67 / 71
番外編
失えないもの4
しおりを挟む
この五年。ルドワーカなる組織に手を貸す振りをしつつ、アリスの消息を調べていた。そうしながら一年が経つ頃には、密かにディレイガルドとも連絡が取れるようになった。自分の無事を伝え、この組織を潰すために動いているので手出し無用と言うことと、アリスを探すよう要請している。ディレイガルドが動いているのだ。すぐに見つかる。祈るように自分に言い聞かせ続けてきた。
五年。
ディレイガルドが動いて、五年だ。それでも、アリスは見つからない。
それの、意味することとは。
「疲れた」
アリスがいないこの五年を思う。
アリスに出会う前の自分は、どうやって息をしていた。
アリスが隣にいないのに、どうして生きているのだろう。
「疲れた、な」
与えられた檻の中。固く簡素なベッドに身を横たえる。
このまま眠って、目覚めなければいいのに。
-現在-
「司法取引といこうじゃないか、Dゼロ」
面会室を出たエリアストに、牢に戻りながら壮年の看守は言った。
「檻の中から出たくなっただろう?エリアスト」
エリアストが看守を見る。
「あの日。おまえたちにこっそり護衛を付けなかったことを後悔している」
エリアストは黙って看守の言葉を聞いた。
「おまえはまだ子どもだったのに。おまえに甘えすぎた」
看守は窓の外を見た。
「すまなかった、エリアスト」
「アリスが生きているなら、それだけでいい。もう、何も望まない、父さん」
*~*~*~*~*
エリアストがそのあばらやに近付くと、玄関のドアが開かれた。
エリアストの時が止まる。
八年。その歳月の長さを知る。
美しい黒髪を後ろでひとつに緩く編み、どこか陰を帯びたその人物は、今にもどこかへ消えてしまいそうな儚さを纏う大人の女性へと成長していた。
その人物は、動けないでいるエリアストに気付くと、ひどく驚いた顔で、持っていた籠を落とした。
憂いを帯びていた黎明の瞳から、みるみる内に涙が溢れた。泣きながらエリアストに向かって走る。エリアストも走る。勢い飛びついた人物を、エリアストはしっかりと受け止めた。
「っ、あ、り、すっ」
アリスの抱き締める腕に力が籠もる。
「アリス、アリスアリスアリスアリスアリスッ」
エリアストは、何度も愛しい人の名を呼ぶ。
「アリス、顔を見せて、アリス。よく、顔を見せてくれ、アリス」
涙でぐちゃぐちゃの顔で、互いに微笑む。
「ああ、アリス、アリスだ。本当に、本物の、アリス」
アリスの唇が、エリアストの名を紡いでいる。
「守れなくて、あの日、守れなくて、本当に、すまない、アリス」
アリスの頬を撫でる。何度も、何度も撫でる。
「共に、帰ろうと、約束も、守れなくて、すまない、アリス」
アリスの両頬を包み、額を合わせて懺悔を口にする。
「帰ろう、アリス。二人の家に、帰ろう、アリス」
………
……
…
「あなたが、アリスを、助けてくれたと。本当に、心から、感謝を」
泣き疲れて眠ったアリスを抱き締めながら、エリアストは頭を下げた。
「ふん。やっと迎えが来たかい。こんな年寄りにいつまでも子どもの面倒見させて何やってるんだい」
実は少し前、アリスの家族が迎えに来た。再会を喜び合い、家族はしきりに老婆に感謝を伝えた。そのまま家族と帰るだろうと覚悟を決めていた老婆だったが、アリスは家族と帰らなかった。ここに置いて欲しいと、指で文字を辿りながら、そう訴えた。家族はエリアストの話をしなかった。家族にしてみれば、愛する人が重罪を犯して牢屋の住人だと伝えられなかったため。だが、アリスからすれば、もうエリアストは先に進んでいるのだ、と言うことなのだと思った。だから、決心がついたら、一目、遠くから見ようと思っていた。同じ町に住むことは、とても出来なかった。
何かを察した老婆は、好きにすればいい、と別れの日が延びたことを、内心嬉しく思ったのだったが。
エリアストにそんな憎まれ口を叩く老婆はそれ以上何も言わず、すぐに背中を向けて薬の調合を始めた。
-八年前 アリスside-
「え、る、さま」
あの日。エリアストが連れ去られるのを、アリスは見ていることしか出来なかった。
二人の心を代弁するかのように降り出した雨。馬も連れて行かれてしまったため、アリスは自力でこの状況を何とかするしかない。力の入らない足を奮い立たせ、アリスは歩く。この状況を知らせるために。痛む体に鞭を打つ。
「エル、様」
雨が、容赦なく視界を、体温を奪う。傷からの出血も、止まっていない。処置をするものもないし、処置の仕方もわからない。だから、今は矢を抜いてはダメだ。この矢が、傷口を塞ぐ役目をしている。それだけはわかった。
「どうか、エル様、無事で」
歯を食いしばりながら、アリスは雨の中を歩いた。慣れない山道を、懸命に歩いた。エリアストを助けるために、ディレイガルドの邸を目指して。
山道とは言え、注意深く見れば血痕がわかる。だがこの雨で血は洗い流されてしまい、アリスの痕跡を辿れなかった。しかし、雨のお陰で、獣に襲われずに済んだのだった。
だが、子どものアリスに、この局面を乗り切ることは難しかった。寒さと失血、疲労で、ついにアリスは力尽きた。
「行かないと。こんな、ところで、寝ている、場合では、ないの、よ」
アリスの気持ちとは裏腹に、ゆっくりと、瞼が閉じた。
アリスが目覚めたのは、襲われてからひと月も経った頃だった。
アリスをずっと見てくれていたのは、薬師の老婆だった。町に薬を卸し、薬草を摘みながら帰る途中、雨に降られ、急いでいた。老婆の自宅近くまで来ると雨は止んでいたが、脈も殆ど触れず、瀕死の状態だったアリスがいた。一刻の猶予もなかったので、その場で応急処置をして、老婆の自宅で本格的な治療にあたってくれたという。ひと月もの間、生死の境を彷徨い、何とか持ち直したときには、熱の影響か事件のショックからか、記憶と声を失っていた。
