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Chapter 2.優雅なペット生活が始まるのかと思いきや、一波乱
2-03 いきなり同伴入浴
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俺が広大な風呂の隅っこから動かないのを見て、ヴァルはあからさまにがっかりした様子で溜息をつくと、ブラシを背中に回し、自分でゴシゴシ洗い始めた。しかしブラシに自分の毛が絡みつくのか、時折引っ掛かって、スムーズに洗えないようだ。泡だらけの手が滑って、ブラシがどっかに飛んでいったり、背中の毛に引っ掛かってぶら下がったりしている。持ち手の長いタイプのそのブラシは全長40㎝ぐらいありそうだが、ヴァルがでかすぎるせいで、小さく見えた。そのブラシがヴァルの背中から生えたようにぶらーんと垂れさがる様は、なかなかに笑える。
「ぷぷっ……」
可愛い……かも。
実家の犬を思い出す。
そうそう、シャンプー中に泡だらけな状態でブルブルされると、俺も泡まみれになって大変なことになるんだよなぁ……。泡泡なだけに、アワワワワと慌てふためく。
「ぶふっ……!」
一人でウケていると、じーっとヴァルがこちらを見つめている視線に気付く。俺はそっぽを向くと、無関心を装った。
やがて彼は体を洗い終えると、ゆっくりと、浴槽内に体を沈めた。そしてじりじりと、俺の方に近づいてくる。
「おい、来るな。それ以上来たら、金切り声を上げてやる。いいのか、金切り声だぞ、きゃああああああとか、きぃいいいいいいとか、ぐぎゃあああああああとか言ってやるぞ、思いっきり反響するぞ、シフォンちゃんが多分、びっくりして駆けつけて来るぞ、いいのか、いいのか?! ……待て、俺が良くないわ!! まっぱで恥ずかしいだろ!!」
一人コント状態の俺は、ぐるるるる、と犬の威嚇音を真似ながらいつでも逃げられる姿勢で腰を浮かせた。手近な場所に何か投げられるものはないのかと探したが、何もない。くそっ! この浴室、綺麗に片付き過ぎだぞ、さすがシフォンちゃんだ!
そうやって俺が一人で焦っていると、ヴァルは明らかにしゅん、となった様子で動きを止めた。
「わかった、わかったから、そんなに警戒しないでくれ。これ以上、近づかないから。俺はここでおとなしく湯に浸かってる。な? それなら、いいだろう?」
それならいい。よーしよし、いい子だ、グッボーイ。
俺はひとまず彼を信用することにして、腰を落とした。
はあ~、こんなプールみたいな浴槽、初めて。大浴場独り占め、ってやつ? あ、違った、もう一人でっかい狼犬人間がいたわ。なんかしゅんとなって気配が薄くなっちゃったので秒で忘れてたわ。
あいつ思った以上に、無害……な奴なのかも。
だんだん、俺はリラックスしてきた。風呂、サイコー!
「湯に浸かるのが、好き……なんだな? ユート?」
彼の艶のある低音ボイスが、ぼそっと呟き出される。
俺はとりあえず、頷いた。
反応が返ってきたのが嬉しかったのか、ヴァルは続けて俺に質問した。
「ニンゲンは、濡れるのが苦痛ではないのだな?」
「いやいや、雨とかで濡れるのは勘弁。風呂は別」
「俺はこの通りの体毛だからな……濡れると乾かすのが大変でな……」
「ああ、確かに。うちの犬も乾かすの大変だった。特に冬場は地獄。ドライヤー持ってる手がビリビリしてくる」
「だが、おまえが風呂が好きだというなら、毎晩でも付き合うぞ。うむ、こうして同じ浴槽に浸かって話をするのも悪くない。これからは毎晩、共に入ろう」
「いやいやいや、一人で入れ。俺も一人で入るから」
「そうかそうか、なら毎晩一緒に湯に浸かろうな」
意思疎通、無理。
完全一方通行。
疲れてきた。
もう風呂から出たい。
しかし湯から上がるには、ヴァルの前を素っ裸で通らなきゃいけない。すごく嫌だ。
どうしようかと迷っていると、シフォンちゃんが浴室の扉の外から呼びかけてくれた。
「お二人とも、そろそろお風呂から出てきませんか? のぼせちゃいますよ。旦那様、先に出て、体を乾かしましょう。さあ、寝室に移動してください。ユート様、こちらにタオルと着替えを置いておきます。呼んでくださればお着替えお手伝いしますので、お気軽にお申し付けくださいね」
ナイスタイミング、シフォンちゃん!
