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Chapter 3.ペット以上になりたい俺は、異世界暮らしに本気出す
3-16 狼人種の性愛活動についての衝撃事実
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ヴァルと、両想い。
それをほぼ決定事項として認識した俺は、ホッとした。
や~、それにしても、恥ずかしい。
俺がもじもじしていると、ミナが話を続けた。
「それでね、とりあえずわたくし、ユート本人に会ってからヴァルの頼みを承諾するか決めようと思いましたの。 ねえユート、あなたはどうしたい? ここにいたら、そのうちヴァルは手を出してくるかもしれないわ。それでも、ここにいたい? ヴァルと引き離されたら、ひどく辛い?」
あ……。
……このひと、外面だけじゃなくて、内面も、すごく美しい人なんだな。
俺のことを心配して、わざわざ会いに来てくれたのか。
俺は彼女の目を見て、真剣な表情で頷いた。
そして、紙にヴァルの名前を書いて、ようやく書けるようになった『ククルフ トゥル ククトゥールル』という文字を添える。それから別の紙に、ありがとう、と書き込んでミナに渡した。
ミナはそれを見ると優しく微笑んで、言った。
「フフ……いいのよ。あの朴念仁が、遂に幸せを手に入れるのだと思うと、わたくしも嬉しいわ。ねえユート、念のため、もう一度訊くわね。あなたはヴァルを愛しているのね? 交尾してもいいと思うほどに」
俺は再び、しっかり頷いた。すると彼女はシフォンちゃんと目を見交わして嬉しそうに笑った。
「いいわ、じゃあ、わたくしがあなたを預かる話は無し、よ。ヴァルには、引き離せば病気になると脅かして、どこにもやらずに手元で可愛がるように言っておきましょう。ああ、もちろん、愛の告白については、わたくしからは黙っておいてあげてよ。自分から、ヴァルに告げなきゃ、意味が無いものね? うふふ、頑張って」
ありがとう、ミナ様。あなたは本物の淑女、ってやつだね。交尾うんぬん発言はおいといて。
ふと見ると、ポンがクッキーに飽きたらしく、そこらに散らばってる俺の練習用の紙を両手で持って、ビリビリッと引き裂いてる。楽しそうだ。
「まあポン、お兄ちゃんの大切な紙を、いたずらしちゃだめ!」
俺は「いいんだよ」とミナに手ぶりで示すと、紙を細かく破り、紙吹雪を作ってポンに浴びせた。ポンは大喜びで声を出して笑い、俺たちはひとしきり、紙吹雪に興じた。
「良かったなぁ、おまえ、いいひとに引き取ってもらって」
俺はポンに向かってそう言いながら、それは俺も同じだな、と思う。ヴァルに出会えた自分も、ポン同様にすごくラッキーだ。
「そうそう、ユート」
ん……? 何かな、ミナ様?
「狼人種の性愛活動は、とても激しいの。愛が深ければ深いほど濃密になるから、しっかり体力をつけておいた方がよくてよ」
え……。
「それは私も気になってたんですよ。ユート様ったら、お勉強ばっかりして体を鍛えることはなさらないから。頭脳派でもまあいいかと思ってたんですが、旦那様の夜のお相手が必須なら、さっそく体力向上のカリキュラムを取り入れないと! 今日からでも始めますか、ユート様」
ちょ……待って。そこまで?
「シフォンちゃんの特訓を受けられるなんて、羨ましいわぁ。しっかり鍛えてもらうと良くってよ、ユート。脅かすわけじゃないけど、ヴァルは一度入れたら一時間は抜かないだろうし、一晩中でも交尾を続けるでしょう。まあ、ヴァルはとてもあなたを大切にしているから、適度にセーブするでしょうし、そこまで激しくなることはないと思うけど」
え……。一度入れたら一時間は抜かないって……ど……どういう……こと……。
「旦那様の体力は底なしですからねぇ……。今までストイックだった分、反動で精力も底なしになるかも。事前に一晩二回まで、って決めておいたらどうですか、ユート様。そうだ、回数券、作ります? ベッドではユート様が常に主導権をとれるよう、旦那様の首根っこを掴んでおいたほうがいいですよ! 上限を設定して、回数券作って、『これ今週分だから大事に使って』って、旦那様に渡しておくんです」
いや……え……回数券って……バスか何かなの、あいつ……。
やってる最中に押せるように、「次、降ります」って降車ボタンも作っといた方がいい?
