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深崎香菜

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クリスマスの緊張

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「おはよー」
「母さん、僕今日からアパート戻るね」
たった数日だったが実家に戻っていた時間は楽しかった。
「お正月はどうするの?」
「ん。お正月にはまた戻ることにする」
「・・・すぐなのにね」
「本当にね」
それでも母は僕が今日帰りたい理由を察してくれてるのか
朝食を用意してくれた後は何も言わなくなった。
僕は朝食を食べた後母と少しだけ話、
眠っている父に一言三言声を掛けて家を出た。
 
 
病室に行くとお母さんがいた。
「お久しぶりです」
「本当久しぶりねー。
 今日は亮介君が来るって聞いて少しだけ顔を出したの。
 安心してね?すぐ帰るから。」

 
言葉どおりお母さんは十分ほどで帰ると言った。
帰り際、送らないでいいと言った後、
僕にだけ聞こえる声で
『頑張ってね』
と囁いた。
 
な、ななななな?!
 
「亮ちゃん、どしたの?」
「え、いや…うん。」
「か、顔赤いよ!?熱?!ってさっきまで大丈夫だったし…何!?」
何も応えないで僕は冷蔵庫からケーキを出す。
「たたた食べましょう」
「何動揺してんのさ?!
 ケーキは夜だよ!!」
 
 
その後も彼女にいろいろ聞かれたが
なんとか誤魔化すことができたみたいだった。
…僕は飢えてるのかもしれない…悲しくなる。
夜ご飯を彼女は食べないと言ったが
かつ丼を諦めることにしてちゃんと病院食を口にする。
お医者さんにお菓子の許可はもらってるとブイサインを見せるが
ケーキは別なんじゃ…と思うがあえて突っ込まない。
 
ケーキの箱を開けると彼女はまるで
昨日の町内のクリスマス会にいた子供たちのようにはしゃぐ。
僕はそれを笑いながら適当な大きさに切り分けた。
「んーー!いい香りぃ☆」
確かに箱を開けた瞬間からいい香りだ。
僕も早く食べたくなるがまずは彼女に渡した。
「えーっと。ここにおきますね」
お皿にそっと彼女の手を触れさせる。
看護士さんがいつも彼女の食事を運んでくるときにしていることだ。
彼女は元気よく返事して僕からスプーンを受け取る。
(ケーキといえばフォークなのだが、
 もしもの時に口に上手く運べずに顔のどこかに傷をつけたら…という
 お医者さんたちからの気使いだった。)
僕も自分の分を皿に移して口に入れる。
二人同時に
「んっまー!!!」
 

 
 
 
ケーキは見事完食。
彼女が2/3を食べたと言ってもいいだろう。
何処に入るんだか…。
彼女は僕からのプレゼントをとても気に入ってくれた。
ぬいぐるみとカーデガンだった。
彼女は嬉しそうに笑ってカーデガンを羽織ってくれた。
 
僕は彼女の横に小さなベッドを置いてもらった。
彼女の手を握りながらベッドに入り天井を見つめる。

 
さっきからかすかに聞こえているのだが
声がする。
正直怖いのだが気づかないフリをする。
 
「…ちゃん…りょ…ちゃん」
 
それが僕の名前を呼んでいると気づくとなおさらだが
こんな変な呼び方をするのは彼女しか…いない。
「どうしましたか?」
「…ぁ…返事した」
「まだ起きてますからね」
「だって…返事しないし…寝たのかなって」
「ん…いやね…ハッキリ聞こえなかったので…」
「怖かったんだ」
「え」
「亮ちゃんって怖がりだったんだ」
彼女の言葉に飛び起きる。
な…情けないが反論が出来ない。
僕って正直者過ぎるのかもしれないな…。
「クスクス
 そんな音で起きなくってもいいじゃないの。」
「…で、なんでしょうか」
「ええ!?イキナリ…?」
「何か問題でも?」
消灯時間はとっくに過ぎていて、
さっきも誰かが見回りに来たところだというのに彼女は大声を出す。
それが何故かおかしくて笑う。
「…笑わないで」
いつかの会話を懐かしむ。
ニヤニヤと笑っていると彼女が僕の手をクイクィっと引いた。
 
「…?」
「…そっちに…行ったら駄目かな…」
「え」
突然の事で少し焦るが僕は起き上がり彼女のベッドに潜り込んだ。
「この方がいいでしょう?」
「どうして?」
「僕が隠れて寝るか、誰かが来た時は飛び降りますから」
そう言うと彼女はクスクス笑った。
なーにがおかしいんだか。
そんな彼女が可愛く思い僕は頭をそっと撫でてやった。
「ねえ…亮ちゃん?」
「ん?」
「…キスしていただけませんか?」
 
