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障害編
98話【off duty】大橋 潤也:「将来どうすんだよ?」(新條編)
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「いやあマジで俺、おまえの友達でよかったわぁ」
また勝手に俺の部屋に押しかけてきて、缶ビールを煽りながら、ご機嫌に大橋が語る。
「あんな美人でパーフェクトボディの熟女とさ、3Pできる日が来るなんてさ、誰が予想できるよ!? 熟女で女医! ああマジサイコーじゃん。俺の分際でさあ、楓さんだけでももったいないくらいなのに、まさかの! あんなエロい女医と! 夢の3P! ああ、もう1回やりてぇなあ」
「おまえ、楓さんに聞かれたら殺されるぞ」
「いやでも、あれだって楓さんの許可のもとだから! そうだったよね、西園寺先生だって楓さんに許可とってたもんね?」
「そういう問題かよ。ていうかおまえ、俺のこと浮気者とかいって殴りに来たくせに」
「ははっ、あれはまた違うだろ」
なんだよそれ。軽く流しやがって。
「なあ、おまえだって我慢できなくて藍原先生としてたじゃん? ねえ、西園寺先生、また誘ってくれないかなあ?」
「……万が一誘われても、やめといたほうがいいと思うぞ」
「え、なんでー」
「おまえ、知らないんだな。おまえらがヤリまくって力尽きて爆睡してる間、何があったと思う? 西園寺先生、完全に戸叶先生にロックオンしててさ、明け方まで寝かさずに攻め続けて、もう戸叶先生、最後はすすり泣きになって、そのうち泣きもしなくなって、まじヤバかったよ。あの人に狙われたら、おまえたぶん、チンコが一生使い物にならなくなるぞ」
「……マジか」
「マジで」
これは、大げさな話なんかじゃなくて。俺はあの日、西園寺先生の本気を、初めて見た。俺と藍原先生が結ばれたあの日ですら、異常だと思ってたけど、本性はあんなもんじゃなかった。……西園寺先生は、敵に回したら、マジで怖い。俺はそれを思い知ったんだ……。
「それよりおまえ、楓さん、大丈夫なの? 付き合いたいとかいってるくせに、楓さんの目の前で別の人と、ふたりも、さ」
大橋は相変わらずあっけらかんとした様子でつまみを頬張ってる。
「えー、あれはたぶん、平気だろー。戸叶先生は楓さんの指示だったしぃ、まあ俺としちゃあラッキーだったけど。戸叶先生、胸はちいせぇけど、アソコの締まりは抜群だったぜ。さすがヤリマンだな。あ、そっか、おまえもヤッたから知ってるか。な、戸叶先生、どうだった?」
「……ふざけんなよ、思い出したくもない」
「まあでもやっぱり、楓さんが一番だな~。体もだけどさ、喘ぎ方も可愛いし、性格も可愛いし」
「あんなにボコられてても、性格可愛いって思えるのか」
「馬鹿だなおまえ、それがいいんじゃん? あんな凶暴な女の子がさ、セックスになると途端に可愛く甘えてくるんだぜ。もうたまらねえ!」
大橋……Mなのか、なんなのか。
「でも楓さんの周りだって、おまえより全然カッコいい医者ばかりだぞ。おまえなんて絶対彼氏になれないよ、それどころかセフレの座だって危ういんじゃね?」
「うるせーよ、ヒモ確定のおまえにいわれたくないね」
「ヒモになんてなんねーっていってんだろ。おまえこそ、将来どうすんだよ? 理学部数学科なんて、大した仕事に就けないぜ」
「俺はもう決まってる。どっかの高校の数学教師」
「え、何それ。おまえ、教師ってガラじゃねえし」
「いいんだよ、だってさ、高校の数学教師になれば、毎日JKに会い放題だろ? 最高じゃん」
「……楓さんにチクってやろうか」
「うひゃー、やめて! おまえこそ、どうすんのよ。俺以上に格差カップルだぜ?」
そこを突かれると痛い。たかが二流大学の理学部数学科を卒業する俺が、内科医の藍原先生と釣り合うには、どうすりゃいいんだ? 別に、将来やりたいことがあるわけでもないし。でも、藍原先生は今30歳。俺は21歳……。このまま行ったら、先生は俺なんか待ちきれずに、もっと稼げるいい男のほうに行ってしまうかもしれない。大橋みたいに、学校の教師になるか……? でも、なんか違う気がする。俺はもっと、藍原先生みたいに、熱意と信念を持って、「好きでやってます」って胸を張れるような仕事に就きたい。……まあ、やりたいことすら見つかってない俺がいっても、鼻で笑われるだろうけど……。
