上 下
85 / 108
ミレーナ王国

国王から聞いた温泉の下見を夜中にコッソリ行ってきた。

しおりを挟む
 よし・・・国王から聞いていた温泉の下見にでも行ってくるか。二階の窓からコッソリと山の方へ抜け出し、跳躍して塀を飛び越え暗闇の中を走り抜けていると、前方に現れたモンスターをバリアで遠距離攻撃を仕掛けて首を斬り落とし倒して、10分程で目的地に着いた。国王の話だと半日以上掛かるので朝に出発すれば昼過ぎには着いて1、2時間寛いで出発すれば夕方過ぎに帰ってこられるって話だったけど?
 
 まぁ・・・護衛の兵士や冒険者の護衛を大勢連れて歩いていたら時間は掛かるよな・・・しかもミリアとシャルの護衛をしながら歩くので時間が更に掛かるし。
 
 はぁ~一人だと気楽で短時間で移動ができて良いよなぁ。

 前世とは比べ物にならない程に体力も身体能力もガンガンと増えてるしモンスターと戦う程総合的に確実に向上しているのを実感している。
 
 独特の温泉の臭いがしてるし、この辺りだよな・・・散策をしていると温泉を発見して容器を出して温泉を収納して一応安全確認をした。

 うん・・・無害で皮膚病、疲労回復の効能があるとアイテムの説明欄に表示された。

 
 手を温泉に入れて温度の確認をすると良い湯加減だったので裸になって暗闇の中で温泉に浸かった。うわぁ・・・最高じゃん。貸切の天然の露天風呂だよ・・・足を延ばして寛いでいると、異様な気配を複数感じた。

 
 何だ?人?人だけど・・・盗賊では無さそう・・・兵士?冒険者?こんな夜中に温泉に?怪しいぞ・・・俺もだけどさ。

 大きい温泉なので相手は気づいていないはずなので大人しくしてるかと思っていると集団の中で一番ヤバそうなのが近付いてきた。

 
「貴様!何者だ?」

 
 あ~・・・バレちゃったよ・・・って、何だよこの気配。・・・ヤバイって威厳というか威圧感が・・・ハンパない。こういう展開って普通は美少女が登場するんじゃないの?なんで俺の場合は・・こういうヤバそうなのが登場するんだよっ。

 
「夜に温泉に入りたくなりまして・・・」

「一人でか?」

 
 あ、モンスターが出るんだっけ・・・普通は一人ではこないか・・・

 
「一応、冒険者をしているのでモンスターとの戦いは問題ありませんので日頃の疲れを癒やしに温泉に入りにきました」

「そうか・・・モンスターが活発になる、こんな夜中に温泉に入りに来るとは相当な強者なのだな。そういえば、ここに来る途中にモンスターが道端に大量に倒されていたな・・・」

 
 胸に昔受けたデカい刀傷の跡が暗闇の中で薄っすらと見えた。

 そっちの方が強者っぽいですけど・・・やっぱり兵士のお偉いさんかな・・・顔も暗闇の中で薄っすらと見えるけど今までに会った中で一番強そうで恐いな。

 あ、倒したモンスターを放置してきちゃった・・・不味かったかな?

 で、他の人は温泉に入っている気配は無さそうだけど・・・この人の護衛なのか・・・?

 
「それで道に転がっていたモンスターは、お前の仕業なのか?」

 
 分からずに聞いているというより分かっていて確認をしてるっていう感じだし・・・誤魔化しても仕方無さそうだな。温泉に入ってるのは俺しか居ないわけだし。

 
「どの道を通られたのか分かりませんが、倒したモンスターは放置しちゃいました。ご迷惑でしたか?」

 
 ほぅ!という納得をした顔をして感心した表情になった。

 
「迷惑どころか討伐する手間が省けて予定していた時間より大分早く、ここへ辿り着けたぞ。感謝する」

 
 質問されてばかりだったので、こちらからも質問をしても良いだろ・・・一番知りたい事を聞こう。

 
「それで・・・おっちゃんは、どちら様でしょう?」

「私も冒険者の様な者だな・・・おっちゃんか。そうだな・・・おっちゃんだな」

 
 おっちゃんと呼んだが笑って許してくれた・・・一応、余裕のある大人ってかんじか。それより・・・この人は冒険者では無いだろ・・・冒険者が護衛か兵を連れて行動をしないだろ。

 
「おっちゃんは冒険者なの・・・?」

 
 疑いの眼差しで見つめるが・・・無視をされたと言うか気にもされなかった。

 
「付き合っている女は居るのか?」

 
 真面目な顔をして聞かれたので驚き警戒をした表情をして聞き返した。

 
「は?何ですか急に・・・」

「別に良いではないか。若い者の考えを聞いてみたくてな、問題あるか?恥ずかしがる事はなかろう?」

 
 俺に興味があるのでは無くて若者の考えを聞きたいって事か?まあ・・・恥ずかしくはないけどさ知らない人だし。でも問題は、あると思うぞ‥・?俺の考えは参考にならないと思う、かなり特殊だし。

 
「あ・・・まぁ居ますね」

「仲良くしているのか?」

 
 仲は良いと思う、付き合い始めたばかりだし・・・お互いにヤキモチを妬いて大変だけど。ずっと一緒に居て楽しいし。

 
「はい。仲はとても良いですね・・・ずっと一緒に行動をしてますし。大切にしてますよ」

「そうか・・・ずっと一緒に居るという事は、どちらかが金持ちか貴族なのか?」

 
 それは・・・正直には答えられないな・・・悪いけど誤魔化すか。

 
「相手が、そんな感じですかね」

「ほぉ。金や権力が手に入って良かったではないか。幸運だな」

 
 世間一般的には幸運だろうけど・・・俺は逆にのんびりと暮らしたい派なので金も権力も要らないんだけど。アイテムで出せるので金は必要ないし・・・権力も、なるべく係わり合いたくない。
 
 
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

最強九尾は異世界を満喫する。

ラキレスト
ファンタジー
 光間天音は気づいたら真っ白な空間にいた。そして目の前には軽そうだけど非常に見た目のいい男の人がいた。  その男はアズフェールという世界を作った神様だった。神様から是非僕の使徒になって地上の管理者をしてくれとスカウトされた。  だけど、スカウトされたその理由は……。 「貴方の魂は僕と相性が最高にいいからです!!」 ……そんな相性とか占いかよ!!  結局なんだかんだ神の使徒になることを受け入れて、九尾として生きることになってしまった女性の話。 ※別名義でカクヨム様にも投稿しております。

自由気ままな生活に憧れまったりライフを満喫します

りまり
ファンタジー
がんじがらめの貴族の生活はおさらばして心機一転まったりライフを満喫します。 もちろん生活のためには働きますよ。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

処理中です...