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咲いた花
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月日はあっという間に流れ、愛佳に想いを伝えてから十年たった。
「舞華先生、この絵は先生が描いたんですか?すごい可愛い人ですね。」
私は母校の先生になり美術部の顧問になった。
「でしょ?私の自慢の親友よ。」
五年前、心の整理ができ私は愛佳に会いに行った。
「遅いよ!」と泣いて怒られてしまったが、相変わらす元気そうだった。
そして、愛佳は来週結婚式を挙げる。
相手は、エリートマンのイケメンで、性格も穏やかで優しい人だった。
さすが、愛佳としか言いようがない。
「舞華先生。今日一緒に飲みに行きませんか?」
「ごめんなさい。先約があるんです。今度みなさんで行きましょう。」
舞華は帰りの準備をすませ、職員室を後にする。
「ダメですよ。舞華先生にはイケメンの彼氏がいるんですから!」
「え!そうなんですか?!」
「あ、それ私も見ました。可愛い系のイケメンですよね。」
「ということだから、諦めなさい。」
「そんなぁー。」
と、職員室でそんな会話が繰り広げられているなんて舞華が知ることはないのだった。
**********
舞華は駅につき、女子の人だかりを見てため息をつく。
あそこには行きたくないのだが、どうも探している人物はあの中心にいるようだった。
「先輩!」
こちらに気づき手を振り走ってくる。
わー、女子の皆さんにすごい睨まれてるんだけど。
「…相変わらず、すごい人気ね。ルカくん。」
「先輩は相変わらず美人ですね。」
舞華は盛大にため息をつく「えー、なんでため息つくんですか。」と不思議そうに聞いてくるこのタラシは救いようがない。
天然でしているなら仕方ないが、これは計算しているから余計タチが悪い。
「いつか、刺されるわよ。」
「大丈夫ですよ。その辺、上手くやってるんで。」
うん。むしろ、清々しいわ。
「今年で、もう10年ですね。」
「そうね。」
「そういえば、あい先輩、結婚するんですよね。ウエディングドレス姿可愛いでしょね。」
「当たり前よ。世界一可愛いに決まってる。」
2年前、たまたまあの駅で会ってからよく飲むようになった。
友達というわけでもなく、だからといって恋愛感情が芽生えるわけでもなく。
こうやってくだらない話をしている。
「ねぇ、私たちってどういう関係?他人?知り合い?」
「え?酷くないですか?俺ずっと友達だと思ってたんですけど。」
「あ、そうなんだ。」
「俺、泣いちゃいそう。」と泣き真似を始めたルカを冷めた目で見ながら、悪くないと思っている自分がいる。
「そういえば、あの彼氏とはどうなったんですか?」
「…いつもと同じよ。」
「振られちゃったんですね…よし!今日は俺の奢りです!じゃんじゃん飲みましょう!」
そう、毎回『俺のこと好きじゃないだろ。もう疲れた。』と振られてしまう。
もしかして、女の人しか愛せないのかもと思って付き合ったりもしたが、結局同じ理由で振られてしまう。
「それじゃぁ、またね!先輩。」
舞華はルカと別れ、無意識に学校に戻ってきていた。
職員室から駄目だと分かりつつも鍵をとり美術室に向かう。
コンクールが近いため、部屋には描きかけの絵が何枚かあった。
椅子に座りスケッチブックを開く。
そこに描かれている絵を睨みつける。
「私…もう恋愛できないのかも。」
理由なんて本当はもう分かってる。
「あんたが…勝手にタネまいて行くから。」
ハラリと涙が落ち、スケッチブックの絵が滲む。
「気づかない間に大切に育てちゃったじゃない。なのに、全然咲かないし。責任とれ…ばか。」
こんなこと言ったて、返事をしてくれるわけもないのに、何してんだろ。
馬鹿らしくなり帰ろうと立ち上がったとき「…泣かないでください。舞華先輩が幸せじゃないと俺も幸せになれないじゃないですか。」と懐かしい声が聞こえ、その声に弾かれるように振り返る。
開いた口が塞がらないとはこのことだなと、どこか冷静に考えている自分がいる。
「な、んで…。」
どうして?なんで?と疑問が次から次へと浮かぶが、喉に何かが詰まってしまったように言葉が出ない。
「舞華先輩に、会いたくて帰ってきちゃいました。」と昔と変わらない笑顔で笑う。
「…病気は?治ったの?」
「はい。すっかり良くなりましたよ。」
よかった。
本当に良かった。
舞華は急に不安になり本物か確かめるようにその人物に手を伸ばす。
すると、その手を掴まれ、抱きしめられる。
「…真樹。」
「はい。舞華先輩。」
あぁ、真樹だ。
本当に、真樹がいる。
舞華は「真樹…真樹。」と泣きながら確かめるように何度も名前を呼ぶ。
真樹は「はい。」と何度も答えてくれた。
泣き止み、だんだん冷静になると今の状況が恥ずかしくなる。
真樹の胸を軽く押して離れようとするがビクともしなかった。
「舞華先輩。俺、期待しちゃいますよ?こんな絵描かれたら。」
絵と言われ、カッと全身が燃えるように熱くなる。
きっと、顔は茹でダコのように赤い。
「…真樹、離して。」
すると、力が緩み真樹から離れる。
しかし舞華はちょっと後悔する。
真樹が傷ついたように笑っていたから。
私はどうして、ちゃんと言えないんだろう。
「そうじゃない。ちゃんと顔見て話したいの。」
今度はちゃんと伝わったのか「はい。」と返事をしてくれた。
「私…真樹のこと恨んだことも嫌いになったことも一度もない。なのにあんなこと言って、傷つけてごめんなさい。それから私のこと、救ってくれてありがとう。」
「………。」
沈黙がこんなに怖いなんて思わなかった。
もし、冷たい目で見られてたらと考えると頭を上げれなかった。
でも、それも受け止めると決めたから。
舞華はゆっくりと頭をあげ、ギョッとする。
真樹が、泣いていたのだ。
そこで初めて気づく。
真樹は泣きそうな悲しそうな顔をしても私の前で一度も泣いたことなどないのだと。
「俺…嫌われてると思ってたから。すごく…嬉しい。」
あ…、どうしよう。
すごく、すごく。
「愛おしいなぁ。」
「えっ?!」
真樹の驚いた声を聞き自分がとんでもないことを口走ってしまったと理解する。
え…え?!