アリスは、住んでいた町とは反対方向に進んでしまっていた。だが、それがアリスの命を助けた。あの場にいても、そのまま息絶えていた。町の方向に進んでも、あの雨だ。山に入る者もなく、助けは期待出来ないまま、今回のように途中で力尽き、それまでだった。アリスの住む町は、老婆が薬を卸している町とは違う町だったのだ。そして、老婆がアリスを見つけた場所は、老婆が町へ行くときに使う、道なき道。いくつもの偶然が重なり、アリスはその命を長らえた。
ひと月以上床に伏せていたため、まずは体力を戻すことが優先された。筋力がほぼゼロ状態だったため、腕を上げることさえ大変だった。少しの動作で疲れ果て、眠る。そうして何とか起きている時間の方が長くなり始め、老婆の手伝いで教えられた薬草を摘みに外に出るようになる。記憶も言葉も失ったアリスをさすがに町には連れて行けないと、卸しにだけは老婆が変わらず行っていた。アリスの状態から、何かがあったことは明白。下手にアリスの存在を知られない方がいいだろうと、老婆は判断した。それは偏に、アリスを守るためであった。
一方アリスは、焦燥に駆られていた。なぜかわからない。わからないけれど、急がなくてはいけない、そんな気がしているのだ。けれど、記憶のないアリスには、どうすることも出来なかった。
*最終話へつづく*
五年。
ディレイガルドが動いて、五年だ。それでも、アリスは見つからない。
それの、意味することとは。
「疲れた」
アリスがいないこの五年を思う。
アリスに出会う前の自分は、どうやって息をしていた。
アリスが隣にいないのに、どうして生きているのだろう。
「疲れた、な」
与えられた檻の中。固く簡素なベッドに身を横たえる。
このまま眠って、目覚めなければいいのに。
-現在-
「司法取引といこうじゃないか、Dゼロ」
面会室を出たエリアストに、牢に戻りながら壮年の看守は言った。
「檻の中から出たくなっただろう?エリアスト」
エリアストが看守を見る。
「あの日。おまえたちにこっそり護衛を付けなかったことを後悔している」
エリアストは黙って看守の言葉を聞いた。
「おまえはまだ子どもだったのに。おまえに甘えすぎた」
看守は窓の外を見た。
「すまなかった、エリアスト」
「アリスが生きているなら、それだけでいい。もう、何も望まない、父さん」
*~*~*~*~*
エリアストがそのあばらやに近付くと、玄関のドアが開かれた。
エリアストの時が止まる。
八年。その歳月の長さを知る。
美しい黒髪を後ろでひとつに緩く編み、どこか陰を帯びたその人物は、今にもどこかへ消えてしまいそうな儚さを纏う大人の女性へと成長していた。
その人物は、動けないでいるエリアストに気付くと、ひどく驚いた顔で、持っていた籠を落とした。
憂いを帯びていた黎明の瞳から、みるみる内に涙が溢れた。泣きながらエリアストに向かって走る。エリアストも走る。勢い飛びついた人物を、エリアストはしっかりと受け止めた。
「っ、あ、り、すっ」
アリスの抱き締める腕に力が籠もる。
「アリス、アリスアリスアリスアリスアリスッ」
エリアストは、何度も愛しい人の名を呼ぶ。
「アリス、顔を見せて、アリス。よく、顔を見せてくれ、アリス」
涙でぐちゃぐちゃの顔で、互いに微笑む。
「ああ、アリス、アリスだ。本当に、本物の、アリス」
アリスの唇が、エリアストの名を紡いでいる。
「守れなくて、あの日、守れなくて、本当に、すまない、アリス」
アリスの頬を撫でる。何度も、何度も撫でる。
「共に、帰ろうと、約束も、守れなくて、すまない、アリス」
アリスの両頬を包み、額を合わせて懺悔を口にする。
「帰ろう、アリス。二人の家に、帰ろう、アリス」
………
……
…
「あなたが、アリスを、助けてくれたと。本当に、心から、感謝を」
泣き疲れて眠ったアリスを抱き締めながら、エリアストは頭を下げた。
「ふん。やっと迎えが来たかい。こんな年寄りにいつまでも子どもの面倒見させて何やってるんだい」
実は少し前、アリスの家族が迎えに来た。再会を喜び合い、家族はしきりに老婆に感謝を伝えた。そのまま家族と帰るだろうと覚悟を決めていた老婆だったが、アリスは家族と帰らなかった。ここに置いて欲しいと、指で文字を辿りながら、そう訴えた。家族はエリアストの話をしなかった。家族にしてみれば、愛する人が重罪を犯して牢屋の住人だと伝えられなかったため。だが、アリスからすれば、もうエリアストは先に進んでいるのだ、と言うことなのだと思った。だから、決心がついたら、一目、遠くから見ようと思っていた。同じ町に住むことは、とても出来なかった。
何かを察した老婆は、好きにすればいい、と別れの日が延びたことを、内心嬉しく思ったのだったが。
エリアストにそんな憎まれ口を叩く老婆はそれ以上何も言わず、すぐに背中を向けて薬の調合を始めた。
-八年前 アリスside-
「え、る、さま」
あの日。エリアストが連れ去られるのを、アリスは見ていることしか出来なかった。
二人の心を代弁するかのように降り出した雨。馬も連れて行かれてしまったため、アリスは自力でこの状況を何とかするしかない。力の入らない足を奮い立たせ、アリスは歩く。この状況を知らせるために。痛む体に鞭を打つ。
「エル、様」
雨が、容赦なく視界を、体温を奪う。傷からの出血も、止まっていない。処置をするものもないし、処置の仕方もわからない。だから、今は矢を抜いてはダメだ。この矢が、傷口を塞ぐ役目をしている。それだけはわかった。
「どうか、エル様、無事で」
歯を食いしばりながら、アリスは雨の中を歩いた。慣れない山道を、懸命に歩いた。エリアストを助けるために、ディレイガルドの邸を目指して。
