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152 パラレル世界の大家族
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原山良作さん72歳の話を聞いた勇太とルナ。
午後4時になって帰ろうかと思ったが原山さんに止められた。
「今日は俺もメシ作るから食ってけ。52人分が54人分に増えるだけだ。大した違いはねえ」
原山さんは元料理人。パラレル市で最初に会った依子さんの家の食堂を手伝いながら腕を上げた。
そして、珍しい『美味しい男子メシの店』として有名になった。
希少な男子の、きちんとした食堂だから繁盛したそうだ。
お嫁さんが10人を越えたとき、海辺の街に引っ越し。水族館や観光地があるエリアに店を構え、10年前までシェフとして働いていた。
あえてオーナーにはならず、リクエスト次第で店に出ていた。嫁16人を大事にする男は多忙なのだ。
現在もお子さん数人で店を切り盛りしていて、たまに良作さんも顔を出して腕を振るっている。
今日は連休ということで、妻14人、息子2人、娘7人、息子の嫁8人、孫とひ孫20人が原山家に集まっているそうだ。
奥さんが2人欠けている。1人が入院中で、1人が亡くなったそうだ。
勇太の帰りも、娘さんが車を出してくれて送ってくれることになった。
勇太は興味津々。前世のテレビでも大家族特集を見たことがあるが桁が違う。
これで原山老人の直系家族の一部だという。
家に到着すると大きな芝生広場のような敷地に、本殿とでもいうのか大きな家があった。そして周りに沢山の一軒家。
誰かが進学、就職、結婚で家を出たり、息子や娘が結婚して嫁を連れてきたりと、数ヵ月単位で人が激しく入れ替わるそうだ。
「よっしゃー始めるぞ。俺は今日は、ホイコーロー作るぞ」
「良ちゃん、じゃあ私と春ちゃんでエビチリ作るよ」
「私とマリちゃんがスープだね」
「孫が喜ぶから、こっちは餃子でも焼こうか」
「さあ、ご飯の準備始めるよ~~~」
依子さんの号令が、敷地全体に拡声器で響き渡った。
お嫁さん達、娘の5人と息子1人、孫7人が本宅の厨房に顔を出した。
息子の1人と子供の年長組は小さな子供の相手。
残りの女子は配膳の準備。
たちまち原山邸本殿は戦場と化した。
ルナは喧噪の中で勇太ファミリーの将来を思い浮かべているのか、キラキラした目でメモを取っている。
勇太とルナも厨房を手伝うことにした。原山さんの孫たちと勇太で大量の野菜を切っていく。
ルナは餃子を包んでいる。
勇太は前世が4人家族で、今回が3人家族。
この大人数の作業にちょっとテンションが上がった。
「おお、勇太は手際がいいな。さっき孫から作詞作曲で有名って聞いたが、何でもやれるんだな」
「まあ、幸いに当面は歌で食っていけそうですね」
「大したもんだ。楽譜読めるんだな。俺は小学5年の秋から小学校に行ったけど、結局は学がねえ。料理は楽しいだけな」
喋りながら鍋を振っていく良作さん。大騒ぎしながらご飯が完成。
旅館の宴会場のような広間で、晩ご飯が始まった。
「かんぱーい。遠慮なく食ってくれ。花枝と妙子の漬けた漬けものもうまいぞ」
「遠慮なくいただきます」
「おいしー」
普段は、こうではないそうだ。小単位というか、バラバラにご飯を食べて、何かあるときに集まって食事をするとか。
確かに50人分のご飯なんて、毎食用意するのは大変すぎる。
生活費に関しては話し合い制。2か月に1回、大人達で集まって各自が出す費用などを割り当てていく。
取り仕切る最初の嫁・依子さんや娘混成の管理グループ4人には、みんなから給料代わりのお小遣いが出る。
マックスで100人を越える家の管理は、立派な仕事なのだ。食事、家屋の維持、家計のやりくり。
「やっぱり、勇太ファミリーの最初のお嫁さんは梓で正解だね」
ルナが呟く。
今まで勇太は、ルナが言う『1人目の妻』の正確な役割を把握していなかった。
確かに、実際にハーレム家族を見てみると、1つの小さな村のようだ。つまり1人目の妻は村長だ。
決まりを作ったり、役割分担を考える人が必要。能力と適正を求められる役割だ。
それを自分からやってくれる梓に、改めて深く感謝できる。
「あれ?けど、この状況って嫁2桁が前提だろ・・。ルナ達の中で俺の嫁って、どのまで増やすことになってんだ・・」
ルナは笑顔。だけど答えない。
勇太の背中をぱんぱんしながら『ドンマイ』と笑っている。
勇太はルナ、梓、カオルの3人でも幸せにできるかと、プレッシャーを感じているのに・・
いずれにせよ、このシチュエーションは勇太にとって新鮮だ。
自分と原山さんを入れて男子8人がこのスペースにいる。勇太が転生して同じ場所に色々な世代の男子がいるのも初めて。
男子と話してみたかったけれど・・
「勇太君は、何人まで嫁取りする予定なの~」
「私、お爺ちゃん直伝の天津飯作れます」
「男性経験あるので、殿方の喜ばせ方は知ってます」
15歳、19歳、21歳の良作孫世代女性3人から猛チャージを受けている。
そして小さい子供の中に、昼間に海岸で会ってパンの歌を歌ってあげた子もいた。
