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しおりを挟む「アイリーン、お前が偽の聖女である事はもう分かっている!国を欺いた罪は大きい。よって死ぬまで幽閉の身とする!」
今日は国を挙げてのお祭。建国祭の日だ。
皆が楽しい楽しいお祭にウキウキする中、お城では国王様直々のお言葉があるということで……国民は城下の大広場に集まっていた。城からあそこまで結構距離あるけど、声届くの?──届くんだな、これが。拡声魔法があるのよ、あら便利。魔法超便利。
そんなわけで、お城の真ん中真正面に作られた大きなバルコニーに集まった王族。その中になぜか平民の私が居たりします。あ、どもどもコンニチハってなもんである。
どうして平民の私が平民が集う広場に居なくて、王族と共にバルコニーに居るのかっていうと。まあ聖女だからですよ。
この国を守護し、平和と秩序を保つための存在。聖女。
毎日毎日ウンザリするぐらい祈らねばならないが、その対価として衣食住に困る事はない。身の回りの世話はしてもらえる。たまにだけどお休みも貰える。一日三食昼寝付き、お菓子タイムも勿論あるよ、な生活。実に快適!まあそれ以外は祈ってるので面倒だけど。それで将来安泰なんだから文句を言っては罰が当たります。
そいでもってなぜか王太子と婚約させられたので、生涯独身というわけでもなくなった。別に自由気ままな独身でも良かったのだけど、そこはまあギブ安堵テイク。──なんだかとっても納得な誤字変換になったから、そのままにしておこう。
そうして単調で平和な日々を送っていたのだけど。
めでたき日である今日。さて王様のお言葉を……てとこで、なぜか王様を押しのけて王太子が前に出てきたのだ。
なんだなんだと皆が見守る中で、冒頭の爆弾発言をやらかしてくれたってわけです。
ビシッと指を差して名前まで出されてるので、間違いなく私に言ったんですね。王族にアイリーンって人、居ないよね?多分。王族人数多いからよく分からんけど。王太子の視線と指先が私に向かってるので、まあ私なんでしょう。
言われた私はキョトン。え、何言ってんのってなものである。
毎日毎日国を守る結界の気配を探り、弱ってるとこの補強すべく祈ってますけど?変な呪文唱えなくても祈れば能力実行できる便利機能持ってますけど?国に魔物が押し寄せないのも、他国が攻めてこないのも、全て私の能力で国を守ってるからですけど?
どうしてそういう結論に至った?
何言ってんだコイツって顔で見てたら、いきなり衝撃を感じた。
自分の意思に反して、顔が右を向いてしまった。
──左頬を殴られたのだ。左頬を殴られたら、そりゃ右を向く。自然の動き。
って、おい。
今何が起きた?
え、私王太子に殴られたの?え、ビンタ?一応……でもないけど、100%女である私の頬をぶったの?
……なんで?
「何を──」
「この詐欺師め!よくも今まで我らを騙してくれたな、恥を知れ!」
一応恥じらいくらいは知ってます。恥を知らない人生は流石に送ってないわ。
でもって詐欺師はいただけない。いわれのない事で責められて殴られる覚えはございません。
「王太子様は何をおっしゃってるのですか?」
なので抗議する事にしました。当然の権利行使しますよっと。
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