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256 不知火マイコ襲来?
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1月6日は、柔道連盟絡みで連盟会長の鬼塚一子と約束があった。
場所はパラレル市武道館の中にある柔道連盟事務所。
2月20日から隣県で開催される世界柔道の仕事に関してだ。
武道館の会議室を押さえた。鬼塚、勇太、柔道アイドル不知火マイコ、そして連盟役員4人で集まる。
マイコ以外は揃った。
ここで勇太は自分の仕事より、純子&風花のユニット活動の仕事がたくさんあるから、積極的に関わる。
勇太の作詞作曲という前世パクり曲は、スポーツ女子に特に人気がある。
案の定、別方面からのオファーは来た。
けれど、勇太は間門問題の家庭裁判所の調停で敗訴。『過去の人格に問題アリ』の判子が押されている。
実際にパラレル勇太がダメ人間だった。
また風花が他人の骨髄ドナーになって仕事の直前キャンセルもした。
各団体に保守派が必ずいる。
結局は勇太の歌のリクエストが多いから、結果はオファーなのに出遅れた。
協議しているうちに柔道連盟が純子&風花のスケジュールを押さえてしまった。
2月は高校柔道・冬の選手権から世界柔道の絡みで、宣伝の段階から歌う。
卒業シーズン、夏場の仕事まで柔道連盟や、鬼塚一子の知り合いの仕事で埋まった。裏では風花に恩がある『マカド』がスポンサーになったりしている。
2月の世界柔道まで時間も迫っているし、純子&風花は今日は撮影とレコーディングだ。
手厚い待遇は、鬼塚一子の策略。
「鬼塚会長、お世話になります」
「こっちこそ、人気の勇太君達がスケジュールを空けてくれて助かるよ」
「いえ、風花さんを助けてもらったことは分かっています。俺がやれることは何でも協力させて下さい」
思惑通り、勇太、純子、風花の3人は連盟の仕事を優先すると約束してくれた。
勇太は、外国の選手から要望がありプレゼンターと現地インタビュアーもやる。
ところで、今日は世界柔道の前の特番に出る不知火マイコもパラレル市に来るはずだが、予定時間になっても来ない。
彼女は世界柔道の本戦に出る。
来年、令和8年8月のニースオリンピック63キロ級の代表が日本に2枠ある。そのうち1枠が取れそうなのだ。
なんだかんだいって、北海道で練習ばかりしている。だから勇太に会いに来れないのだ。
そのマイコが楽しみにしていた勇太と会える日に遅れるとは思わなかった。
「どうしたんでしょうね、不知火さん」
「電話で済ませられるとこ、わざわざ北海道から出て来るって、アイツから言ったのにな・・」
「さっきLIMEでパラレル駅から走って来るから、時間の5分前に着くって連絡あったんですけどね」
勇太がLIMEを送っても既読にならない。
「ま、アイツはどうでもいいや」
柔道アイドルの不知火だが、鬼塚の扱いは雑である。
すると、会館の玄関が騒がしくなった。
パタパタと騒々しい足音が聞こえる。
「来ましたね」
「そのようだな」
ガチャと使っている会議室のドアが空くと、確かに不知火マイコがいた。
マイコを見て、勇太と鬼塚だけでない、みんな驚いた。
「みなさん、お待たせして申し訳ありません」
基本、礼儀正しいマイコは深々と頭を下げたが、みんなマイコの右目のあたりを見ている。
頭から血が流れているのだ。
「勇太君、どうかされましたか?」
「し、不知火さん」
「おまっ、マイコどうした、その怪我」
なにはともあれ、不知火マイコを会館の医務室に連れていった。
なぜか不知火マイコに付き添う男子がいる。勇太は彼を知っている。
勇太が最近の知り合った中3の花京院夏樹。伊集院君の中3の従弟だ。
彼をマイコが助けて傷を負ったらしい。
傷は深くないが、頭に包帯を巻いた。
「すみません、お姉さん」
「いや、男子を助けるのは女子の役目だ。もう帰りなさい」
マイコは、紳士的だ。
王子様キャラは、周囲の女の子のニーズが多すぎて崩せなくなった。
ただどう見ても、男子に敬遠されている男子より格好いいマイコが、美少年の夏樹を拒絶しているように見える。
「それよかマイコ、お前が怪我するなんて何があった」
