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31話 アリアの苦戦

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「ユウくん……どうしよ?魔力をこれ以上、上げるとダンジョンが壊れちゃうかも」


 アリアは、多分あの魔獣を倒せるだけの魔力、威力はあるが……問題は弾かれるという問題で、弾かれると放った魔法がダンジョン内の壁に当たりダンジョンの崩壊に繋がるので高威力の魔法を放てなかった。


「交代するよ」
 
「うん……ごめんね」
 
「アリアは、倒せるだけの威力のある魔法を放てるんだから気にするなよ」


 アリアと場所を交代して、涎を垂らしこちらを威嚇をしている巨体の魔獣が飛び掛かってきた。

 バリアを張ってあるし、結界も張ってあるので問題ないが迫力があり思わずバリアで首を切断をしてしまった。

 あ、ヤバイ……これは誰にも見せたことがないスキルだった……まぁ、良いか。アリアとミーシャだし……

 切断されたオオカミの頭と胴体が地面に落ち、ズシンっと重量感のある音をダンジョン内に響かせた。


「わぁっ! すごい。1撃で倒しちゃったね!」

「咄嗟に放った魔法と相性が良かったみたいだな」


 またレベルが急上昇をし始めて、うるさく頭の中に響いている。
 1体を倒しただけだぞ? そんなにレベルが急上昇をする程の魔獣だったのか? 
  

「ちょっと対処するから動くなよ」

「え? わ、分かったぁ……」

 
 討伐を終えたので、アリアの胸元にあるネックレスに手を翳すと……

   
「ユウくん……それ……恥ずかしいよぉ~……」
 
「えっと……多分、今の魔獣は、精神系、威圧系の耐性をを使っていたんだと思うから、それに対応する付与しようと思ってさ」

 
 頬を赤くして言っていたアリアが、今度は顔を赤くして俯いた。

 
「そ、そっか……えへへ……♡」
 
「あーッ! ずるーいー! わたしもー」

 
 それを見ていたミーシャがいつものズルい! が始まった。当然、ミーシャにも付与をしようと思っていたのでネックレスにも同様の付与を加えた。

 
「よし、終わったぞー」


 アリアが頬に指を当てて可愛いポーズをして考え事をしている様で、小さい声で「うぅ~ん……」と唸っていた。考え事をしているアリアの邪魔をしないように、ダンジョンの壁に寄りかかり地面に座った。
 そこに当たり前の様にミーシャが膝の上に座って来るので、俺はミーシャの頬を触って癒やされた。


「ユウちゃん~ひまー」

「ちょっと休憩を取らないとだし、アリアが考え事をしてるしな」

「あっ! 思い出したよっ! わたし達の村から北の方向に幻のダンジョンがあるって! 探索しても、なかなか辿り着けなくて幻って言われてるんだよ。」

「そんな場所があるんだな?」

「うん。多分、その場所がここだよっ」

「はぃ? 幻って直ぐに見つかったけど?」

「ここは、普通は見つからない場所だよ」

 
 あぁ……そう言えば結界の境目にあるダンジョンだったか。そりゃ結界で滅多に見つからないかぁ……。魔物もウジャウジャいるし、やっと見つけたとしてもダンジョンに入れば魔物、魔獣、トラップで無事に帰れるパーティも少なくて幻と言われてるのも納得だな。

 
「そうだな。幻って呼ばれてるのも納得できるな」

「それもなんだけど、このダンジョンにはね……魔物の聖域を守る3魔獣の大森林を守護する犬獣がいるんだって。この犬獣は、出会うと恐怖に支配されて体が動かなくなってヤバイから姿を察知したら全力で逃げろって……」


 ん? ダンジョンで犬獣って……しかも動けなくなるって、えっと……今倒したヤツじゃないのか? アリアが知っている程に有名なダンジョンと魔獣だったのか……どおりでレベルが急上昇をするわけだな。そんなヤツを倒しちゃって良かったのか? まぁ……魔獣だし良いだろ。

 その後は、特に変わった魔物や魔獣が現れず順調に探索が進み財宝を大量に手に入れた。帰りは……ズルをして転移で帰宅をした。
 

 今回の、初のダンジョン攻略は拠点のある村の大森林の結界堺にあるダンジョンへ入ってみると大量の財宝、魔物や魔獣もいっぱいだった。おかげでレベルが、また急上昇をしてレベルの上限を超えて限界突破の状態へとなってしまった。


 帰宅すると、ダンジョンにいると時間の感覚がおかしくなり深夜くらいかと思っていたら朝になっていた。


「もう朝になってたな」

「うん。眠いわけだね……ふぁぁ~」

「ねむぃ~」


 丁度、朝だしギルドに行って売りにって買い物を済ませてくるか。


「先に寝てて。ギルドに行って帰りに買い物をしてくるな」

「ユウくんも寝てからにすれば? 疲れてるでしょ?」

「そうだよ~。一緒に寝よ~?」

「急いで返ってくるから待ってて」


 そう言うと、その場で転移をして村の近くに移動をしてきた。まっすぐにギルドに行き、魔石と素材、薬草を売った。

 用事が終わり出ようとすると、シャルが数人とギルドへ入ってきた。
 うわっ。面倒なシャルと会っちゃったよ……。気まずいじゃん。

 シャルも気付き、ニヤッと笑い近寄ってきた。


「久しぶりっ。わたし他のパーティに入ったから! 今のパーティすごいんだから! タンジョンにも入ってるの!」


 うわっ。面倒……だなぁ。でも、シャルを入れてくれるパーティがあって良かった。ダンジョンね……

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