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第二章
16 出発
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大勢のメイドや執事たちが並ぶ中、ミストレア城の庭園で朝食を取りながら、アルスとアウグストス王子は語り合っていた。
「国境越えについてはこちらで話は通しておいたぞ。税金に関しても免税してくれるそうだ」
アウグストス王子は、テーブルの上に置かれたサンドイッチをつまみながらアルスにそう言った。
「意外とあっさりと話が通ったんだな。もう少し条件を付けてくるのかと思ったんだが」
「まあ、向こうは先のテロ事件の件で引け目を感じているみたいだからな、そう強くは出れないんだろう」
「すまないなアウグスト、色々と用立ててもらって」
「おいおい気にするなよ、俺とお前の仲だろ。それにこうしてあちら側と交流できるようになったのも、元々はお前のおかげだ。こっちが感謝したいくらいだ」
王子は爽やかな笑みを浮かべながらテーブルの上に置かれたポットを手に取り、アルスのテーカップにミルクを注ぐ。
ポット自体が加熱が付与された魔道具の為、注がれたミルクからは湯気が立っている。
「これは……普通のミルクとは違うな」
ミルクを一口飲んだアルスは、少し驚いたような表情をする。
娯楽の無い戦場において、食事のみが数少ない娯楽だった彼にとって、食に妥協することは決してしなかった。
そんな彼の舌を納得させるほど、このミルクは絶品だったのだ。
「畜産用に改良された巨獣の乳だそうだ。これもあそこの特産品の一つだ。まだ交易ルートが確立されてないから貴重品だがな」
「なるほど、なら向こうに行ったときに土産として買って来よう」
「ああ、楽しみにしてるぜ。しかし本当に行くのか? 片道でも馬車で一週間はかかるぞ? その間学校はどうするんだ?」
「しばらく休むことになるだろうが、まあ仕方ないだろう。さて、そろそろ通学の時間だ」
アルスはビヒモスのミルクを飲み干すと、学生鞄を持ち立ち上がった。
学院に通うようになってからはずっと、王城に居候して王子と朝食を取ってから通学するのが日課となっていたアルスだった。
「最初は心配だったが、ちゃんと学院の生徒たちとうまくやっていけてるみたいだな」
そう言いながら、アルスの後姿を見送る王子だった。
◇◇◇
「聞きましたわよ。オルムス商会に目をつけられるとは、とんだ災難に巻き込まれたようですわね、アルスさま」
「エリーゼか、一体どこでその話を聞きつけてきた?」
教室の席について早々、エリーゼから声をかけられるアルス。
委員長誘拐事件以降、彼女にあまり良い印象を持っていないアルスは、少し身構えた様子で言葉を返す。
「私の情報網を甘く見ない事ですわね。それに私も、オルムス商会の事はあまりよく思っていませんの」
「どういうことだ?」
「アルスさまは、私がこの首都で一番の防具屋、アイゼンゴシックのオーナーを務めさせていただいている事はご存知ですわよね?」
「いや、初耳だが」
「……ま、まあいいですわ。要するに私もオルムス商会の被害者の一人ということですの」
アイゼンゴシックは、エリーゼが父親の出資で起ち上げた女性専用の防具を取り扱う店。
厳選した素材を使ってのオーダーメイドが売りの店で、ドヴァリの工房と同じく、オルムス商会の素材買い占めの被害を被っていた。
「そ、そこで提案なんですけど、同じ被害者同士何かお力になれることはないかと思いまして」
ここで恩を売ってアルスに好印象を与えておけば、汚名返上も出来て、アルスとの距離がぐっと近づくだろう、そんな打算が込められたエリーゼの提案だった。
「……」
エリーゼの提案に半ば警戒しながらも、しばし考える様子のアルス。
彼女を完全に信用しているわけではないが、一応級友の一人だ。
円滑な学園生活を送るためにも、ここはエリーゼの提案を受け入れるのも悪くないと考えるアルスであった。
「そうだな、人数は多いに越したことはない。頼りにしているぞエリーゼ」
「ええ、どんと任せてくださいですの! 私にできることなら何でも力になりますわ!」
◇◇◇
出発の日、首都ミストレアの郊外には無数の馬車が停泊していた。
馬車の周りでは、出発の準備をする者達がせわしなく動いている。
皆が準備を急いでいる中、一人馬車の後部に腰を掛け、優雅に紅茶を啜っているエリーゼの姿があった。
いつもの制服は来ておらず、黒を基調としたドレスアーマーを着用している。
