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25、珍道中とはこのことか

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「僕みんなで泳ぎに行くなんて初めてです!嬉しいなあ」

 可愛く頬を高揚させて、嬉しそうにはしゃぐのは、愛弟のグリンマルトだ。

 今日は待ちに待った湖水浴の日!
 全員で1台の馬車には乗れないので、複数に分かれて向かう。

 キュリアス様とシュリエッタ様は二人で1台に。

 チェイシーとヘルンドル、アミュキューラがまた別の1台に。

 そして私とメンテリオス、グリンマルトに……ムサシムが最後の1台……なんだけど……

「なんで!!」
「何ですかお嬢様、いきなり叫ぶとか下品ですよ」
「いやおかしいでしょ、この振り分け!」

 私とグリンマルトが一緒なのは分かる、姉弟だもの!でもじゃあ、普通はここにアミュキューラでしょ!?

「つーか、ムサシム様はチェイシーと同じ馬車でしょうが、普通」
「チェイシーが嫌だと言ったからな」
「じゃあ私もあっちの馬車に乗る!」
「お姉さま……僕をおいてくの?」
「ぐはぁ!!」

 最後はグリンの可愛いウルウル涙目攻撃で私撃沈。愛弟の涙目攻撃ハンパない。

 定員4人の馬車に、キュリアス様とシュリエッタ様が振り分けたこの状況。
 ヘルンドルが居ないだけマシと思うべきなんだろうか。

 あ、チェイシー達の馬車に行ったらヘルンドルが居るのか。それは嫌だな、すんごい嫌だ。

 いやしかしそんなことより!これだけは言っておかなければならないことが!

「メンテリオス」
「はい何でしょう?」
「シュリエッタ様付きのメイドさんであるジュリーさんは、使用人用の馬車に乗っておいでです」
「そうですねえ」
「さてそこで問題です」
「はい何でしょう?」
「君は私の何なのでしょう?」

 さあ答えろ!そして別の馬車に移動しろ!

 睨みながら問うてみたら
「やだなあアイシュラ様ったら。貴女にとって1番大切な存在に決まってるじゃないですか」

 斜め上の返事きたー!

「はあ!?」
「私は何時いかなる時もお嬢様と共に有ります。そして危険が有ればお守りするのが使命」
「んな、な……!」

 ちょっと何イケメンな台詞吐いてくれてんのよ!
 あああ、何とかして顔が赤くなるのを止めなければ!でなければあらぬ誤解をされてしまう!

 あわあわしながら返答に困っていたら
「お姉さまとメンテリオスはお似合いですよね。姫を守る騎士ナイトですね!」
などと天然な弟が爆弾投げてくるー!

 爆弾投げて微笑む弟。
 爆破3秒前で泣ける姉。

 何これ全米が泣いちゃうの?

「全米とは何だ」
 聞き流せ、ムサシム。

「しかし確かにおかしいと俺も思う。以前も言ったが、主人との距離感がおかしいのではないか?」

 もっと言ってやってください。

 正論な援護に嬉々として声援を飛ばそうとしたら

「主人だからこそ、譲れないこともあるんです。私とアイシュラ様は普通の主従ではありません、信頼しあってるんです」

 うん、なんかもっともらしいこと言い出したぞこの執事。

「私はアイシュラ様を絶対にお守りする。その為にも片時も離れないと決めたのです」

 なにこのイケメン!ときめく!ときめくよトゥナイトは!

「だが今は俺がいる。十分過ぎる護衛だと思うが?」

 え、護衛なの?
 伯爵家の護衛が侯爵家なの?おかしくない?

「アイシュラは俺の大事な弟子だからな。独り立ちするまでは俺が守ってやる」
「いつ弟子に!?」

 なった覚えありませんが!?
 やはりこの人は私を女騎士にしようとしてないか!?

 その後もやいのやいのと騒いでたら最初の休憩地に到着した。

 次は絶対!振り分け変えてもらうから!







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お読みいただきありがとうございます。
短くてすみません。
ちょっと……テンションがおかしいです(^^;)
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