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番外編
元王太子の日記
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※注意※
ダークです
[今日はよく晴れている]
あれからどれだけの月日が過ぎたのだろうか。
一ヶ月?半年?いや、一年?……それともまだ一週間も過ぎてないのだろうか。
かつて私は大きな国の王太子だった。正室の子であり、第一王子。類まれなる美貌と英知をもって生まれた私は、誰も疑うことのない次期国王として生きてきた。
なのに!
あの日……全てが崩壊した!私の人生が狂ったのだ!
私は騙されたのだ。
あの、フレアリアという女に!
あれはいつのことだったか、久しぶりに行った学園で婚約者の女に初めて会った。親が勝手に決めた相手などどうでも良く、興味も湧かなかった。
案の定、つまらない女だと思った。容姿はそこそこだが、常におどおどして覇気がなく、面白くもなんともない。こんな女が自分の妻となるのかとウンザリしたものだ。
そこへフレアリアが声をかけてきたのだ。
あれは実に良い女だった。美しく妖艶なその姿はなんとも魅力的だった。肉体関係は出会ったその日のうちにもった。
フレアリアは婚約者の妹だと言った。ならば何の問題もないだろう。同じ家の娘なら、どちらと結婚しても構わないだろう。
私は本来の婚約者を放置して、フレアリアにのめり込んだ。あれの体はうまかった。何度抱いても飽きなかった。
そして激しい情欲にまみれた後、フレアリアは必ず私の耳に囁いたのだ。
「あの女が居るせいで私達は一緒になれないんです」と。
涙ながらに、姉を裏切れないから結婚出来ないと言うのだ。
何を言うのだ、私は王太子だぞ!私に不可能なことなどあるものか!
あの頃は当然のようにそう考えていた。
だが王家にも面子がある。
流石に婚約者がある身で他の女と関係を持ったことが公になるのはまずい。しかも婚約者の妹など、醜聞すぎる。
だから下っ端貴族共を使った。
公爵も伯爵も関係ない。どれも王族である私にとっては下っ端、下僕、私のために身を粉にして動くべき存在。
陥れるために駒を動かした。その指示は主にフレアリアがやっていたのだが──まさか他の男とも関係をもっていたとは!
悪魔のような女に私はそそのかされたのだ!
だんじて私は悪くない!私は悪くないのだ!
なのになぜこんな事になっているのか……。
あの日、リンティアを断罪して婚約破棄するはずだったのに。
なのになぜか私が断罪され、気付けば異国のこんな……こんないかがわしい館に連れてこられるなんて!
毎日毎日、私の体をあの変態どもは……!
書きたくも無い、思い出したくも無い!おぞましい行為は一日に何回も行われ、私の下半身はもうボロボロだ。
どうか、どうか父上……そして弟よ、早く来てくれ、私を助けに来てくれ!
これは何かの間違いなのだろう?私がこんな場所に居るのは誤りであろう?
私は待っている、待っているんだ。
早く来てくれ。
帰ったら私は必ず立派な王となる。その為の修行なんだと分かっているから。
だから、どうか……早く迎えに来てくれ。
[きょうはアメ]
きょうはハチ人のごシュジンさまが来た。どのかたもとても優しくワタシをアイしてくださる。ウツしい容姿のワタシをホめ、カワイがってくださる。
もう下半身が言うことをきいてくれない。けれどごシュジンさまにアイしてもらうため、ワタシはきょうもヒッシにコシを振る。
ああ、なんとワタシは幸せなのか。ごシュジンさまが来てくれないと、ご飯がもらえない。だからごシュジンさまが来てくださるワタシはとても幸せなのだ。
そういえば誰かをマっていた気がする。
タスけてほしいとオモっていた気がする。
もうオモい出せないが、スクいなんてもとめるヒツヨウは無いんだ。
だってワタシは幸せなのだから。
[さむい]
きようもごはんがもらえなかつた。
きようもごしゆじんさまはこなかつた。
からだがおもうようにうごかない。からだをおこすのもおつくうだ。
ねながらかくのもしんどい。
かきおわつたらねるとしよう。ねてしまえばくうふくをかんじない。
そういえばわたしのなまえはなんだつけ。わたしはだれだつけ。わたしはなにをしてたつけ。ここでわたしはなにをしてるんだつけ。
わたしは
わたしは
わ た しは
※※※※※※※※※※
「なんだ、何を読んでるんだ?」
「あー、そこの異国人が欲しいって言うから紙とペンをやったんだけどさ。落ちてたから読んでみたんだけど、なんか意味不明なこと書いててよ~」
「あ~あれな、あれもう駄目だろ。壊れちまってもう誰も買わないからな」
「御館様もひでえよな。見目がいいからって稼げるときに稼がせようとするんだもんなあ。一日に10人以上も相手してりゃ、そりゃ壊れるわ」
「うへ~、俺なんて男相手に1人でも嫌だぜ!」
「大体変態が多すぎんだよ、うちに来る客はよお」
「てかあれ、もう死んでんじゃねーの?動かねーぜ」
「げ、マジかよ。ちっ、面倒くせーなあ。あーあ、明日埋めに行くかあ」
~元王太子の日記 fin.~
ダークです
[今日はよく晴れている]
あれからどれだけの月日が過ぎたのだろうか。
一ヶ月?半年?いや、一年?……それともまだ一週間も過ぎてないのだろうか。
かつて私は大きな国の王太子だった。正室の子であり、第一王子。類まれなる美貌と英知をもって生まれた私は、誰も疑うことのない次期国王として生きてきた。
なのに!