「実は・・」マイコに代わって夏樹が話し出した。
結論を言えば、迂闊で危ない目にあった夏樹をマイコが助けた。
場所はパラレル市武道館の中にある柔道連盟事務所。
2月20日から隣県で開催される世界柔道の仕事に関してだ。
武道館の会議室を押さえた。鬼塚、勇太、柔道アイドル不知火マイコ、そして連盟役員4人で集まる。
マイコ以外は揃った。
ここで勇太は自分の仕事より、純子&風花のユニット活動の仕事がたくさんあるから、積極的に関わる。
勇太の作詞作曲という前世パクり曲は、スポーツ女子に特に人気がある。
案の定、別方面からのオファーは来た。
けれど、勇太は間門問題の家庭裁判所の調停で敗訴。『過去の人格に問題アリ』の判子が押されている。
実際にパラレル勇太がダメ人間だった。
また風花が他人の骨髄ドナーになって仕事の直前キャンセルもした。
各団体に保守派が必ずいる。
結局は勇太の歌のリクエストが多いから、結果はオファーなのに出遅れた。
協議しているうちに柔道連盟が純子&風花のスケジュールを押さえてしまった。
2月は高校柔道・冬の選手権から世界柔道の絡みで、宣伝の段階から歌う。
卒業シーズン、夏場の仕事まで柔道連盟や、鬼塚一子の知り合いの仕事で埋まった。裏では風花に恩がある『マカド』がスポンサーになったりしている。
2月の世界柔道まで時間も迫っているし、純子&風花は今日は撮影とレコーディングだ。
手厚い待遇は、鬼塚一子の策略。
「鬼塚会長、お世話になります」
「こっちこそ、人気の勇太君達がスケジュールを空けてくれて助かるよ」
「いえ、風花さんを助けてもらったことは分かっています。俺がやれることは何でも協力させて下さい」
思惑通り、勇太、純子、風花の3人は連盟の仕事を優先すると約束してくれた。
勇太は、外国の選手から要望がありプレゼンターと現地インタビュアーもやる。
ところで、今日は世界柔道の前の特番に出る不知火マイコもパラレル市に来るはずだが、予定時間になっても来ない。
彼女は世界柔道の本戦に出る。
来年、令和8年8月のニースオリンピック63キロ級の代表が日本に2枠ある。そのうち1枠が取れそうなのだ。
なんだかんだいって、北海道で練習ばかりしている。だから勇太に会いに来れないのだ。
そのマイコが楽しみにしていた勇太と会える日に遅れるとは思わなかった。
「どうしたんでしょうね、不知火さん」
「電話で済ませられるとこ、わざわざ北海道から出て来るって、アイツから言ったのにな・・」
「さっきLIMEでパラレル駅から走って来るから、時間の5分前に着くって連絡あったんですけどね」
勇太がLIMEを送っても既読にならない。
「ま、アイツはどうでもいいや」
柔道アイドルの不知火だが、鬼塚の扱いは雑である。
すると、会館の玄関が騒がしくなった。
パタパタと騒々しい足音が聞こえる。
「来ましたね」
「そのようだな」
ガチャと使っている会議室のドアが空くと、確かに不知火マイコがいた。
マイコを見て、勇太と鬼塚だけでない、みんな驚いた。
「みなさん、お待たせして申し訳ありません」
基本、礼儀正しいマイコは深々と頭を下げたが、みんなマイコの右目のあたりを見ている。
頭から血が流れているのだ。
「勇太君、どうかされましたか?」
「し、不知火さん」
「おまっ、マイコどうした、その怪我」
なにはともあれ、不知火マイコを会館の医務室に連れていった。
なぜか不知火マイコに付き添う男子がいる。勇太は彼を知っている。
勇太が最近の知り合った中3の花京院夏樹。伊集院君の中3の従弟だ。
彼をマイコが助けて傷を負ったらしい。
傷は深くないが、頭に包帯を巻いた。
「すみません、お姉さん」
「いや、男子を助けるのは女子の役目だ。もう帰りなさい」
マイコは、紳士的だ。
王子様キャラは、周囲の女の子のニーズが多すぎて崩せなくなった。
ただどう見ても、男子に敬遠されている男子より格好いいマイコが、美少年の夏樹を拒絶しているように見える。
「それよかマイコ、お前が怪我するなんて何があった」
「実は・・」マイコに代わって夏樹が話し出した。
結論を言えば、迂闊で危ない目にあった夏樹をマイコが助けた。
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