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ついに… side悠

放課後

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どうしてこういう時に限って時間が経つのが早いのか…。
心の準備なんて全然できてない。
どうしよう…。

担任が今日最後の話をしている。
そろそろ終わるのか教壇の上を片付けながら話す。

「というわけで、今日は終わり。さいなら~」
「さよなら~」

挨拶が終わり、荷物をまとめる。

「悠準備できた?」
「…もうちょっと待って」
「はいよ」

心の準備がまだできていません!
なんて言える訳もなく…準備が終わったのを見計らって和哉が俺の腕を掴み、空き教室へと向かう。

どこの空き教室を使うのか疑問だったが、人がほとんど来ることの無い3階の端の空き教室を選んでくれた。

「で、人がいないところに来たけど言いたいことって何?」

キラキラした目で言うなっ!
そんなお前からしたらいい事じゃないし断るかもしれないんだぞ!?

そう思いながらも心を整え、深呼吸をして一言目を発する。

「あの、さ…和哉?今から言うことに正直に言って欲しいんだけど……」
「何?」
「あの……、俺さ、和哉の事、好きなんだよね……番にして欲しいって思うくらいには……」

チラッと様子を伺うと驚いたような顔をして俺をじっと見てる。

「番に…?」
「あの…っ!無理に、でもないし、同情ででもない。今まで接してきて好きになった…」

本当の初恋はその前の助けられた時。
でも多分和哉は覚えてないだろうから、あえて俺は言わない。

「番ね…」
「あの…、運命の番を探すのは別にいいしっ!それに付き合う…?し!和哉のすることとか何も言わない!別に生活に入っていきたいとか考えてないから…っだならっ!」
「悠そこまで焦って言わなくてもいいよ」

クスクスと笑いながら俺の頬に優しく触れる和哉。

「うん。そこまで言うのならいいよ。番」
「ほ、本当!?」
「うん。ただ、その代わり、運命の番に会っても向こうも番がいるかもしれない。番が居たら双方分かりづらいし、もう生活はあるからその事に関しては何も言わないで見守って欲しい。それでもいい?」
「うん…っ!うん……っ、ありがとう……っ」

俺は感極まって泣いてしまった。

「泣かないで…。悠はいつ発情期なの?」
「ぇと…、予定では…来週末……」
「じゃあその時に番おう?」
「うん…本当にありがとう……」

条件があったとしても、俺はこの気持ちさえあればやっていける。
この時の俺はそう信じて疑わなかった。
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