山道とは言え、注意深く見れば血痕がわかる。だがこの雨で血は洗い流されてしまい、アリスの痕跡を辿れなかった。しかし、雨のお陰で、獣に襲われずに済んだのだった。
だが、子どものアリスに、この局面を乗り切ることは難しかった。寒さと失血、疲労で、ついにアリスは力尽きた。
「行かないと。こんな、ところで、寝ている、場合では、ないの、よ」
アリスの気持ちとは裏腹に、ゆっくりと、瞼が閉じた。
アリスが目覚めたのは、襲われてからひと月も経った頃だった。
アリスをずっと見てくれていたのは、薬師の老婆だった。町に薬を卸し、薬草を摘みながら帰る途中、雨に降られ、急いでいた。老婆の自宅近くまで来ると雨は止んでいたが、脈も殆ど触れず、瀕死の状態だったアリスがいた。一刻の猶予もなかったので、その場で応急処置をして、老婆の自宅で本格的な治療にあたってくれたという。ひと月もの間、生死の境を彷徨い、何とか持ち直したときには、熱の影響か事件のショックからか、記憶と声を失っていた。
アリスは、住んでいた町とは反対方向に進んでしまっていた。だが、それがアリスの命を助けた。あの場にいても、そのまま息絶えていた。町の方向に進んでも、あの雨だ。山に入る者もなく、助けは期待出来ないまま、今回のように途中で力尽き、それまでだった。アリスの住む町は、老婆が薬を卸している町とは違う町だったのだ。そして、老婆がアリスを見つけた場所は、老婆が町へ行くときに使う、道なき道。いくつもの偶然が重なり、アリスはその命を長らえた。
ひと月以上床に伏せていたため、まずは体力を戻すことが優先された。筋力がほぼゼロ状態だったため、腕を上げることさえ大変だった。少しの動作で疲れ果て、眠る。そうして何とか起きている時間の方が長くなり始め、老婆の手伝いで教えられた薬草を摘みに外に出るようになる。記憶も言葉も失ったアリスをさすがに町には連れて行けないと、卸しにだけは老婆が変わらず行っていた。アリスの状態から、何かがあったことは明白。下手にアリスの存在を知られない方がいいだろうと、老婆は判断した。それは偏に、アリスを守るためであった。
一方アリスは、焦燥に駆られていた。なぜかわからない。わからないけれど、急がなくてはいけない、そんな気がしているのだ。けれど、記憶のないアリスには、どうすることも出来なかった。
*最終話へつづく*
16
お気に入りに追加
261
あなたにおすすめの小説
愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!
香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。
ある日、父親から
「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」
と告げられる。
伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。
その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、
伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。
親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。
ライアンは、冷酷と噂されている。
さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。
決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!?
そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
夫が私に魅了魔法をかけていたらしい
綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。
そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。
気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――?
そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。
「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」
私が夫を愛するこの気持ちは偽り?
それとも……。
*全17話で完結予定。
つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します
佐倉えび
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚
不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。
私はきっとまた、二十歳を越えられないーー
一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。
二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。
三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――?
*ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる