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Chapter 3.ペット以上になりたい俺は、異世界暮らしに本気出す
3-18 ケモ耳のちびっ子たち 2
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微妙な空気を不思議に思っていると、子供の一人が話し始めた。何だかぎこちない口調で。
「そういえば、ねぇ、みんな知ってる? 虹キラキラお願い花が、お城の周辺で~、咲いてるのを見たって、話」
は? 虹キラキラ……何?
「え、50年に一度しか咲かないっていう、幻のお願い花が?!」
え、なにそれ。
「どこで、どこで、どこで?!」
「お城の北の外壁らへんで見つけたって言うひとがいて、お願い事が叶ったんだって」
子供たちが口々にそう言うのを聞いて、リンディルが意を決したように言った。すごい勢いで。
「ね、ユート、これからみんなで一緒に探しに行ってみない? お願い花を見つけて、その場でお願い事をするとね、必ず願い事が叶うって言われてるんだよ。僕ね、叔父様の期待にこたえたい。王牙一族のせきむを果たせるように、げんしへんげとじゅばくほうこうをできるようになりたい。だから、僕にくじけない心をくださいってお願いするんだ。ユートも、お願い事あるよね? 何だか毎日、辛そうだもん。あんなにお勉強したら、病気になっちゃうよ。あのね、先生が言ってた。いっしょうけんめい努力してもできないことがあったらね、誰かに力を借してって、お願いしたらいいって。だからユート、僕と一緒に、お花にお願いしてみよ」
ああ……リンディル。なんて優しい子だ。君の優しい気持ちが心にしみる。ありがとうな、俺を心配してくれて。
でもなぁ……そのお願い花って、何なの?
なんか……みんな、共謀者みたいな雰囲気漂ってるけど、気のせい?
あ、メモ用紙も筆記具も部屋に置いてきたわ。これじゃ、何も訊けない。
ん? え? ちょっと、そこの犬っぽい可愛い君、なんで上着脱いで俺にかぶせてんの? お、可愛いな、この服。フードに犬耳の形のふくらみが付いてる。耳の防寒ができるのか?
俺がなるほど、などと感心していると、その子は何かをポケットから取り出しながら言った。
「僕の鼻カバーも貸してあげる。どう? ほら、これでユートは犬人種みたいに見えるよ。僕たちっぽくなったよ!」
「わあ、ほんとだ、ユート、犬耳フードかぶって鼻カバー付けたら、ペリリみたいになったよ! よし、じゃあ、みんな、行こうか! ちょっと城壁の外側をぐるっと見てくるだけだから! 正面じゃなくて、そこの北門から出よう! 無事にお願い花が見つかりますように!」
いや、ちょ、何?! 城壁の外って、簡単に出てもいいものなの?! ねえちょっと! 君たち、やけに連携プレーが秀逸だな? あれ、シフォンちゃんはどこだ? ちょ……リンディル、小さいのに力が強いな? あ、あ、ほら、門番に止められるぞ?
「リンディル様、どちらへ?」
「すぐそこまで。お友達を見送ってくるの。シフォンも後から来るよ」
「そうですか。お気をつけて」
え、ちょ、それだけ?! 門番、アバウト過ぎないか?! いいのか?! 大事な後継ぎのリンディル様が、護衛も無しにお外に行っちゃうんだよ?! 止めるべきでないの?!
「そういえば、ねぇ、みんな知ってる? 虹キラキラお願い花が、お城の周辺で~、咲いてるのを見たって、話」
は? 虹キラキラ……何?
「え、50年に一度しか咲かないっていう、幻のお願い花が?!」
え、なにそれ。
「どこで、どこで、どこで?!」
「お城の北の外壁らへんで見つけたって言うひとがいて、お願い事が叶ったんだって」
子供たちが口々にそう言うのを聞いて、リンディルが意を決したように言った。すごい勢いで。
「ね、ユート、これからみんなで一緒に探しに行ってみない? お願い花を見つけて、その場でお願い事をするとね、必ず願い事が叶うって言われてるんだよ。僕ね、叔父様の期待にこたえたい。王牙一族のせきむを果たせるように、げんしへんげとじゅばくほうこうをできるようになりたい。だから、僕にくじけない心をくださいってお願いするんだ。ユートも、お願い事あるよね? 何だか毎日、辛そうだもん。あんなにお勉強したら、病気になっちゃうよ。あのね、先生が言ってた。いっしょうけんめい努力してもできないことがあったらね、誰かに力を借してって、お願いしたらいいって。だからユート、僕と一緒に、お花にお願いしてみよ」
ああ……リンディル。なんて優しい子だ。君の優しい気持ちが心にしみる。ありがとうな、俺を心配してくれて。
でもなぁ……そのお願い花って、何なの?
なんか……みんな、共謀者みたいな雰囲気漂ってるけど、気のせい?
あ、メモ用紙も筆記具も部屋に置いてきたわ。これじゃ、何も訊けない。
ん? え? ちょっと、そこの犬っぽい可愛い君、なんで上着脱いで俺にかぶせてんの? お、可愛いな、この服。フードに犬耳の形のふくらみが付いてる。耳の防寒ができるのか?
俺がなるほど、などと感心していると、その子は何かをポケットから取り出しながら言った。
「僕の鼻カバーも貸してあげる。どう? ほら、これでユートは犬人種みたいに見えるよ。僕たちっぽくなったよ!」
「わあ、ほんとだ、ユート、犬耳フードかぶって鼻カバー付けたら、ペリリみたいになったよ! よし、じゃあ、みんな、行こうか! ちょっと城壁の外側をぐるっと見てくるだけだから! 正面じゃなくて、そこの北門から出よう! 無事にお願い花が見つかりますように!」
いや、ちょ、何?! 城壁の外って、簡単に出てもいいものなの?! ねえちょっと! 君たち、やけに連携プレーが秀逸だな? あれ、シフォンちゃんはどこだ? ちょ……リンディル、小さいのに力が強いな? あ、あ、ほら、門番に止められるぞ?
「リンディル様、どちらへ?」
「すぐそこまで。お友達を見送ってくるの。シフォンも後から来るよ」
「そうですか。お気をつけて」
え、ちょ、それだけ?! 門番、アバウト過ぎないか?! いいのか?! 大事な後継ぎのリンディル様が、護衛も無しにお外に行っちゃうんだよ?! 止めるべきでないの?!
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