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本編

親友です。恋人ではありません。

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 ――翌日。私は、リリーナに手伝ってもらいながら、神殿に行く準備をしていた。正装でなくてもいいとお許しいただけたのは、とても助かる。かといって、ラフな格好では、ラウエンシュタイン家の名誉に関わる。程々に形式ばった、程々に軽やかな衣装にしなくてはならない。

「そういえば、アレクシア様」

 リリーナが、私の機嫌を見計らって問いかけてきた。別に、高飛車お嬢様のつもりはないんだけど、主の機嫌を見ることは、使用人には必須らしい。

「なあに?」
「今日は、エルウィージュ様もご一緒なさるのですね。でしたら、エルウィージュ様と色味いろみを合わせては如何かと思います」

 早速、オリヴィエ排除に動くのね、エージュ……。

「あの超美少女と色味を合わせる度胸は、私にはないわよ」
「まあ、アレクシア様。確かにエルウィージュ様は大層お美しいですけれど、アレクシア様のお美しさは、また別のものですわ。ですから」

 私は、太陽のように明るく燦々とした色合いのドレス。エージュには、儚さを引き立てる、月のように秘めやかな色重ねのドレス。アクセサリーも、それぞれ同じ意匠のものを、宝石を変える。

「お召しになって、お二人が並ばれたら、太陽の女神と月の女神のようになりますわ」
「エージュと並んで、見劣りしない自信もないわ」

 口ではそう言っているけれど、お揃いは嬉しい。そもそも、「華寵封月」は魔法ファンタジーなのに、何故か学園モノでもあったから、制服はあるのだ。私達は来年から通うから、まだ着てはいないけれど。
 リリーナにノセられて、私は用意されたドレスとアクセサリーを付けた。うん、アレクシアも美少女だから、悲惨なことにはなっていない。――自分の元々の顔を忘れつつあるのは、ちょっと怖いけど。

「アレクシア様」

 軽いノックの音と、侍女の声。私が許可すると、扉が開き――そこには、月の女神どころか美の女神がいた。

「エージュ! すごく綺麗!」
「あなたも、とても可愛いわ。あ、待って、アリー。髪飾りが……」

 抱きつきかけた私に、エージュは微笑みながら髪飾りを直してくれた。そのついでに、私の巻き毛を指に絡めてキスした。エージュは私の巻き毛が大好きだ。私も、エージュの銀髪も大好きだけどね。

「綺麗な巻き毛なのに、そんなにはしゃいだら崩れてしまうわ」
「だって」
「リリーナ、シェリル。二人もそう思うでしょう?」

 エージュに問いかけられて、リリーナとシェリル――エージュに付いてきた侍女だ――は、顔を真っ赤にした。エージュの美貌は、同性でもどきどきしてしまうのである。私はだいぶ慣れたけど。

「さ、行きましょう、アリー。わたくし、大神官様にお会いしたいの」

 そう微笑んで、エージュは私の手を取った。先日のエセルバートさんみたいな優雅な手つきに、私は「逆よ!」と笑い、エージュの手を取ってエスコートしながら、外出用の馬車に乗り込んだ。
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