短編ホラー

黒鬼

文字の大きさ
上 下
4 / 4

鴉(※微グロあり)

しおりを挟む


学校の帰り道にはいつもお決まりの場所に向かう。

放課後になると猫達が群がる神社へ通っている。
ここには行き場のない野良猫が集まる。
私は夕日の出る時間帯になると
パンくずや帰り道で買った
少しぬるくなったミルクを猫にあげるのが日課。

「ミャァー。」

「んっ、君は新入りかなぁ?
見た事ない猫ちゃんだね。子猫かぁ。」

昨日は居なかったトラの子猫が居た。
そこにいつもここにいるボス的存在の
大人猫が近付いてきて子猫の毛繕いを始める。

「そっか~。あんたが連れてきたのね。」

「ミャー。」

まるで私の言葉を分かっているかのように
私の言葉に猫は鳴く。

それにしても今日はやたら静かだ。
早く帰ろう。
と、考えている内に猫が集まってきて
餌をあげる。
そのうち沢山集まってきて私にくっつく猫や
目の前ではしゃいでいた猫も集まる。
そのうち眠たくなってきて
少しずつ意識が遠のいていった。

「ミャー!!」

「ニ゛ャー!」

という猫の怯える声や唸る声で目が覚める。

なぜだろうか。
目も開くし意識もあるはずなのに
体が上手く動かずぼーっとする。
私を守るかのようにボス猫が何かに唸る。

見上げると鴉が何羽も飛んでいた。

「カァー!カァー!」

と、鳴きながら猫の隙を突いて
こちらに真っ直ぐ飛んでくる。

「グチャっ......ブチッ....」

何かが潰れて引きちぎられる音がする。

ふと自分を見ると....

頭が真っ白になった。
死を覚悟した。

お腹や太ももが血で真っ赤に染まり
内臓の様なものが飛び出ていた。
それを鴉が狙っていたのだ。
そして無惨にも私の身体を食らっていく。

あぁ、私、死ぬんだ。

不思議と痛みはなかった。
ただただ頭が真っ白でぼーっとしていた。
猫たちは鴉から私を守るように
必死に鴉に唸る。

「グチャっ!」

「ミ゛ャー!」

鴉が飛びついて来たかと思うと
猫に嘴で腹部を思い切り突き刺す。

猫は一瞬で命を落とす。

私も、あぁなるのか。
以外にも冷静に考えていた。
と、突如強烈な痛みが私を襲う。

「ァ゛アアア゛アアァア゛!」

思わず叫び声を上げる。
目が、見えない。
鴉の口元には私の目がぶら下がっていた。

そしてそのまま、私は暗闇の中で
食いちぎられていった。

あなたも寝ていると、鴉に
食われるかもよ?

私みたいに......

しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

るくぶる
2016.10.19 るくぶる

挿絵の使い方がうまいっすねぇ…
怖かったです

黒鬼
2016.10.19 黒鬼

ありがとうございます!!!

挿絵は加工したものですが
怖かったと言って頂いただけでも
すごくありがたいです!

これからも良かったら
読んで下さい(^-^)

解除

あなたにおすすめの小説

怪談実話 その2

紫苑
ホラー
本当にあった怖い話です…

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
よくよく考えると ん? となるようなお話を書いてゆくつもりです 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

ハッピーガール

床間四郎
ホラー
少女の願いはただひとつ、みんなが幸せになってほしい。しかしこの世界はそこまで単純ではなくて……

怖い話 が好きなヤマダさん

RERA
ホラー
怖い話集です。上から順番通りに読むのがオススメです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

不思議小話 ピンキリ

そうすみす
ホラー
軽い寄り道感覚で読める不思議な話。 自分自身や友人の体験を元に、ちょっと不思議な話を気の向くままに、少しばかり脚色と誇張を交えて書き連ねてゆきます。不定期に新話を投稿致しますので、皆様もお気の向く時にお立ち寄りください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。