要だ。
しばらくは話しかけられない事は分かっていたのに、内心落ち込みつつ歩いて行った。
張り出した紙を確認した。
ヘンリー、マグリット、イサキオス、アルルーノ、そして私はAクラスだった。
クラスは、AからFまでで分けられる。
だいたい30人ぐらいのクラスなのだが、最初の頃だけは、Aクラスには10人程しかいない。
1年に何回もある試験により、良い得点を取った者はAクラスに上がる事が出来る。
Aクラスに近づけば近づく程、授業の進み具合が早いので、付いて行けなければ下のクラスへ、飲み込みが早ければ上のクラスへ変わっていく。
このシステムは合理的ではある。
しかしその分クラスメイトとの関係は、希薄なものになりそうだ。
1年に何回もクラスが入れ替わるので、仲良くなってはサヨウナラのなるだろう。
しかし、3年目を向かえるとそれも落ち着く。
2年間は一般的な学業と魔法の基礎技術を叩き込まれる。
3年目から本格的な魔法を習い始めるのだ。
一般的な学業を習う時間は極端に少なくなる。
そこで3年目からは試験結果ではなく、魔法の能力によるクラス替えになる。
クラス替えも1年に1度だけだ。
ゲームでは年齢は違うものの、ヒロイン、マリアが入学するのはこの3年目からだろう。
魔法は生まれつき備わっている者と、途中から発揮する者とふた通りに分かれる。
タイマリス学園は何歳からでも入学も受け入れているので、途中からの編入も可能なのだ。
しかし途中からの編入では基礎知識を学ぶ事が出来ないので、補習を受けその穴を埋めていく。
私はその時ゲームの事で思い出した。
そういえば、ゲームのヘンリーには婚約者がいる。
実際でもいたはずだ。
ゲーム内では、悪役令嬢としてヒロインをイジメ倒すイザベル・ラウエニア公爵令嬢がいる。
はて?イザベルはどのクラスなのだろう?
名前を探しても見当たらない。
ゲームに酷似した世界ではあるが、彼女は存在しないのか?と思った所で、Fクラスで彼女の名前を見つける。
私は目が点になった。
裕福でない者達も学園にはいるので、勉強が出来ない事を馬鹿にするつもりはない。
家の手伝いをしている者と、日々勉強が出来る環境にいる者を比べるなどおかしいと思うからだ。
しかし、イザベルは公爵令嬢なのだ。淑女教育の他に、王妃教育も始まっているだろうが、教育を受ける事が出来る立場にいる。
しかも殿下の婚約者候補ではなく、婚約者なのだ。
未来の王妃がFクラスでは、目も当てられない。
まぁでも、自分の任務には関係ないか。私は考えないようにした。
、、、、やっぱり考えないように出来ない。
2年後にはヒローインがやって来る。
私はどちらにも思い入れがないので、殿下とどちらが結ばれても構わない。
、、構わないのだが、、。
悪役令嬢イザベルは、殿下の婚約者になった時から、きっと血反吐を吐くような王妃教育を受けて来ているだろう。
周りの目を気にして、普通の令嬢よりも窮屈に暮らしてきたはずだ。
そんな努力をしてきた彼女は、ヒローイン、マリアよりもヘンリーに相応しい。
私はそう思う。
イザベルがどんな令嬢かは分からない。
ゲームの印象では、気の強いプライドの高い令嬢だ。
しかし王妃になるのには、気の強さもプライドの高さも必要なものだろう。
私は殿下を守る任務の他に、イザベルの教育という任務を並行して行えないかと考える。
自分の首を絞める様な気もするが、、。
知らなければ良かったと、うーん、うーんと唸りながら寮へと戻る私だった。
短い準備期間ではあったが、必死にやったと自分を褒めても良いぐらいには頑張った。
今はランカスターの家にいる。
ランカスターの馬車に乗り込み学園を目指す。
メイドには、リサの他にランカスターのメイドが1人付いて来てくれる。
それに従者が1人を加え、3人で私の面倒を見てくれる。
年頃の男の子にメイド2人でまずい。
従者は必須だ。
「今日からクリス様にお仕えさせて頂きます、トマスです。どうぞよろしくお願い致します。」
「アンリです。よろしくお願い致します。」
2人が深々とお辞儀する。
「こちらこそよろしくお願いします。ランカスター家の事で分からない事があれば、あなた達を頼りにします。難しい任務になるので、皆も気を引き締めて下さい。」
「 「「はい!」」」
3人の声が重なった。
これから5年間、私は学園の寮で暮らす事になる。