結局、女の子と遊んで盛り上がっているうちに帰る時間となってしまった。
午後4時になって帰ろうかと思ったが原山さんに止められた。
「今日は俺もメシ作るから食ってけ。52人分が54人分に増えるだけだ。大した違いはねえ」
原山さんは元料理人。パラレル市で最初に会った依子さんの家の食堂を手伝いながら腕を上げた。
そして、珍しい『美味しい男子メシの店』として有名になった。
希少な男子の、きちんとした食堂だから繁盛したそうだ。
お嫁さんが10人を越えたとき、海辺の街に引っ越し。水族館や観光地があるエリアに店を構え、10年前までシェフとして働いていた。
あえてオーナーにはならず、リクエスト次第で店に出ていた。嫁16人を大事にする男は多忙なのだ。
現在もお子さん数人で店を切り盛りしていて、たまに良作さんも顔を出して腕を振るっている。
今日は連休ということで、妻14人、息子2人、娘7人、息子の嫁8人、孫とひ孫20人が原山家に集まっているそうだ。
奥さんが2人欠けている。1人が入院中で、1人が亡くなったそうだ。
勇太の帰りも、娘さんが車を出してくれて送ってくれることになった。
勇太は興味津々。前世のテレビでも大家族特集を見たことがあるが桁が違う。
これで原山老人の直系家族の一部だという。
家に到着すると大きな芝生広場のような敷地に、本殿とでもいうのか大きな家があった。そして周りに沢山の一軒家。
誰かが進学、就職、結婚で家を出たり、息子や娘が結婚して嫁を連れてきたりと、数ヵ月単位で人が激しく入れ替わるそうだ。
「よっしゃー始めるぞ。俺は今日は、ホイコーロー作るぞ」
「良ちゃん、じゃあ私と春ちゃんでエビチリ作るよ」
「私とマリちゃんがスープだね」
「孫が喜ぶから、こっちは餃子でも焼こうか」
「さあ、ご飯の準備始めるよ~~~」
依子さんの号令が、敷地全体に拡声器で響き渡った。
お嫁さん達、娘の5人と息子1人、孫7人が本宅の厨房に顔を出した。
息子の1人と子供の年長組は小さな子供の相手。
残りの女子は配膳の準備。
たちまち原山邸本殿は戦場と化した。
ルナは喧噪の中で勇太ファミリーの将来を思い浮かべているのか、キラキラした目でメモを取っている。
勇太とルナも厨房を手伝うことにした。原山さんの孫たちと勇太で大量の野菜を切っていく。
ルナは餃子を包んでいる。
勇太は前世が4人家族で、今回が3人家族。
この大人数の作業にちょっとテンションが上がった。
「おお、勇太は手際がいいな。さっき孫から作詞作曲で有名って聞いたが、何でもやれるんだな」
「まあ、幸いに当面は歌で食っていけそうですね」
「大したもんだ。楽譜読めるんだな。俺は小学5年の秋から小学校に行ったけど、結局は学がねえ。料理は楽しいだけな」
喋りながら鍋を振っていく良作さん。大騒ぎしながらご飯が完成。
旅館の宴会場のような広間で、晩ご飯が始まった。
「かんぱーい。遠慮なく食ってくれ。花枝と妙子の漬けた漬けものもうまいぞ」
「遠慮なくいただきます」
「おいしー」
普段は、こうではないそうだ。小単位というか、バラバラにご飯を食べて、何かあるときに集まって食事をするとか。
確かに50人分のご飯なんて、毎食用意するのは大変すぎる。
生活費に関しては話し合い制。2か月に1回、大人達で集まって各自が出す費用などを割り当てていく。
取り仕切る最初の嫁・依子さんや娘混成の管理グループ4人には、みんなから給料代わりのお小遣いが出る。
マックスで100人を越える家の管理は、立派な仕事なのだ。食事、家屋の維持、家計のやりくり。
「やっぱり、勇太ファミリーの最初のお嫁さんは梓で正解だね」
ルナが呟く。
今まで勇太は、ルナが言う『1人目の妻』の正確な役割を把握していなかった。
確かに、実際にハーレム家族を見てみると、1つの小さな村のようだ。つまり1人目の妻は村長だ。
決まりを作ったり、役割分担を考える人が必要。能力と適正を求められる役割だ。
それを自分からやってくれる梓に、改めて深く感謝できる。
「あれ?けど、この状況って嫁2桁が前提だろ・・。ルナ達の中で俺の嫁って、どのまで増やすことになってんだ・・」
ルナは笑顔。だけど答えない。
勇太の背中をぱんぱんしながら『ドンマイ』と笑っている。
勇太はルナ、梓、カオルの3人でも幸せにできるかと、プレッシャーを感じているのに・・
いずれにせよ、このシチュエーションは勇太にとって新鮮だ。
自分と原山さんを入れて男子8人がこのスペースにいる。勇太が転生して同じ場所に色々な世代の男子がいるのも初めて。
男子と話してみたかったけれど・・
「勇太君は、何人まで嫁取りする予定なの~」
「私、お爺ちゃん直伝の天津飯作れます」
「男性経験あるので、殿方の喜ばせ方は知ってます」
15歳、19歳、21歳の良作孫世代女性3人から猛チャージを受けている。
そして小さい子供の中に、昼間に海岸で会ってパンの歌を歌ってあげた子もいた。
結局、女の子と遊んで盛り上がっているうちに帰る時間となってしまった。
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