所々白い刺繍とフリルのついたそれは、機能性よりもデザイン性を重視したような造りになっていた。
彼女の周りでは取り巻き二人が必死で荷物を馬車に積み入れている。
「とりあえず言われた通りに、二週間分の食料と鉱石輸送用の馬車、それに冒険者の護衛を十名ほど雇ってきましたわ」
エリーゼは、馬車の近くへとやってきたアルスに気づきそう言った。
アルスはいつもの制服に漆黒の外套、腰ベルトにミスリルサーメット製の双剣という魔剣士モードの出で立ち。
「上出来だエリーゼ。見直したぞ」
「べ、別に感謝の言葉はいりませんわよ! この遠征で貿易ルートが確立できれば、私のお店にとっても大きなメリットになることですしね!」
そう言いはしたが、アルスに褒められてまんざらでもない様子のエリーゼ。
「はぁ、ほんとにあなたもついてくるのね、エリーゼ」
ため息交じりにエリーゼに言うのは、馬車に自分の荷物を積み終わったばかりのノエル。
彼女の服装は白を基調としたドレスローブに細剣。ただし動きやすさを重視してか、スカートの丈は短めで、動くたびにその下にある黒いスパッツが顔をのぞかせている。
「ええ、私もオルムス商会の思い通りにはさせたくはないので、助力は惜しみませんですわ。 それと、この間はすみませんでしたわノエルさん。改めて、力を合わせていきましょうですわ!」
ここぞとばかりに反省しているアピールをするエリーゼ。あまりのわざとらしいセリフに、ノエルも呆れかえる。
「おーい! アルスくん! ノエルくん! みんなを連れてきたよ!」
遠くからそう叫びながらやってきたのは、アルベール部長と魔導研究部の部員たちと、ドヴァリとその商売仲間たち。
「おお、結構大掛かりだな。昔キャラバンで行商してたのを思い出すぜ」
ドヴァリは自分の身長より大きな荷物を馬車に入れながら、どこかわくわくしたような顔をしていた。
「そういえば聞くのを忘れていたけど、まだ手付かずの鉱山がある国って、一体どこなんだい?」
アルベール部長は、一番肝心なことを聞き忘れていたことに気づき、アルスに質問した。
「ああ、そのことか、俺もうっかり言い忘れていたが、魔王領にある鉱山だ」
「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」
その地名を聞き、その場にいる一同が皆同じ反応をした。
「国境越えについてはこちらで話は通しておいたぞ。税金に関しても免税してくれるそうだ」
アウグストス王子は、テーブルの上に置かれたサンドイッチをつまみながらアルスにそう言った。
「意外とあっさりと話が通ったんだな。もう少し条件を付けてくるのかと思ったんだが」
「まあ、向こうは先のテロ事件の件で引け目を感じているみたいだからな、そう強くは出れないんだろう」
「すまないなアウグスト、色々と用立ててもらって」
「おいおい気にするなよ、俺とお前の仲だろ。それにこうしてあちら側と交流できるようになったのも、元々はお前のおかげだ。こっちが感謝したいくらいだ」
王子は爽やかな笑みを浮かべながらテーブルの上に置かれたポットを手に取り、アルスのテーカップにミルクを注ぐ。
ポット自体が加熱が付与された魔道具の為、注がれたミルクからは湯気が立っている。
「これは……普通のミルクとは違うな」
ミルクを一口飲んだアルスは、少し驚いたような表情をする。
娯楽の無い戦場において、食事のみが数少ない娯楽だった彼にとって、食に妥協することは決してしなかった。
そんな彼の舌を納得させるほど、このミルクは絶品だったのだ。
「畜産用に改良された巨獣の乳だそうだ。これもあそこの特産品の一つだ。まだ交易ルートが確立されてないから貴重品だがな」
「なるほど、なら向こうに行ったときに土産として買って来よう」
「ああ、楽しみにしてるぜ。しかし本当に行くのか? 片道でも馬車で一週間はかかるぞ? その間学校はどうするんだ?」
「しばらく休むことになるだろうが、まあ仕方ないだろう。さて、そろそろ通学の時間だ」
アルスはビヒモスのミルクを飲み干すと、学生鞄を持ち立ち上がった。
学院に通うようになってからはずっと、王城に居候して王子と朝食を取ってから通学するのが日課となっていたアルスだった。
「最初は心配だったが、ちゃんと学院の生徒たちとうまくやっていけてるみたいだな」
そう言いながら、アルスの後姿を見送る王子だった。
◇◇◇
「聞きましたわよ。オルムス商会に目をつけられるとは、とんだ災難に巻き込まれたようですわね、アルスさま」