あの日……全てが崩壊した!私の人生が狂ったのだ!
私は騙されたのだ。
あの、フレアリアという女に!
あれはいつのことだったか、久しぶりに行った学園で婚約者の女に初めて会った。親が勝手に決めた相手などどうでも良く、興味も湧かなかった。
案の定、つまらない女だと思った。容姿はそこそこだが、常におどおどして覇気がなく、面白くもなんともない。こんな女が自分の妻となるのかとウンザリしたものだ。
そこへフレアリアが声をかけてきたのだ。
あれは実に良い女だった。美しく妖艶なその姿はなんとも魅力的だった。肉体関係は出会ったその日のうちにもった。
フレアリアは婚約者の妹だと言った。ならば何の問題もないだろう。同じ家の娘なら、どちらと結婚しても構わないだろう。
私は本来の婚約者を放置して、フレアリアにのめり込んだ。あれの体はうまかった。何度抱いても飽きなかった。
そして激しい情欲にまみれた後、フレアリアは必ず私の耳に囁いたのだ。
「あの女が居るせいで私達は一緒になれないんです」と。
涙ながらに、姉を裏切れないから結婚出来ないと言うのだ。
何を言うのだ、私は王太子だぞ!私に不可能なことなどあるものか!
あの頃は当然のようにそう考えていた。
だが王家にも面子がある。
流石に婚約者がある身で他の女と関係を持ったことが公になるのはまずい。しかも婚約者の妹など、醜聞すぎる。
だから下っ端貴族共を使った。
公爵も伯爵も関係ない。どれも王族である私にとっては下っ端、下僕、私のために身を粉にして動くべき存在。
陥れるために駒を動かした。その指示は主にフレアリアがやっていたのだが──まさか他の男とも関係をもっていたとは!
悪魔のような女に私はそそのかされたのだ!
だんじて私は悪くない!私は悪くないのだ!
なのになぜこんな事になっているのか……。
あの日、リンティアを断罪して婚約破棄するはずだったのに。
なのになぜか私が断罪され、気付けば異国のこんな……こんないかがわしい館に連れてこられるなんて!
毎日毎日、私の体をあの変態どもは……!
書きたくも無い、思い出したくも無い!おぞましい行為は一日に何回も行われ、私の下半身はもうボロボロだ。
どうか、どうか父上……そして弟よ、早く来てくれ、私を助けに来てくれ!
これは何かの間違いなのだろう?私がこんな場所に居るのは誤りであろう?
私は待っている、待っているんだ。
早く来てくれ。
帰ったら私は必ず立派な王となる。その為の修行なんだと分かっているから。
だから、どうか……早く迎えに来てくれ。
[きょうはアメ]
きょうはハチ人のごシュジンさまが来た。どのかたもとても優しくワタシをアイしてくださる。ウツしい容姿のワタシをホめ、カワイがってくださる。
もう下半身が言うことをきいてくれない。けれどごシュジンさまにアイしてもらうため、ワタシはきょうもヒッシにコシを振る。
ああ、なんとワタシは幸せなのか。ごシュジンさまが来てくれないと、ご飯がもらえない。だからごシュジンさまが来てくださるワタシはとても幸せなのだ。
そういえば誰かをマっていた気がする。
タスけてほしいとオモっていた気がする。
もうオモい出せないが、スクいなんてもとめるヒツヨウは無いんだ。
だってワタシは幸せなのだから。
[さむい]
きようもごはんがもらえなかつた。
きようもごしゆじんさまはこなかつた。
からだがおもうようにうごかない。からだをおこすのもおつくうだ。
ねながらかくのもしんどい。
かきおわつたらねるとしよう。ねてしまえばくうふくをかんじない。
そういえばわたしのなまえはなんだつけ。わたしはだれだつけ。わたしはなにをしてたつけ。ここでわたしはなにをしてるんだつけ。
わたしは
わたしは
わ た しは
※※※※※※※※※※
「なんだ、何を読んでるんだ?」
「あー、そこの異国人が欲しいって言うから紙とペンをやったんだけどさ。落ちてたから読んでみたんだけど、なんか意味不明なこと書いててよ~」
「あ~あれな、あれもう駄目だろ。壊れちまってもう誰も買わないからな」
「御館様もひでえよな。見目がいいからって稼げるときに稼がせようとするんだもんなあ。一日に10人以上も相手してりゃ、そりゃ壊れるわ」
「うへ~、俺なんて男相手に1人でも嫌だぜ!」
「大体変態が多すぎんだよ、うちに来る客はよお」
「てかあれ、もう死んでんじゃねーの?動かねーぜ」
「げ、マジかよ。ちっ、面倒くせーなあ。あーあ、明日埋めに行くかあ」
~元王太子の日記 fin.~
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