い、今声に出してた?!
その事実に恥ずかしくなり逃げようと後ずさる。
しかし、真樹がそれを許してくれるはずもなくガッチリと手を掴まれてしまった。
これで完全に逃げられなくなってしまった。
「…今の、本当?」
なんて顔してるのよ。
もう、認めるしかないじゃない。
「真樹…。」
その顔を見て、先ほどまでの不安が一気にとけてしまった。
だって、あまりにも幸せそうに笑うから。
咲いちゃったじゃない。
「大好きよ。」
「…幸せすぎて死にそう。」
「私を置いて死んだら許さないから。」
「はい。俺は死んでもあなたのそばを離れませんよ。」
なんだか、真樹が言うと本当にそうなるのではと思ってしまう。
でも、悪くない。むしろ
「嬉しい。」
「…舞華…愛してます。」
こんなに好きになるなんて思ってなかった。
むしろ、大っ嫌いだったのに。
今ではこんなにも、愛してしまっている。
でも、そんなこと今は言ってやんない。
だって、この10年何の音沙汰もなくて急に現れて、10年かけても咲かなかった花を数分で咲かせてしまったなんて、しゃくじゃない。
だから、少しの意地悪は許してね?
舞華はぐっと真樹の襟を掴み、キスをする。
「…知ってるわよ。ばーか。」
「舞華先生、この絵は先生が描いたんですか?すごい可愛い人ですね。」
私は母校の先生になり美術部の顧問になった。
「でしょ?私の自慢の親友よ。」
五年前、心の整理ができ私は愛佳に会いに行った。
「遅いよ!」と泣いて怒られてしまったが、相変わらす元気そうだった。
そして、愛佳は来週結婚式を挙げる。
相手は、エリートマンのイケメンで、性格も穏やかで優しい人だった。
さすが、愛佳としか言いようがない。
「舞華先生。今日一緒に飲みに行きませんか?」
「ごめんなさい。先約があるんです。今度みなさんで行きましょう。」
舞華は帰りの準備をすませ、職員室を後にする。
「ダメですよ。舞華先生にはイケメンの彼氏がいるんですから!」
「え!そうなんですか?!」
「あ、それ私も見ました。可愛い系のイケメンですよね。」
「ということだから、諦めなさい。」
「そんなぁー。」
と、職員室でそんな会話が繰り広げられているなんて舞華が知ることはないのだった。
**********
舞華は駅につき、女子の人だかりを見てため息をつく。
あそこには行きたくないのだが、どうも探している人物はあの中心にいるようだった。
「先輩!」
こちらに気づき手を振り走ってくる。
わー、女子の皆さんにすごい睨まれてるんだけど。
「…相変わらず、すごい人気ね。ルカくん。」
「先輩は相変わらず美人ですね。」
舞華は盛大にため息をつく「えー、なんでため息つくんですか。」と不思議そうに聞いてくるこのタラシは救いようがない。
天然でしているなら仕方ないが、これは計算しているから余計タチが悪い。
「いつか、刺されるわよ。」
「大丈夫ですよ。その辺、上手くやってるんで。」
うん。むしろ、清々しいわ。
「今年で、もう10年ですね。」
「そうね。」
「そういえば、あい先輩、結婚するんですよね。ウエディングドレス姿可愛いでしょね。」
「当たり前よ。世界一可愛いに決まってる。」
2年前、たまたまあの駅で会ってからよく飲むようになった。
友達というわけでもなく、だからといって恋愛感情が芽生えるわけでもなく。
こうやってくだらない話をしている。
「ねぇ、私たちってどういう関係?他人?知り合い?」
「え?酷くないですか?俺ずっと友達だと思ってたんですけど。」
「あ、そうなんだ。」
「俺、泣いちゃいそう。」と泣き真似を始めたルカを冷めた目で見ながら、悪くないと思っている自分がいる。
「そういえば、あの彼氏とはどうなったんですか?」
「…いつもと同じよ。」
「振られちゃったんですね…よし!今日は俺の奢りです!じゃんじゃん飲みましょう!」
そう、毎回『俺のこと好きじゃないだろ。もう疲れた。』と振られてしまう。
もしかして、女の人しか愛せないのかもと思って付き合ったりもしたが、結局同じ理由で振られてしまう。
「それじゃぁ、またね!先輩。」
舞華はルカと別れ、無意識に学校に戻ってきていた。
職員室から駄目だと分かりつつも鍵をとり美術室に向かう。
コンクールが近いため、部屋には描きかけの絵が何枚かあった。
