上 下
30 / 61

30話 罠

しおりを挟む
 「えっと……398かな」
 
「……へ? …………えぇ!? あはは……うそだぁ~! ビックリしちゃったぁ……」
 
「……あはは……だよなぁ……笑っちゃうよな」
 
「……えぇ……ウソじゃないんだぁ?」

 
笑っていたアリアが真面目な表情になった。

 
「公表してる人が99なだけだったんだね……でも398って……だんとつ過ぎだね」

 
 多分99で、しばらく止まっていた気がしたけど、さっきの魔物や魔獣の大量の討伐で上限を一気に超えて、今まで貯まっていた経験値が合わさって爆発的に上昇をした感じがした。

 前世の記憶で言うところのアニメで言う、限界突破ってヤツかな……?

 
「まぁ……レベルが上がっても強さの目安だしなー」
 
「違うよ?レベルが上がればステータスも全体的に上がるから強くなってるでしょ? それにスキルや魔法も使えるのが増えてるはずだし……」

 
 普通は、そうか……俺は低レベルの時にもイメージをすれば威力は低く、魔力量も少なかったけど、色々と使えてたから、そういう感覚が無かったなぁ。

 
「そうかぁー。俺はレベルが上ったからって、特には変わってないぞ?」

 
とはいっても、色々と抑え込んでるけどなぁ……こんなダンジョン魔法一発で吹き飛ばせると思うし。気を付けないとなぁ……

 
「だよね。ユウくんは威力を抑えてるって感じだよね」
 
「昔のアリアみたいだな~」
 
「うんうん。わたしの場合は目立ちたくなかったからだけど……ユウくんの場合は違うでしょ? 威力があり過ぎるって感じだよね」
 
「……まぁ……ね」
 
「ねぇ。ねぇ。見て!見てっ!ほらぁー」

 
 シュッ シュッ シュッと自在に洞窟内を自由に動き回って、満足した顔で帰ってきたが全然、息も上がって無ければ汗もかいていなかった。

 
「あれだけ動き回って疲れてもい無さそうだな?」
 
「うん。よゆーだよー♪」
 
「じゃあ、そろそろ進むか」

 
 ダンジョンの本道に戻り、ちょこちょこと寄り道をして宝を回収していると、探索魔法で調べると魔石の魔力を利用をした罠が仕掛けられてる部屋があり……わざと罠に掛かってみた。

 
「ちょっと入って見るなー」
 
「えぇ……ダメだって……」
 
「危ないよぉ……」

 
 宝箱の中身は本物の宝が入っていたので回収済みだが、気にせずに宝箱の部屋に入って宝箱に近づくと、4方向から無数の矢が放たれバリアで防ぐと、入口の扉は存在しなかったが魔石の効果で岩壁が出現し出入り口が閉じられた。

 
「ゆ、ユウくんっ!」
 
「ユウちゃん!! イヤっっ!」

 
 出入り口が塞がれると、想像通り天井に無数の槍のような武器が出現し、天井が落ちて来たので転移で入口の外に逃げ出した。

ゴゴォォー……ドォーンッッ!!と部屋の中から大きな音がして床が揺れた。

 
「ユウちゃーん!?」
 
「ユウくん!! 大丈夫ー!!?」

 
 2人が心配して悲鳴のような声を出していて、後ろから返事をした。

 
「あ、うん。大丈夫だよ」

 
 2人が泣き顔で振り返ると抱きしめてきた。

 
「ばかぁ……心配したよぉ」
 
「むぅ……ダメって言ったのにぃ……」
 
「悪かったって、大した罠じゃなかったな……近付くと魔力で反応して弓矢の発射装置に魔力が流れて、弓矢が放たれる仕掛けと。魔石で槍の隠蔽が解除されてると同時に天井が落ちてくるって感じだったな」

 
 ゴゴッゴォォォーと室内から大きな音がダンジョン内に鳴り響き終わると、入口の魔法が解除されて岩壁が霧散し出入り口が開放されて元の状態に戻された。

 暫く間、2人が頬を膨らませて口を利いてくれなかった……
 
 悪かったって……。何だよ……あんな簡単なトラップの為に怒られるのって割に合わないっての……もっと驚くような凄いトラップだったら納得できるのにさぁー
 
 探索魔法で調べると宝物も補充されていたので……当然、頂ける物は頂いておいた。最近は、そんなにお金には困っては無いんだけど、無いよりはあった方が良いよな。

 
 更にダンジョンの奥に進んでいくと、段々と知らない魔獣や魔物が多く現れるようになってきた。

 
「なにあれ?」
 
「……知らなぁい!」
 
「わたしも知らないよぉ」

 
 黒い毛をし、犬歯が大きく鋭く口からは涎を垂らした犬やオオカミを大きくした感じの魔獣が、6体がこちらを威嚇してきた。

 
「わたしは……近寄りたくなーい! なんかヨダレを垂らしてるしぃ……」
 
「だねぇ……コワイねー」

 
 ん? 目の前にいる魔獣は体は大きく群れで威嚇されれば少しはコワイと思うけど……恐怖を覚える程じゃないだろ? 珍しく2人が俺の後ろに隠れてしまった。

 バリアで俺の周りを囲うと落ち着いたのか、いつも通りアリアが魔法で攻撃を始めた。

 
「あれ? 大丈夫なの? コワイって震えてたけど?」
 
「……えっと……恐怖を感じて動けなかったの」

 
 精神系? 威圧系? の効果だろうなー? バリアに入って効果が遮断されて無効化されたら直ぐに元通りになったし、見た目の恐ろしさが原因じゃないみたい?

 ザコのオオカミの様な魔獣はアリアが討伐を軽々とこなしたが、ボスには苦戦をしていて魔力弾を放つが弾かれていた。更にファイアショットを放つが効果がなかった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。 女神の話によれば、異世界に転生できるという。 ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。 父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。 その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。 食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。 そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

異世界転生したら貧乳にしかモテなかった

十一屋 翠
ファンタジー
神のうっかりでトラックに跳ねられた少年は、証拠隠滅の為に異世界に転生させられる。 その際に神から詫びとして与えられたチート能力【貧乳モテ】によって、彼は貧乳にしかモテない人生を送る事となった。

死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~

未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。 待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。 シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。 アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。 死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。 他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。 その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。 教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。 まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。 シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。 ★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ) 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...