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第四章 Love And Hate

第105話 夏の黄金比

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「まずはインナーからねー」

 秋菜と一緒にいつものデパートに来ている。
 今日も株主優待券大活用する気満々だ。

「え、インナー?」

「うん。水着用のインナー持ってないでしょ?」

「そりゃまあ水着も持ってないくらいだし。へぇ、水着って直接着るもんじゃないんだ」

「そうそう。まー着けない人も結構いるけど、海とかプールとか結構菌がいるからね。水着だけだと尿道とかにばい菌が入って病気になっちゃったりするんだよ。第一はその保護のため。第二は水着の試着って流石に肌に直ではさせてもらえないでしょ。インナーを着けてないとダメなんだけど、パンツとかブラだとモノによっちゃはみ出して試着とは言えカッコ悪いじゃん。だからまずはインナーを買うわけ」

「はぁー、なるほどね」

 それは知らなかった。
 ネット小説なんかじゃ水着買いに行くのって結構よくあるイベントだけど、なんか試着の時地肌に試着してるっぽくて実は、それはちょっと気持ち悪くないかと思ってたんだ。
 今やっと解決した。上はまだしも下は流石にねぇ。

「あと直接履くと生地によっちゃスジが入っちゃうからね。あれだけは絶対嫌じゃん」

「ん? あぁーー。たしかに! あれは恥ずいね」

 はいはい。
 グラビアなんかで見つけたら男子の時は食い入るように見ていたわ。自分が見られる側だったら絶ーーー対やだわなー。

 って今のわたしはむしろもっこりがヤバいのだった……。

 というわけでまずはインナーショーツから。
 意外にも柄モノを始めカラフルなもの、地味なもの色々と揃っている。

 ただ、ちょっと気になるのはほぼサイド面は紐。
 お尻も布面積が最小限というところだ。
 まあ確かに水着からはみ出したら意味がないし、水着よりコンパクトじゃなきゃダメだからな。

 普段のショーツもボクサータイプが多いわたしなので、こんなに大胆な感じのインナーショーツはちょっとびっくりだ。
 もっとも水着もビキニなんかだとショーツみたいなのが普通だもんな。

 数ある中からわたしは一番地味で危なげない肌色のものを選んだ。目的を考えたら派手にする必要一切ないし。

「よし! じゃー次、いよいよ水着だねー」

 女物の水着の種類ってこんなにあるのか。
 ヘェ~、初めて来たなぁ。

 ワンピーススカート風も結構あって、水着っていうより普通に服屋さんみたいだ。
 綺麗なのがいっぱいあって目移りしちゃうなぁーっ。テンション上がるっ。

「ねえねえ、夏葉ちゃん。E65だとさぁ、ブラのサイズ的にあんまりなくない?」

「うん、ないよねぇー。ちょっと前まではDだったんだけどEだと少ない上にかわいいのがないよね。D70を買ったりしてる」

「あー、カップサイズ的には一緒らしいねE65と。ホント65はないんだよねぇ~」

 あ、男子は知らないかもしれないが、ブラのサイズはアンダーバストとトップのサイズ差によってカップが決まる。

 普通にバスト何センチって言ったらトップのサイズを指すが、例えばトップが85センチでアンダーが65センチだとその差が20センチ。
 この20センチ差というのがEカップの指標となる。

 ってサイズバレるし!!!

 ちなみにその差2.5センチごとにカップサイズは上下する。
 Eカップ勢の中ではアンダー65っていうのは一番小さい。アンダーのサイズが65ってかなり華奢に見えるサイズなのだ。

 なのでEって言ったら巨乳のイメージかもしれないが、トップが85だと大きいことは大きいが一般男子がイメージする巨乳って感じには見えないんじゃないかな。

 着痩せして見えるけど脱いだらあれ、まあまああるじゃんっていう絶妙なラインがE65と思ってくれ。
 まぁ秋菜みたいなモデル向きのスタイルとも言えるかな。見た目のバランスのよさ的には黄金比じゃなかろうか。

 ただしグラビアアイドルみたいな巨乳感はない。
 ちなみに単純に乳の体積だけで比べたらA90の方が巨乳です……。

「いい通販サイト見つけたんだよ。わたしそこで買ってるんだけど、どうせ形も揉み心地も一緒だからそこで買えばピッタリ合うはず」

「揉み心地情報関係なくねっ!?」

 うーん、それはそうと色々ありすぎてどの辺がいいか見当がつかないなぁ。
 ワンピースかビキニかっていう二択じゃ済まないもんなぁ~。モノキニとかタンキニとかさらに細分化されちゃうしさ。

 あんまりセクシー系よりか高校生だし可愛い系の方がいいかな。

「秋菜も買うの?」

「うーん、見てたら欲しくなっちゃったかな。あは」

「そっか。どんなのがいいかねぇ~」

 タンキニは露出少なめなのも結構あって可愛いのも多い気がする。
 今年は小花柄が充実してるのかなぁ……可愛いなぁ……。

「あっ、その辺りの可愛いよねぇっ! ディセットの撮影でもこういうの着たよー」

「見た見た。あれ見ていいなーって思ってたんだぁ」

「でしょでしょっ? あれ可愛かったよねぇ」

 どうやら秋菜もこのタンキニコーナーにあるようなタイプに注目していたらしい。
 かと思えば早速あれでもないこれでもないと物色し始めている。

「夏葉ちゃん、これとこれとこれっ! はい、試着行ってみよーっ」

 いつものパターンでわたしがフィッティングルームへと押しやられる。

 先ほど購入したインナーが早速役立つわけだな、どれどれ。とインナーをはいて大鏡に映った自分がふと目に入る。

 なにこれ、えっっろ。
 布面積が小さいのでなんか妙にエロい。
 お尻の方を鏡に向けてみる。
 グワッ、この尻丸出し感はっ! これはヤバい。
 かろうじて布はあるけどって程度……。
 もはや覆ってるとすら言えない面積だ。

 ぅわぁ……これは……ぇっろぃなぁ……。
 っと自分の尻を見て赤面してる場合じゃなかった。

 どれどれ、水着水着……と。

「夏葉ちゃん、どぉー?」

 カーテンから顔だけを出して周囲を見る。
 水着姿をいきなり衆目にさらすのは流石に無理っていうか、見せられる方も迷惑かもしれない。
 誰もいないことを確認してカーテンを開ける。

「どうかな……?」

「おぉ~。いいねぇ、可愛いじゃん」

「ホント!?」

「うん、いい、いい。めっちゃ可愛いよぉー」

「ちょっと別のも試してみるね」

 と秋菜が選んだ水着を全部試してみて、結局どれも可愛かったので選ぶのに苦労したけど、結局秋菜のチョイスで二着、わたしと秋菜の分を決めた。

 ちなみに股間はテープで押さえてる上にインナーも生地がしっかりしているのでもっこり感は全く問題ないことも分かった。

「よーし! これでプールでも海でもドンと来いだねっ、夏葉ちゃん!」

「ん、まあね。でもプール入るとテープが剥がれちゃうんじゃないかなー……」

「うーん……。そこはなんとか考えよぉっ!」

 完全に人ごとだと思っていそうだな、コイツは。
 うぅむ……水にも強いテープがないのかな……涼音さんに相談してみようか。

 帰宅後、念のためにネットで調べてみると、テーピング用のものに防水タイプがあると分かったので一応購入しておいた。
 備えあれば憂いなし。これでプールも大丈夫だな。

 つーかこの前まであんなに女物の買い物に抵抗感があったのにまさか水着選びでこんなにウキウキしているとは……。
 変われば変わるもんだなぁ……。
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