でも、そうなんだ。俺はとにかく、藍原先生と、釣り合いたいんだ。凛太郎くんとか、岡林先生とか元カレの医者とか、ああいう人たちを見るたびに自分の劣等感が刺激されて、居心地悪くなるのはイヤだ。大学生活もあと1年ちょっと。それまでに何とか、藍原先生と肩を並べられるような、そういう将来の夢を、見つけなきゃ……。
また勝手に俺の部屋に押しかけてきて、缶ビールを煽りながら、ご機嫌に大橋が語る。
「あんな美人でパーフェクトボディの熟女とさ、3Pできる日が来るなんてさ、誰が予想できるよ!? 熟女で女医! ああマジサイコーじゃん。俺の分際でさあ、楓さんだけでももったいないくらいなのに、まさかの! あんなエロい女医と! 夢の3P! ああ、もう1回やりてぇなあ」
「おまえ、楓さんに聞かれたら殺されるぞ」
「いやでも、あれだって楓さんの許可のもとだから! そうだったよね、西園寺先生だって楓さんに許可とってたもんね?」
「そういう問題かよ。ていうかおまえ、俺のこと浮気者とかいって殴りに来たくせに」
「ははっ、あれはまた違うだろ」
なんだよそれ。軽く流しやがって。
「なあ、おまえだって我慢できなくて藍原先生としてたじゃん? ねえ、西園寺先生、また誘ってくれないかなあ?」
「……万が一誘われても、やめといたほうがいいと思うぞ」
「え、なんでー」
「おまえ、知らないんだな。おまえらがヤリまくって力尽きて爆睡してる間、何があったと思う? 西園寺先生、完全に戸叶先生にロックオンしててさ、明け方まで寝かさずに攻め続けて、もう戸叶先生、最後はすすり泣きになって、そのうち泣きもしなくなって、まじヤバかったよ。あの人に狙われたら、おまえたぶん、チンコが一生使い物にならなくなるぞ」
「……マジか」
「マジで」
これは、大げさな話なんかじゃなくて。俺はあの日、西園寺先生の本気を、初めて見た。俺と藍原先生が結ばれたあの日ですら、異常だと思ってたけど、本性はあんなもんじゃなかった。……西園寺先生は、敵に回したら、マジで怖い。俺はそれを思い知ったんだ……。
「それよりおまえ、楓さん、大丈夫なの? 付き合いたいとかいってるくせに、楓さんの目の前で別の人と、ふたりも、さ」
大橋は相変わらずあっけらかんとした様子でつまみを頬張ってる。
「えー、あれはたぶん、平気だろー。戸叶先生は楓さんの指示だったしぃ、まあ俺としちゃあラッキーだったけど。戸叶先生、胸はちいせぇけど、アソコの締まりは抜群だったぜ。さすがヤリマンだな。あ、そっか、おまえもヤッたから知ってるか。な、戸叶先生、どうだった?」
「……ふざけんなよ、思い出したくもない」
「まあでもやっぱり、楓さんが一番だな~。体もだけどさ、喘ぎ方も可愛いし、性格も可愛いし」
「あんなにボコられてても、性格可愛いって思えるのか」
「馬鹿だなおまえ、それがいいんじゃん? あんな凶暴な女の子がさ、セックスになると途端に可愛く甘えてくるんだぜ。もうたまらねえ!」
大橋……Mなのか、なんなのか。
「でも楓さんの周りだって、おまえより全然カッコいい医者ばかりだぞ。おまえなんて絶対彼氏になれないよ、それどころかセフレの座だって危ういんじゃね?」
「うるせーよ、ヒモ確定のおまえにいわれたくないね」
「ヒモになんてなんねーっていってんだろ。おまえこそ、将来どうすんだよ? 理学部数学科なんて、大した仕事に就けないぜ」
「俺はもう決まってる。どっかの高校の数学教師」
「え、何それ。おまえ、教師ってガラじゃねえし」
「いいんだよ、だってさ、高校の数学教師になれば、毎日JKに会い放題だろ? 最高じゃん」
「……楓さんにチクってやろうか」
「うひゃー、やめて! おまえこそ、どうすんのよ。俺以上に格差カップルだぜ?」
そこを突かれると痛い。たかが二流大学の理学部数学科を卒業する俺が、内科医の藍原先生と釣り合うには、どうすりゃいいんだ? 別に、将来やりたいことがあるわけでもないし。でも、藍原先生は今30歳。俺は21歳……。このまま行ったら、先生は俺なんか待ちきれずに、もっと稼げるいい男のほうに行ってしまうかもしれない。大橋みたいに、学校の教師になるか……? でも、なんか違う気がする。俺はもっと、藍原先生みたいに、熱意と信念を持って、「好きでやってます」って胸を張れるような仕事に就きたい。……まあ、やりたいことすら見つかってない俺がいっても、鼻で笑われるだろうけど……。
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