これまた突然の申し出に一瞬時間が止まる。
僕は心の中でキスだけ…キスだけ…と
呪文を唱えながら彼女の唇にキスをした。
予想外なことに彼女は僕の背中へと手を回す。
唇と唇が触れるだけのキスのつもりが深く…深く…なっていく。
「…知らない間にもっともっと積極的になったんですか?」
そう聞くと
「うるさい」
と、言われた。
彼女の手が僕の手を掴む。
今度は彼女からキスをしてくれた。
手探りで僕の唇を探し唇にキスをする。
そんな仕草が前とは少し違うところを思わせる。
掴んだ手は次第に上へと持ち上げられ柔らかい物に触れる…?!
思わず唇を離して彼女を座らせた。
 
「・・・・?」
「あ、あの!!」
「はい」
「え、えっと…
 それは…マズイんじゃないでしょうか」
「…大丈夫」
「でも…」
「大丈夫。誰も来ないよ」
彼女の目が潤んでいた。
そしてカーテンの隙間から入り込んだ月明かりで少し赤くなっているのがわかる。
僕はその『大丈夫』という言葉を信じて
そっとキスをした。
「…知りませんからね」
「…はい」
 
 
僕はゆっくりとパジャマのボタンに手を掛ける。
上から一つ、一つ、丁寧にはずしていく。
しかし、三段目辺りで上手くいかなくなる。
久々の彼女の身体に少し戸惑う僕がいる。
顔を上げると目をギュっと瞑って恥ずかしそうにしている彼女の顔がある。
その表情を見て気持ちを落ち着かせて三段目へと戻る。
全て外せたらゆっくりと脱がせた。
袖が抜けたとき彼女の身体に力が入ったのを感じる。
 
「…やめますか?」
彼女は首を横に振った。
僕はそのままゆっくりと彼女を寝かせた。
「…目隠しプレイ初体験はどうでしょうか?」
と、少し場を和ませた。
彼女は恥ずかしそうな顔のままで僕の肩を叩いた。
パチンッという音が小さく響く。
「え?!い、いつ脱いだの!?」
僕が上を脱いだのに気づかなかったのか
彼女はとても驚いていた。
「…えーっと、知りませんからねの後の『はい』の直後かな」
「…早ー…」
僕は少し笑った後またキスをする。
 
額、鼻、頬、首筋、胸元、ゆっくりと胸の先、そしてお腹…
 
僕が下へ下へと落ちるたびに彼女の身体はビクっとし、
そして硬くなる。
僕はそれが可愛くて仕方が無くて
ショーツギリギリまで唇を持っていくとまた上へと上がる。
今度は首筋まで唇を持ってきた時舌を這わせた。
彼女の口からは小さな声が漏れる。
ゆっくりと胸元に手を伸ばし右手は胸へ、左手はホックへと手を伸ばす。
静かな病室だからかホックを外した時『プチ』という音が耳に届いた。
ゆっくりとブラを取ると僕はそのまま彼女の胸へと口を持っていく。
 
「…ッ」
声を押し殺す仕草が可愛くて意地悪をしたくなる。
ゆっくりとお腹へと舌を這わせてショーツの上から舌を押し込むようにする。
「…ぁ…」
この小さな声がまた小さく響く。
彼女は慌てて口を抑える。
僕は可愛くて可愛くて仕方が無くて思わず抱きしめた。
そして抑えている手を除けてキスをした。
 
ショーツの中へと手を忍ばせる。
彼女がギュっと足を閉じた。
「…閉じてたら続きません。
 …やめますか?」
また彼女は首を横に振る。
「さ、力抜いてくれないと。」
「どうして…今日はそんな意地悪なの?」
涙目で見つめられる。
もしかしたら僕は…Sなのだろうか。
僕は何も言わずにニコっと笑う。
(きっと彼女には無視をされたと取れるだろう。)
そのままゆっくりと半無理矢理に閉じた足の間に指を入れた。
 
「…ッ・・・りょ…ちゃん…」
「…どうしましたか?」
「…だ…めかも…」
「…じゃあやめましょう」
やはり首を横に振る。
僕は彼女の足の間から指を抜いて彼女の足をグっと開く。
 
「…えと、お邪魔…します」
「…え…は、はい」
いつも言わないことを言うので少し戸惑う様子。
正直僕も戸惑っているんだ。
そして彼女の上に覆い被さるような体制になり
彼女をギュっと引き寄せた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…僕はベッドに戻ったほうがいいんですかね?」
「え…戻っちゃうの?」
「ん、この中で寝るのマズイです…よ?」
「うぅ…」
仕方が無いので一晩中起きていることを決意する。
見回りなんてあと一,二回がいいところだろう。
看護士さんが来たら本当に飛び降りよう。
もしくは布団の中に潜るか…だ。
 
 
その晩、僕はずっと彼女の寝顔を見つめていた。
結局三回ほど誰かが来たわけだが
覗く程度だったので僕が布団の中にいることはバレなかった。
今日は学校サボッテ絶対寝よう…
そう強く思った夜明けだった。
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