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最終話

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 またどこかへ行ってしまったと思っていたため、意外だった。瓦礫からフワリと降り立つと、二人に袋を差し出した。
 「お腹空いたかなーって」
 まさかそんな気遣いをされるとは思ってもいなかった。二人はお礼を言って受け取り、黙々とお弁当を食べる。それをかさねは楽しそうに見ている。
 「なんだよ、襲」
 そんな空気に耐えかねたジョザイアが口を開く。
 「ん?体力つけたらまたセックスしようと思って」
 二人は思いきりせた。
 「おまっ、あんだけヤッてまだ足りねぇのかよ!」
 襲は笑った。
 「まだまだ足りないよ。ほんの少しでしょ。魔力の器が大きくなったの」
 その言葉に二人は大きく目を見開く。セックスだけが目的ではない言葉。あの違和感の正体、やはり気のせいなどではなかった。
 人にはそれぞれ魔力を溜められる量が決まっており、その量で、貴族級、王城級、王族級と決まってくる。溜められるものを器と呼ぶなら、確かに大きくなった。今までの魔力最高値より、増えているのだ。こんなこと、普通はあり得ない。生まれ持って決まったものを変えるなんて。
 「ボクの魔力を混ぜた体液を体に入れることで、器が大きくなるみたい」
 圧倒的な魔力保持者の成せる業か。
 「でもね、生きていられたのはおまえたちだけ」
 何人も試してみたが、耐えきれずに死んだ。中には王族級の者もいたので、元々の魔力量が関係しているわけではなさそうだ。王城級のジョザイアとベロニカは、こうして生きているのだから。
 「さすがボクが気に入っているだけある。がんばってボクに追いついてね」
 何となく食べるペースが落ちる二人だった。



 荒い息づかいが聞こえる。淫靡な水音が辺りを染めていた。
 ジョザイアは俯せの状態で、膝を立てる形で襲を受け入れていた。後ろ手に襲の片手で両手首を拘束され、まったくほどくことが出来ず、犯され続けている。襲の激しい律動で地面にこすられ続け、シャツの肩と胸は擦り切れ、膝と頬は血が滲んでいる。
 ベロニカは、ずっと口内を蹂躙されている。後頭部に襲の手が回り、僅かにも離れない。歯列をなぞられ、舌を絡ませねぶられる。魔力の籠もった唾液を零すことは許されず、懸命に喉を動かし嚥下する。ようやく襲が離れると、膝立ちだったベロニカは、倒れるように体をかしがせた。
 「まだ寝るには早いよ、ベロニカ」
 かしぐベロニカのその細い首を掴む。
 「かはっ」
 喉を絞められ苦しそうに喘ぐベロニカを楽しそうに見つめ、襲は自分の舌を噛んだ。そしてベロニカの開いた口に再び舌を差し入れ絡ませる。ベロニカは血の味を感じた途端、暴れ出す。襲はベロニカを解放した。そのままベロニカは倒れ込み、叫びながらのたうち回る。
 「ボクの血は魔力が濃いよ。がんばってね、ベロニカ」
 そう言って楽しそうにジョザイアにのしかかると、同じようにその口に舌を絡ませた。
 「んんんんん!!」
 ジョザイアの手を解放し、己を引き抜いて、二人の藻掻く様を恍惚と見つめ、思い出したようにベロニカに近付く。
 「ああ、ベロニカ、セックスは痛い方が好きだったね」
 転がり回るベロニカを押さえつけ、凶悪なモノを中に突き立てる。ベロニカは逃れようと暴れるが、襲はビクともしない。
 「すごく締まってる。感じてるの?ベロニカ」
 楽しそうな襲の声を聞きながら、ベロニカは揺さぶられ続けた。



 「血でもいいなら、なにもセックスしなくていいんじゃねぇの」
 体に力が入らず、瓦礫に背を預けて座るジョザイアが、不満そうに口を尖らせた。側の瓦礫には、ベロニカが横たわっている。座る体力もないようだ。
 「つれないね。ボクとセックスするのイヤなの?」
 ジョザイアはグッと押し黙ってそっぽを向く。襲は笑った。
 「精液とか唾液の弱い魔力のもので慣らしてからじゃないと、おまえたちが壊れちゃうんだよ。ボクの血は魔力が強いからね」
 込める魔力が同じでも、魔力の吸収率が違う。精液などが込めた魔力の十%程度しか吸収できないとしたら、血液は三十%近く吸収できる。それだけ器が大きくなればいいが、取り込んだ魔力の千分の一程度しか器に影響を及ぼさない。
 「もっともっとボクの魔力量に近付けば、血だけでもいいんだろうけど」
 襲はジョザイアの頬をするりと撫でた。
 「ボクはおまえたちとセックスしたいなあ」
 ジョザイアが拳を振り上げたが、空振り。
 「ふふ、怖い怖い」
 フワリと空中に浮かぶ。
 「またごはん調達してくるね」
 楽しそうに襲は笑う。
 「もっと体力つけてよ。もっともっと楽しもう」
 少しでも早く追いついてもらうために。
 「愛してるよ、ジョザイア、ベロニカ」
 早くボクと本気であいし合おう。


 *おわり*





 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 短編集「これはひとつの愛の形 ケーニス王国編」で、もう少し書きたかった部分を付け足してみました。
 クーデターを起こされかけた国の王様は、さぞかしヘタレだろうと思っていましたが、なかなかカッコイイおじさまを書けたのではないかと自画自賛です。歴代の国王たちがダメダメだったのでしょう。先代の国王がまともで、その子どもも頑張っている。まだまだ改革に時間がかかるお国なのです。闇賭博に出入りする王族もいるようですが、王族とは直系のみならず、傍系もいるわけです。そういう感じです。
 わかりづらい部分も多々あったかと思いますが、どうかご容赦くださいませ。
 なかなか受け入れづらい内容かとは思いましたが、お付き合いくださりありがとうございました。
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