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14 港町散策

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 演説が終わったのは夕方になってからだった。
 ふと見上げた空は、赤々と染まり、太陽がその頭を縮めようとしてるところだった。
 地下から出ると、海から吹いてくる風が肌に当たり、気温がぐんと下がったように感じる。

 私はノビをして背中をぐいっと曲げた。
 突如、骨がゴリゴリと音が鳴る。
 演説中、考え事をしててずっと姿勢をキープしたままだったからだろうか?

 そんなことを考えてると、ふとアンナから声をかけてくる。

「おい、なんか寄りたいところないか?」
「寄りたいところですの?」
「あぁ、なんか。勝手に誘拐してこんなことに付き合わせてるのもなんか申し訳なくなってきてな」

 どうやら彼女には罪の意識があるらしい。
 まぁ、私からしたら、誘拐でもされなかったらこの革命計画の件は絶対に知ることができなかったことなので、それはそれでいいのだが、一応ここは彼女にノっておこうと思った。

「んー、そうねぇ。じゃあ海が見てみたいわ!」
「海か?」
「うん。だってずっとお城に篭ったばっかで、最後に海を見たのがいつか覚えてないんですもん」

 王族は基本、お城の中で全て事足りてしまうし、王都ですら視察という名目くらいでしか出歩くことはないので、私はあまり外の世界を知らなかった。

「ふぅ、わかったよ。じゃあ港に沿って歩いて戻ろう。そのかわり、ちゃんとローブはつけとくんだぞ?」
「もちろんですわ!」

 一応人質という名目なのできっちりと監視が数人ついてきている。
 変なことをすると今よりも自由を制限されそうなので、ここは素直に頷いた。

 海側まで来ると、私はその光景に思わずため息を漏らす。
 終わりのない水平線。
 キラキラと輝く波。
 そして船の立てるのさざ波。

 想像してても、それを頭で思い浮かべるのと実際に見るのとじゃ雲泥の差だった。

 港に停泊する船は、どれも驚くほど巨大で、そこから無尽蔵に運び出される物資が王都まで辿り着くと考えると私はそれがとても興味深く思えてきた。

 こんなことなら、視察という名目でもっと外を見とくんでしたわ!

 そんなことを考えながら、私は歩きながら1隻ずつ船の前を通りすぎる。

 とにかく巨大な帆を持った輸送船。
 大砲と窓から出した軍船。
 小さいながらも豪華に彩られてる客船。

 さまざまな種類も船が、私の関心をさらに掻き立てた。

 そして、帆が破けてて、ちゃんと手入れがされてるのか怪しいような船の前まで来た時、突如、突風が吹く。
 ローブが風に靡き、それが頭部から外れたので、日が思い切り顔に当たった。

「おい!」

 監視の人がそう声を上げて、私のローブをまた頭まで持ってく。

「あら、ごめんなさい。わざとじゃありませんのよ?」
「ちっ、わかってるよ」

 その男は私を睨みつけながらそう言った。
 どうやら王族だからという理由で毛嫌いされてるらしい。

 でも、私も王族に生まれたくて生まれてるわけじゃありませんのよ?

 そう思いながら、私は今日の寝床まで歩かされるのだった。

ーーーーーーーーーー

次回、お姉様視点です。
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