王城が近くにあるのだが、ヘンリーは寮で住む。移動の際に狙われるのを避けるためというが、ゲームでヘンリーが寮に住んでいた事を考えると、何らかの強制力が働いたのでは?とも思う。
ランカスター家も王都の近くにあるのだが、殿下をお守りするなら、なるべく離れない方が良いだろうと私も寮へ入る。
そうこう考えている間に、学園に着いた。
今日は荷物の整理をし、明日から学園生活が始まる。
クラス分けの張り出しは今日からと言っていたので、先に確認して来よう。
噂ではヘンリーが新入生代表の挨拶をすると聞いたので、予想通り試験でトップを取ったのだろう。
私はメイド達と分かれて、クラス分けの張り出しをしている正面玄関へ向かった。
そこにはもう人だかりが出来ている。
遠くからシャルロットの姿も確認出来たが、彼女とは他人を装わなければいけない。
仲良く話したいなら、学園生活で自然と友達になりましたよという前置きが必要だ。
しばらくは話しかけられない事は分かっていたのに、内心落ち込みつつ歩いて行った。
張り出した紙を確認した。
ヘンリー、マグリット、イサキオス、アルルーノ、そして私はAクラスだった。
クラスは、AからFまでで分けられる。
だいたい30人ぐらいのクラスなのだが、最初の頃だけは、Aクラスには10人程しかいない。
1年に何回もある試験により、良い得点を取った者はAクラスに上がる事が出来る。
Aクラスに近づけば近づく程、授業の進み具合が早いので、付いて行けなければ下のクラスへ、飲み込みが早ければ上のクラスへ変わっていく。
このシステムは合理的ではある。
しかしその分クラスメイトとの関係は、希薄なものになりそうだ。
1年に何回もクラスが入れ替わるので、仲良くなってはサヨウナラのなるだろう。
しかし、3年目を向かえるとそれも落ち着く。
2年間は一般的な学業と魔法の基礎技術を叩き込まれる。
3年目から本格的な魔法を習い始めるのだ。
一般的な学業を習う時間は極端に少なくなる。
そこで3年目からは試験結果ではなく、魔法の能力によるクラス替えになる。
クラス替えも1年に1度だけだ。
ゲームでは年齢は違うものの、ヒロイン、マリアが入学するのはこの3年目からだろう。
魔法は生まれつき備わっている者と、途中から発揮する者とふた通りに分かれる。
タイマリス学園は何歳からでも入学も受け入れているので、途中からの編入も可能なのだ。
しかし途中からの編入では基礎知識を学ぶ事が出来ないので、補習を受けその穴を埋めていく。
私はその時ゲームの事で思い出した。
そういえば、ゲームのヘンリーには婚約者がいる。
実際でもいたはずだ。
ゲーム内では、悪役令嬢としてヒロインをイジメ倒すイザベル・ラウエニア公爵令嬢がいる。
はて?イザベルはどのクラスなのだろう?
名前を探しても見当たらない。
ゲームに酷似した世界ではあるが、彼女は存在しないのか?と思った所で、Fクラスで彼女の名前を見つける。
私は目が点になった。
裕福でない者達も学園にはいるので、勉強が出来ない事を馬鹿にするつもりはない。
家の手伝いをしている者と、日々勉強が出来る環境にいる者を比べるなどおかしいと思うからだ。
しかし、イザベルは公爵令嬢なのだ。淑女教育の他に、王妃教育も始まっているだろうが、教育を受ける事が出来る立場にいる。
しかも殿下の婚約者候補ではなく、婚約者なのだ。
未来の王妃がFクラスでは、目も当てられない。
まぁでも、自分の任務には関係ないか。私は考えないようにした。
、、、、やっぱり考えないように出来ない。
2年後にはヒローインがやって来る。
私はどちらにも思い入れがないので、殿下とどちらが結ばれても構わない。
、、構わないのだが、、。
悪役令嬢イザベルは、殿下の婚約者になった時から、きっと血反吐を吐くような王妃教育を受けて来ているだろう。
周りの目を気にして、普通の令嬢よりも窮屈に暮らしてきたはずだ。
そんな努力をしてきた彼女は、ヒローイン、マリアよりもヘンリーに相応しい。
私はそう思う。
イザベルがどんな令嬢かは分からない。
ゲームの印象では、気の強いプライドの高い令嬢だ。
しかし王妃になるのには、気の強さもプライドの高さも必要なものだろう。
私は殿下を守る任務の他に、イザベルの教育という任務を並行して行えないかと考える。
自分の首を絞める様な気もするが、、。
知らなければ良かったと、うーん、うーんと唸りながら寮へと戻る私だった。
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