ヴァルはチラチラと俺の方を見つめて迷っていたが、シフォンちゃんが外から「旦那様、お早く! 既に私、時間外労働です!」と呼ばわると、ザバアーッと音を立てて湯から上がった。鶴の一声ならぬ、猫の一声。ヴァルは濡れそぼった重そうな体から湯を滴り落としながら、浴室から出て行った。
俺はホッとしながら、自分も湯から出た。シフォンちゃんの用意してくれたパジャマと思われる服は、フリルが付いているものの、構造自体はシンプルなシャツとズボンで、難なく着ることができた。風呂に入る前に着ていた服もそうだが、とても軽く柔らかい布地で、肌触りが良い。きっと上等な服なんだろうな……と思う。
浴室前の小部屋から出て寝室に入ると、ヴァルがズボンだけを身にまとった状態で、シフォンちゃんに上半身を乾かしてもらっていた。彼女が手に持っているあの道具、何だろう? 穴の開いた扇の様な、面白い形の道具だ。その道具のおかげだろう、既にヴァルの上半身の毛は、ほぼ渇いているみたいだ。
ヴァルの長い頭髪は、艶やかな青灰色に銀色のメッシュが入ったツートーン。何だかすごくオシャレな雰囲気だ。その頭からは、髪と同色の、大きな三角形の耳が生えている。そして首の後ろから背中の半ば、肩と上腕、胸元までを覆う体毛は、頭髪よりやや茶色気味で、やはり銀色のメッシュが入っている。髪も体毛も、ゆるいウエーブがかかり、柔らかそうにふさふさと揺れていた。
「あ……何、その、モッフモフな雰囲気……」
ちょっと触りたい。そう思ったが、もちろん実行には移さなかった。
そうこうしている間に、シフォンちゃんが今度は、俺の頭髪を乾かし始める。
「ユート様、ちょっとじっとしていてくださいね~、すぐ終わります。大丈夫、痛くも痒くもないですよ~」
空気がサワッと動く気配がして、シフォンちゃんの言う通り、俺の髪はすぐに乾いた。ヴァルと違って短いし、モフモフしてないので一瞬だった。俺は興味津々に、シフォンちゃんが持っている道具を覗き込んでいたが、彼女はササッとそれを片付けると、言った。
「では、私はこれで下がらせていただきますね。ユート様、おやすみなさい。また明日!」
「え、ちょちょちょ、ちょっと待って、こいつと二人っきり? 待ってぇ……」
俺の不安な声をキャッチした彼女は、にっこり笑って言った。
「大丈夫、旦那様は紳士ですから! そうでしょ、旦那様? ユート様が嫌がることなんて、絶対絶対、なさらないですよね?」
「うむ、もちろんだ。シフォン、おまえのおかげでとても助かった。明日も、よろしく頼む」
ヴァルがそう言うと、シフォンちゃんはお辞儀をして部屋を出て行った。
ええええ……。ど、どうしよう。
変態かもしれない王牙卿と、二人っきり。
「ぷぷっ……」
可愛い……かも。
実家の犬を思い出す。
そうそう、シャンプー中に泡だらけな状態でブルブルされると、俺も泡まみれになって大変なことになるんだよなぁ……。泡泡なだけに、アワワワワと慌てふためく。
「ぶふっ……!」
一人でウケていると、じーっとヴァルがこちらを見つめている視線に気付く。俺はそっぽを向くと、無関心を装った。
やがて彼は体を洗い終えると、ゆっくりと、浴槽内に体を沈めた。そしてじりじりと、俺の方に近づいてくる。
「おい、来るな。それ以上来たら、金切り声を上げてやる。いいのか、金切り声だぞ、きゃああああああとか、きぃいいいいいいとか、ぐぎゃあああああああとか言ってやるぞ、思いっきり反響するぞ、シフォンちゃんが多分、びっくりして駆けつけて来るぞ、いいのか、いいのか?! ……待て、俺が良くないわ!! まっぱで恥ずかしいだろ!!」
一人コント状態の俺は、ぐるるるる、と犬の威嚇音を真似ながらいつでも逃げられる姿勢で腰を浮かせた。手近な場所に何か投げられるものはないのかと探したが、何もない。くそっ! この浴室、綺麗に片付き過ぎだぞ、さすがシフォンちゃんだ!
そうやって俺が一人で焦っていると、ヴァルは明らかにしゅん、となった様子で動きを止めた。
「わかった、わかったから、そんなに警戒しないでくれ。これ以上、近づかないから。俺はここでおとなしく湯に浸かってる。な? それなら、いいだろう?」
それならいい。よーしよし、いい子だ、グッボーイ。
俺はひとまず彼を信用することにして、腰を落とした。
はあ~、こんなプールみたいな浴槽、初めて。大浴場独り占め、ってやつ? あ、違った、もう一人でっかい狼犬人間がいたわ。なんかしゅんとなって気配が薄くなっちゃったので秒で忘れてたわ。
あいつ思った以上に、無害……な奴なのかも。
だんだん、俺はリラックスしてきた。風呂、サイコー!