椅子に座りスケッチブックを開く。
そこに描かれている絵を睨みつける。
「私…もう恋愛できないのかも。」
理由なんて本当はもう分かってる。
「あんたが…勝手にタネまいて行くから。」
ハラリと涙が落ち、スケッチブックの絵が滲む。
「気づかない間に大切に育てちゃったじゃない。なのに、全然咲かないし。責任とれ…ばか。」
こんなこと言ったて、返事をしてくれるわけもないのに、何してんだろ。
馬鹿らしくなり帰ろうと立ち上がったとき「…泣かないでください。舞華先輩が幸せじゃないと俺も幸せになれないじゃないですか。」と懐かしい声が聞こえ、その声に弾かれるように振り返る。
開いた口が塞がらないとはこのことだなと、どこか冷静に考えている自分がいる。
「な、んで…。」
どうして?なんで?と疑問が次から次へと浮かぶが、喉に何かが詰まってしまったように言葉が出ない。
「舞華先輩に、会いたくて帰ってきちゃいました。」と昔と変わらない笑顔で笑う。
「…病気は?治ったの?」
「はい。すっかり良くなりましたよ。」
よかった。
本当に良かった。
舞華は急に不安になり本物か確かめるようにその人物に手を伸ばす。
すると、その手を掴まれ、抱きしめられる。
「…真樹。」
「はい。舞華先輩。」
あぁ、真樹だ。
本当に、真樹がいる。
舞華は「真樹…真樹。」と泣きながら確かめるように何度も名前を呼ぶ。
真樹は「はい。」と何度も答えてくれた。
泣き止み、だんだん冷静になると今の状況が恥ずかしくなる。
真樹の胸を軽く押して離れようとするがビクともしなかった。
「舞華先輩。俺、期待しちゃいますよ?こんな絵描かれたら。」
絵と言われ、カッと全身が燃えるように熱くなる。
きっと、顔は茹でダコのように赤い。
「…真樹、離して。」
すると、力が緩み真樹から離れる。
しかし舞華はちょっと後悔する。
真樹が傷ついたように笑っていたから。
私はどうして、ちゃんと言えないんだろう。
「そうじゃない。ちゃんと顔見て話したいの。」
今度はちゃんと伝わったのか「はい。」と返事をしてくれた。
「私…真樹のこと恨んだことも嫌いになったことも一度もない。なのにあんなこと言って、傷つけてごめんなさい。それから私のこと、救ってくれてありがとう。」
「………。」
沈黙がこんなに怖いなんて思わなかった。
もし、冷たい目で見られてたらと考えると頭を上げれなかった。
でも、それも受け止めると決めたから。
舞華はゆっくりと頭をあげ、ギョッとする。
真樹が、泣いていたのだ。
そこで初めて気づく。
真樹は泣きそうな悲しそうな顔をしても私の前で一度も泣いたことなどないのだと。
「俺…嫌われてると思ってたから。すごく…嬉しい。」
あ…、どうしよう。
すごく、すごく。
「愛おしいなぁ。」
「えっ?!」
真樹の驚いた声を聞き自分がとんでもないことを口走ってしまったと理解する。
え…え?!
い、今声に出してた?!
その事実に恥ずかしくなり逃げようと後ずさる。
しかし、真樹がそれを許してくれるはずもなくガッチリと手を掴まれてしまった。
これで完全に逃げられなくなってしまった。
「…今の、本当?」
なんて顔してるのよ。
もう、認めるしかないじゃない。
「真樹…。」
その顔を見て、先ほどまでの不安が一気にとけてしまった。
だって、あまりにも幸せそうに笑うから。
咲いちゃったじゃない。
「大好きよ。」
「…幸せすぎて死にそう。」
「私を置いて死んだら許さないから。」
「はい。俺は死んでもあなたのそばを離れませんよ。」
なんだか、真樹が言うと本当にそうなるのではと思ってしまう。
でも、悪くない。むしろ
「嬉しい。」
「…舞華…愛してます。」
こんなに好きになるなんて思ってなかった。
むしろ、大っ嫌いだったのに。
今ではこんなにも、愛してしまっている。
でも、そんなこと今は言ってやんない。
だって、この10年何の音沙汰もなくて急に現れて、10年かけても咲かなかった花を数分で咲かせてしまったなんて、しゃくじゃない。
だから、少しの意地悪は許してね?
舞華はぐっと真樹の襟を掴み、キスをする。
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