え……マジ……?
それをほぼ決定事項として認識した俺は、ホッとした。
や~、それにしても、恥ずかしい。
俺がもじもじしていると、ミナが話を続けた。
「それでね、とりあえずわたくし、ユート本人に会ってからヴァルの頼みを承諾するか決めようと思いましたの。 ねえユート、あなたはどうしたい? ここにいたら、そのうちヴァルは手を出してくるかもしれないわ。それでも、ここにいたい? ヴァルと引き離されたら、ひどく辛い?」
あ……。
……このひと、外面だけじゃなくて、内面も、すごく美しい人なんだな。
俺のことを心配して、わざわざ会いに来てくれたのか。
俺は彼女の目を見て、真剣な表情で頷いた。
そして、紙にヴァルの名前を書いて、ようやく書けるようになった『ククルフ トゥル ククトゥールル』という文字を添える。それから別の紙に、ありがとう、と書き込んでミナに渡した。
ミナはそれを見ると優しく微笑んで、言った。
「フフ……いいのよ。あの朴念仁が、遂に幸せを手に入れるのだと思うと、わたくしも嬉しいわ。ねえユート、念のため、もう一度訊くわね。あなたはヴァルを愛しているのね? 交尾してもいいと思うほどに」
俺は再び、しっかり頷いた。すると彼女はシフォンちゃんと目を見交わして嬉しそうに笑った。
「いいわ、じゃあ、わたくしがあなたを預かる話は無し、よ。ヴァルには、引き離せば病気になると脅かして、どこにもやらずに手元で可愛がるように言っておきましょう。ああ、もちろん、愛の告白については、わたくしからは黙っておいてあげてよ。自分から、ヴァルに告げなきゃ、意味が無いものね? うふふ、頑張って」
ありがとう、ミナ様。あなたは本物の淑女、ってやつだね。交尾うんぬん発言はおいといて。
ふと見ると、ポンがクッキーに飽きたらしく、そこらに散らばってる俺の練習用の紙を両手で持って、ビリビリッと引き裂いてる。楽しそうだ。
「まあポン、お兄ちゃんの大切な紙を、いたずらしちゃだめ!」
俺は「いいんだよ」とミナに手ぶりで示すと、紙を細かく破り、紙吹雪を作ってポンに浴びせた。ポンは大喜びで声を出して笑い、俺たちはひとしきり、紙吹雪に興じた。
「良かったなぁ、おまえ、いいひとに引き取ってもらって」
俺はポンに向かってそう言いながら、それは俺も同じだな、と思う。ヴァルに出会えた自分も、ポン同様にすごくラッキーだ。
「そうそう、ユート」
ん……? 何かな、ミナ様?
「狼人種の性愛活動は、とても激しいの。愛が深ければ深いほど濃密になるから、しっかり体力をつけておいた方がよくてよ」
え……。
「それは私も気になってたんですよ。ユート様ったら、お勉強ばっかりして体を鍛えることはなさらないから。頭脳派でもまあいいかと思ってたんですが、旦那様の夜のお相手が必須なら、さっそく体力向上のカリキュラムを取り入れないと! 今日からでも始めますか、ユート様」
ちょ……待って。そこまで?
「シフォンちゃんの特訓を受けられるなんて、羨ましいわぁ。しっかり鍛えてもらうと良くってよ、ユート。脅かすわけじゃないけど、ヴァルは一度入れたら一時間は抜かないだろうし、一晩中でも交尾を続けるでしょう。まあ、ヴァルはとてもあなたを大切にしているから、適度にセーブするでしょうし、そこまで激しくなることはないと思うけど」
え……。一度入れたら一時間は抜かないって……ど……どういう……こと……。
「旦那様の体力は底なしですからねぇ……。今までストイックだった分、反動で精力も底なしになるかも。事前に一晩二回まで、って決めておいたらどうですか、ユート様。そうだ、回数券、作ります? ベッドではユート様が常に主導権をとれるよう、旦那様の首根っこを掴んでおいたほうがいいですよ! 上限を設定して、回数券作って、『これ今週分だから大事に使って』って、旦那様に渡しておくんです」
いや……え……回数券って……バスか何かなの、あいつ……。
やってる最中に押せるように、「次、降ります」って降車ボタンも作っといた方がいい?
え……マジ……?
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