「湯に浸かるのが、好き……なんだな? ユート?」
彼の艶のある低音ボイスが、ぼそっと呟き出される。
俺はとりあえず、頷いた。
反応が返ってきたのが嬉しかったのか、ヴァルは続けて俺に質問した。
「ニンゲンは、濡れるのが苦痛ではないのだな?」
「いやいや、雨とかで濡れるのは勘弁。風呂は別」
「俺はこの通りの体毛だからな……濡れると乾かすのが大変でな……」
「ああ、確かに。うちの犬も乾かすの大変だった。特に冬場は地獄。ドライヤー持ってる手がビリビリしてくる」
「だが、おまえが風呂が好きだというなら、毎晩でも付き合うぞ。うむ、こうして同じ浴槽に浸かって話をするのも悪くない。これからは毎晩、共に入ろう」
「いやいやいや、一人で入れ。俺も一人で入るから」
「そうかそうか、なら毎晩一緒に湯に浸かろうな」
意思疎通、無理。
完全一方通行。
疲れてきた。
もう風呂から出たい。
しかし湯から上がるには、ヴァルの前を素っ裸で通らなきゃいけない。すごく嫌だ。
どうしようかと迷っていると、シフォンちゃんが浴室の扉の外から呼びかけてくれた。
「お二人とも、そろそろお風呂から出てきませんか? のぼせちゃいますよ。旦那様、先に出て、体を乾かしましょう。さあ、寝室に移動してください。ユート様、こちらにタオルと着替えを置いておきます。呼んでくださればお着替えお手伝いしますので、お気軽にお申し付けくださいね」
ナイスタイミング、シフォンちゃん!
ヴァルはチラチラと俺の方を見つめて迷っていたが、シフォンちゃんが外から「旦那様、お早く! 既に私、時間外労働です!」と呼ばわると、ザバアーッと音を立てて湯から上がった。鶴の一声ならぬ、猫の一声。ヴァルは濡れそぼった重そうな体から湯を滴り落としながら、浴室から出て行った。
俺はホッとしながら、自分も湯から出た。シフォンちゃんの用意してくれたパジャマと思われる服は、フリルが付いているものの、構造自体はシンプルなシャツとズボンで、難なく着ることができた。風呂に入る前に着ていた服もそうだが、とても軽く柔らかい布地で、肌触りが良い。きっと上等な服なんだろうな……と思う。
浴室前の小部屋から出て寝室に入ると、ヴァルがズボンだけを身にまとった状態で、シフォンちゃんに上半身を乾かしてもらっていた。彼女が手に持っているあの道具、何だろう? 穴の開いた扇の様な、面白い形の道具だ。その道具のおかげだろう、既にヴァルの上半身の毛は、ほぼ渇いているみたいだ。
ヴァルの長い頭髪は、艶やかな青灰色に銀色のメッシュが入ったツートーン。何だかすごくオシャレな雰囲気だ。その頭からは、髪と同色の、大きな三角形の耳が生えている。そして首の後ろから背中の半ば、肩と上腕、胸元までを覆う体毛は、頭髪よりやや茶色気味で、やはり銀色のメッシュが入っている。髪も体毛も、ゆるいウエーブがかかり、柔らかそうにふさふさと揺れていた。
「あ……何、その、モッフモフな雰囲気……」
ちょっと触りたい。そう思ったが、もちろん実行には移さなかった。
そうこうしている間に、シフォンちゃんが今度は、俺の頭髪を乾かし始める。
「ユート様、ちょっとじっとしていてくださいね~、すぐ終わります。大丈夫、痛くも痒くもないですよ~」
空気がサワッと動く気配がして、シフォンちゃんの言う通り、俺の髪はすぐに乾いた。ヴァルと違って短いし、モフモフしてないので一瞬だった。俺は興味津々に、シフォンちゃんが持っている道具を覗き込んでいたが、彼女はササッとそれを片付けると、言った。
「では、私はこれで下がらせていただきますね。ユート様、おやすみなさい。また明日!」
「え、ちょちょちょ、ちょっと待って、こいつと二人っきり? 待ってぇ……」
俺の不安な声をキャッチした彼女は、にっこり笑って言った。
「大丈夫、旦那様は紳士ですから! そうでしょ、旦那様? ユート様が嫌がることなんて、絶対絶対、なさらないですよね?」
「うむ、もちろんだ。シフォン、おまえのおかげでとても助かった。明日も、よろしく頼む」
ヴァルがそう言うと、シフォンちゃんはお辞儀をして部屋を出て行った。
ええええ……。ど、どうしよう。
変態かもしれない王牙卿と、二人っきり。
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