「エリーゼか、一体どこでその話を聞きつけてきた?」
教室の席について早々、エリーゼから声をかけられるアルス。
委員長誘拐事件以降、彼女にあまり良い印象を持っていないアルスは、少し身構えた様子で言葉を返す。
「私の情報網を甘く見ない事ですわね。それに私も、オルムス商会の事はあまりよく思っていませんの」
「どういうことだ?」
「アルスさまは、私がこの首都で一番の防具屋、アイゼンゴシックのオーナーを務めさせていただいている事はご存知ですわよね?」
「いや、初耳だが」
「……ま、まあいいですわ。要するに私もオルムス商会の被害者の一人ということですの」
アイゼンゴシックは、エリーゼが父親の出資で起ち上げた女性専用の防具を取り扱う店。
厳選した素材を使ってのオーダーメイドが売りの店で、ドヴァリの工房と同じく、オルムス商会の素材買い占めの被害を被っていた。
「そ、そこで提案なんですけど、同じ被害者同士何かお力になれることはないかと思いまして」
ここで恩を売ってアルスに好印象を与えておけば、汚名返上も出来て、アルスとの距離がぐっと近づくだろう、そんな打算が込められたエリーゼの提案だった。
「……」
エリーゼの提案に半ば警戒しながらも、しばし考える様子のアルス。
彼女を完全に信用しているわけではないが、一応級友の一人だ。
円滑な学園生活を送るためにも、ここはエリーゼの提案を受け入れるのも悪くないと考えるアルスであった。
「そうだな、人数は多いに越したことはない。頼りにしているぞエリーゼ」
「ええ、どんと任せてくださいですの! 私にできることなら何でも力になりますわ!」
◇◇◇
出発の日、首都ミストレアの郊外には無数の馬車が停泊していた。
馬車の周りでは、出発の準備をする者達がせわしなく動いている。
皆が準備を急いでいる中、一人馬車の後部に腰を掛け、優雅に紅茶を啜っているエリーゼの姿があった。
いつもの制服は来ておらず、黒を基調としたドレスアーマーを着用している。
所々白い刺繍とフリルのついたそれは、機能性よりもデザイン性を重視したような造りになっていた。
彼女の周りでは取り巻き二人が必死で荷物を馬車に積み入れている。
「とりあえず言われた通りに、二週間分の食料と鉱石輸送用の馬車、それに冒険者の護衛を十名ほど雇ってきましたわ」
エリーゼは、馬車の近くへとやってきたアルスに気づきそう言った。
アルスはいつもの制服に漆黒の外套、腰ベルトにミスリルサーメット製の双剣という魔剣士モードの出で立ち。
「上出来だエリーゼ。見直したぞ」
「べ、別に感謝の言葉はいりませんわよ! この遠征で貿易ルートが確立できれば、私のお店にとっても大きなメリットになることですしね!」
そう言いはしたが、アルスに褒められてまんざらでもない様子のエリーゼ。
「はぁ、ほんとにあなたもついてくるのね、エリーゼ」
ため息交じりにエリーゼに言うのは、馬車に自分の荷物を積み終わったばかりのノエル。
彼女の服装は白を基調としたドレスローブに細剣。ただし動きやすさを重視してか、スカートの丈は短めで、動くたびにその下にある黒いスパッツが顔をのぞかせている。
「ええ、私もオルムス商会の思い通りにはさせたくはないので、助力は惜しみませんですわ。 それと、この間はすみませんでしたわノエルさん。改めて、力を合わせていきましょうですわ!」
ここぞとばかりに反省しているアピールをするエリーゼ。あまりのわざとらしいセリフに、ノエルも呆れかえる。
「おーい! アルスくん! ノエルくん! みんなを連れてきたよ!」
遠くからそう叫びながらやってきたのは、アルベール部長と魔導研究部の部員たちと、ドヴァリとその商売仲間たち。
「おお、結構大掛かりだな。昔キャラバンで行商してたのを思い出すぜ」
ドヴァリは自分の身長より大きな荷物を馬車に入れながら、どこかわくわくしたような顔をしていた。
「そういえば聞くのを忘れていたけど、まだ手付かずの鉱山がある国って、一体どこなんだい?」
アルベール部長は、一番肝心なことを聞き忘れていたことに気づき、アルスに質問した。
「ああ、そのことか、俺もうっかり言い忘れていたが、魔王領にある鉱山だ」
「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」
その地名を聞き、その場にいる一同が皆同じ反応をした。
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