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恋愛編
19話【off duty】新條 浩平:「デートしてください」(藍原編)
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ああ、まいったわ。まさか新條くんが、本当にあたしのことを好きだったなんて。あのときは、緊張性気胸から回復した直後だったし、直前までショックで意識朦朧としてたから、処置後のせん妄状態でおかしなことを口走ってるのかと思ってた。それとか、なんだっけ、吊り橋効果? 心不全でひどい頻脈だったから、そのドキドキを、恋愛のドキドキと勘違いしたとか。だってあたし、恋愛とかになるほど、新條くんと接してないし……。
接したといえば、朝たまたま一緒になって、電車に乗ったこと……。あのときは、体が密着しちゃって、あらぬ妄想に精を出して……そう、それでうっかり新條くんのアソコを擦っちゃって、新條くんを勃起させちゃったのよね……。あれは悪いことをしたわ。
あとは、あれ。楓ちゃんが酔っ払って、大橋くんと大変なことになっちゃった騒ぎ! あれはひどかったわ。あのふたりのせいで、新條くんはまたもや勃起を余儀なくされ、あたしは楓ちゃんのなけなしの貞操を守るために、胸を押しつけてまで新條くんの目を塞いであげたんだから! あげく、ふたりの卑猥な汁で新條くんのシーツを汚して、あたしなんて大橋くんのを、あわや素手でキャッチするところだったんだから! そう、あれだって新條くんには悪いことをしたけど、もとはといえば楓ちゃんと大橋くんのせいだし。そのせいでもうあたしもおかしくなっちゃって、楓ちゃんと新條くんと医局で3Pしちゃうなんて恐ろしい妄想を……ああ、違う、あれは妄想じゃなくて夢だった! 医局で3Pじゃなくて、医局でそんなやらしい夢を見ちゃって、それでアソコが濡れちゃったのを、岡林くんに気づかれて……そう、それからは散々だったわ!
どこをどうとっても、新條くんがあたしを好きになる要素なんてない。……あ、でもちょっと待って。仕事してるあたしを、好きになったのかな? 白衣マジックってやつ。……それも、ないか。新條くん、自分でいってたものね。1回目はフニャチンを触られて、2回目はお尻の穴に指を突っ込まれて、そんなんで好きになるわけない。……やっぱり、吊り橋効果なんだ。3回目に、あたしが新條くんの命の危機を救ってあげたから。それで、好きになっちゃったのね。だったら、1回デートして、思ってたのと違うって気づいたら、冷めてくれるかもしれない。
あたしは自分にそういい聞かせた。……本当は、デートなんてしたくない。別に、新條くんが嫌なわけじゃない。むしろ、どちらかというと好き。真面目だし、優しいし、可愛いし。ただ、デートをするわけには……。そんな長時間、ひとりの男の人とずっと一緒にいたら……絶対、妄想が炸裂する! 新條くんに、バレないわけがない! 今まで何とかがんばって、現実と妄想の区別をつけてきたけど、デートの途中で、うっかり混ざっちゃうかもしれない。それが新條くんにバレたら――考えただけで、恐ろしい。ただのお隣さんじゃなくて、あたしの仕事中の姿を知ってる患者さんなのよ。そんな人に、あたしが実は妄想変態女だなんて知れたら、もう引っ越して職場も変えなきゃいけなくなるかもしれない!
「ああ……今から、新條くんで妄想しない訓練、しとかなきゃ……」
すでに、気が重いわ。デートなんて、高1以来だもの。あの、トラウマの高1デート……。自分の体質に気づいて、それから男の人と付き合うとかデートするとかいうのをずっと避けてきた、あたしの過去。若かったあのときより、今のほうが、あたし、確実にエロくなってる。妄想だってパワーアップしてるし、29歳にして久しぶりのデート……もう、恐ろしすぎる。
でも。
自分からいい出したからには、やり切って見せるわ。がんばって、この危機を乗り切って見せる……!
接したといえば、朝たまたま一緒になって、電車に乗ったこと……。あのときは、体が密着しちゃって、あらぬ妄想に精を出して……そう、それでうっかり新條くんのアソコを擦っちゃって、新條くんを勃起させちゃったのよね……。あれは悪いことをしたわ。
あとは、あれ。楓ちゃんが酔っ払って、大橋くんと大変なことになっちゃった騒ぎ! あれはひどかったわ。あのふたりのせいで、新條くんはまたもや勃起を余儀なくされ、あたしは楓ちゃんのなけなしの貞操を守るために、胸を押しつけてまで新條くんの目を塞いであげたんだから! あげく、ふたりの卑猥な汁で新條くんのシーツを汚して、あたしなんて大橋くんのを、あわや素手でキャッチするところだったんだから! そう、あれだって新條くんには悪いことをしたけど、もとはといえば楓ちゃんと大橋くんのせいだし。そのせいでもうあたしもおかしくなっちゃって、楓ちゃんと新條くんと医局で3Pしちゃうなんて恐ろしい妄想を……ああ、違う、あれは妄想じゃなくて夢だった! 医局で3Pじゃなくて、医局でそんなやらしい夢を見ちゃって、それでアソコが濡れちゃったのを、岡林くんに気づかれて……そう、それからは散々だったわ!
どこをどうとっても、新條くんがあたしを好きになる要素なんてない。……あ、でもちょっと待って。仕事してるあたしを、好きになったのかな? 白衣マジックってやつ。……それも、ないか。新條くん、自分でいってたものね。1回目はフニャチンを触られて、2回目はお尻の穴に指を突っ込まれて、そんなんで好きになるわけない。……やっぱり、吊り橋効果なんだ。3回目に、あたしが新條くんの命の危機を救ってあげたから。それで、好きになっちゃったのね。だったら、1回デートして、思ってたのと違うって気づいたら、冷めてくれるかもしれない。
あたしは自分にそういい聞かせた。……本当は、デートなんてしたくない。別に、新條くんが嫌なわけじゃない。むしろ、どちらかというと好き。真面目だし、優しいし、可愛いし。ただ、デートをするわけには……。そんな長時間、ひとりの男の人とずっと一緒にいたら……絶対、妄想が炸裂する! 新條くんに、バレないわけがない! 今まで何とかがんばって、現実と妄想の区別をつけてきたけど、デートの途中で、うっかり混ざっちゃうかもしれない。それが新條くんにバレたら――考えただけで、恐ろしい。ただのお隣さんじゃなくて、あたしの仕事中の姿を知ってる患者さんなのよ。そんな人に、あたしが実は妄想変態女だなんて知れたら、もう引っ越して職場も変えなきゃいけなくなるかもしれない!
「ああ……今から、新條くんで妄想しない訓練、しとかなきゃ……」
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でも。
自分からいい出したからには、やり切って見せるわ。がんばって、この危機を乗り切って見せる……!
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