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遠い国で

*2人だけのひととき_8

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 「……どうかしたの?」
「な、なんでも……っ、はぁ、う……」

 はぁはぁと、途切れ途切れに呼吸をしながらそう答えた。

「……そう」
「……っ!」

 なにかを察してか、ハルトは今まで通り動くことをやめ、とてもゆっくりと腰を動かすように変えた。

「んっ……うぅぅ?」

 刺激が撫でるようなものに変わり、ゆあは戸惑った。

「気持ち良かったんだよね、さっきの。イきそうだったのかな?」
「うぅ……」
「それとも、物足りない?」
「そ、んなこと……」

 ハルトがなにをしようとしているのか、ゆあにはわかっていた。きっと、自分に言わせようとしているのだ。『どうしてほしいのか』――を。

「言ってくれないとわからないな? このまま続けても良いのか、それともやめたほうが良いのか」
「う、うぅ……」
「教えてくれないか? ゆあ」

(……ハルトさん……絶対私が答えるの恥ずかしいのわかってて言ってるもん……)

「ぁ……」

 試しになにか言葉を発してみようとするも、ハルトが望む言葉を口にしようとすると、喉の奥からなにも出てこなかった。『思っていることを口に出すのは恥ずかしい』と、頭がストップをかけていた。言えない。言いたくない。喜んでくれるかもしれないし、きっとその通りにしてくれるだろう。だが、それを口に出すには、勇気が足りていなかった。唇をプルプルと震わせて戸惑うままのゆあに、ハルトは声をかける。

「おいおい、ゆあが言えるようになることを期待しているよ」
「――うぁ……っ……! あぁぁぁぁ――――――!!」

 感じなくなってしまわない程度にゆるゆるとピストンを繰り返していたハルトだったが、彼女が言葉にできないことを感じると口からその言葉を求めることをやめ、身体の反応から窺うことに切り替えた。

「んんん、うぅ、んっ……あっ、あぁぁ……ふぅ、う、うぅっ」
「……身体に聞くほうが早そうだね」
「んぁ……う、ん、んん……」

 意地悪な言われかたをして、ゆあはピクリと反応した。下半身に力が入り、ハルトのモノを締め付ける。それでもハルトはお構いなしに、ゆあの腰を逃がさないように抱き寄せたまま、強めのピストンへと変化をつける。

「んっ! あぁっ!」

 わざとらしく動きに緩急をつけ、奥を突くときはグリグリと当てこするように時間をかける。そのたびにゆあの口元から衝動をそのまま声にしたような音が聞こえた。

「ひっ、いっ」
「……」
「あっ、んっ」
「……」
「……ひぅ、ぐぅ」
「……」
「あ、ひぃ……」
「……」
「はっ、あっ……んぅ、あぁぁ、ああっ――あぁぁぁぁ――――――」

 ギュッとハルトのほうへ身を寄せてその身体を縮こませると、ゆあは小刻みに身体を震わせた。ギュッギュッと膣がハルトのイチモツを締め上げている。それがしばらく続いたあと、今度は大きく体を揺らして、はぁはぁと荒い呼吸で自信を落ち着けようとしているように見えた。身体の力はあっという間に抜けて、ハルトにゆあの体重が預けられる。ゆあはまた絶頂を迎え、前回よりも深くて長い快楽に包まれながら、その余韻に浸っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……あぁ……はぁ……」
「……はぁ……。ゆあ? 大丈夫?」

 ゆあは気が付いていなかったが、同時にハルトも絶頂を迎えていた。ゆあとハルトが繋がっている隙間から、精液と愛液の混じったものが少しずつ漏れ出している。ハルトのお願いの通り、ゴムはしていなかった。

「だ、大丈夫……」
「っと。このまま抜くと大変かもしれないね。向きを変えようか」

 ハルトはゆあの身体を支えながら、座位の形へとなるまで自分の身体を起こすと、そのままゆっくりとまた、ゆあの身体に気を遣いながら今度は正常位の位置へと動かしていった。

「……抜くよ?」
「あ……う、うん」

 ゆあの返事を待って、ハルトはゆあのナカからイチモツを引き抜いた。

「うぅ……」

 精液に濡れた秘部が空気にさらされる。今まで感じていた温かさから一転し、そのほんの少しの冷たさがゆあをまどろみから連れ戻す。

「……あっ……?」
「どうしたの?」
「あ、あぁ……で、出ちゃう……ナカから、出ちゃう……」

 不安そうに放たれたその言葉のあとに、ゆあの秘部の入口から、とろりと精液と愛液の混じった白濁した液体が零れ落ちた。身体を少し動かそうとした拍子に、ストッパーもなにもない場所から溢れ出たのだ。

「ご、ごめんなさい……シーツ、汚しちゃった……」
「これくらい構わない。ランドリー機能は24時間使えるし、キーパーを呼んで換えてもらっても良い。どのみちバスタオルの交換と、コーヒーの追加をお願いしようと思っていたところだ」
「それなら良かった……のかな?」
「あぁ。なにも気にしなくて良い。……まぁ、それにそもそも私が出したものだから……」
「あ、そっか……ふふっ。あははっ」
「どうしたんだ? 急に笑い出して」
「ハルトさんがそんな風に言うの、全然想像できなかったから、つい。……ふふふっ」
「そんなに面白いか? とりあえず、綺麗にしよう」

 ハルトはゆあのナカに出したものを綺麗に拭きとり、シーツもはがす。そして水につけてキーパーを呼び、新しい者へと交換してもらうことにした。

「水に濡らしたの?」
「あのまま出されても、洗濯する側が可哀想だろう? 洗うのは機械だったそしても、そこまで運ぶのは人間だ。可能な限りは流しておかないと」
「確かに……」

 ハルトとゆあはソファに並んで座り、ゆったりとそのあとの時間を楽しむと、新しいシーツに包まれてよく朝を迎えた。
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