妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

文字の大きさ
上 下
259 / 309
障害編

56話【off duty】戸野倉 凛太郎:アトリエ(藍原編)②

しおりを挟む
 林さんはおもむろに丸椅子に腰を下ろすと、ワゴンに乗った筆を手に取った。背中を丸め、細い膝に頬杖をついて、そのままじっとあたしを見つめる。それからは瞬きもせず、ただじっと、深い色を湛えた瞳であたしから目を離さなかった。

「さあ、香織さん。あなたの中に眠る真実を、林先生に、見せて差し上げてください」

 凛太郎くんが耳元で囁いて、そのまま耳の裏を舐め上げる。

「ひゃあ……っ」

 彫刻のように美しい凛太郎くんには不釣り合いな、温かくてざらついた舌だ。その動きはとても繊細で、あたしの感じる部分をゆっくりと探し出すように、丁寧に丁寧に首筋を這う。ねっとりと舌全体で舐め上げたかと思うと、舌先を硬く尖らせてつつっと動く。生き物のようなその感触に、あたしは声を止めることができなかった。

「あっ、ダメ、やめ……ああっ、ん、ふ………ッ」
「そうです、香織さん。そのまま、身を委ねて……」

 凛太郎くんの指先が、スリップの上からあたしの両方の乳首を捻った。途端に体が跳ねあがる。

「あああっ!」

 薄くてつるつるの生地を間に挟んでもたらされる刺激は、直接触れられるよりも鋭くあたしの快楽の中枢に届いた。みるみる反応してふたつの乳首が頭をもたげ、ねだるようにぷっくりと膨らむ。凛太郎くんの細い指先はそれに応えるように、摘まんだり引っ掻いたり優しく撫でたり、絶え間なくあたしをいじり続けて、あたしはもう、堪えることができずにビクビクと体を揺らした。

「あっ、やっ、はあっ、んう、ダメっ、あああっ!」

 強い刺激に身悶えてるうちに、スリップがずり上がって足のつけ根までを完全に露出させる。見られてるとわかっていても勝手に跳ねる体は止められなくて、あたしはいつの間にか膝を折り曲げ、無意識に内股になった両足の隙間から、濡れて色の変わった下着を林さんに曝すことになった。あたしを見つめる林さんの目が、すうっと細くなった。

「ああ、いいですねえ……。あなたの体は、実に素直だ。わかりますか。素直というのはつまり、純粋ということだ。あなたの心はとても清らかで、そしてあなたの体も、性に対してこんなにも純粋だ。純潔とエロスとは、共存するのですよ……」

 まるで、林さんの意志と連動するかのように、凛太郎くんの右手があたしの下半身に伸びた。腕を縛られ、避けることもできずに、濡れ始めたあたしの秘部が彼の指先を受け止める。すでに大きく膨らんだあたしの敏感な突起は、絹越しに愛撫を受けて、痺れるほどの快感にのたうつ。

「あああっ! やあっ、ダメっ、お願いっ、あっ、そこは……っ!」

 自由のきかない体を魚のようにびくつかせて、あたしは悲鳴をあげた。こんな異常な状況なのに、あたしの体は完全にコントロールを逸脱して、極みを目指して快楽の階段を駆け上がる。縛られた腕、林さんの視線、凛太郎くんの指先。そのすべてがあたしを混乱させ、そして突き動かす。

「香織さん、きれいですよ……。そのまま、すべての衝動を解き放つのです」

 凛太郎くんの優しい声が脳内に響き、あたしはガクガクと体を揺らした。

「ああっ、だめ、あ、あ――」

 堪えようもないほどの性の衝動が体の奥のほうから噴き出して、それが一気に全身を満たした。

「っあ、ああっ、あああ――ッ!!」

 凛太郎くんに後ろから抱きかかえられたまま、あたしは絶頂に達した。林さんに、その姿を曝して。スリップ越しでもわかる、勃ち上がった乳首と、色が変わるほど濡れた下着を、惜しげもなく曝して。

「あ……はぁ……っ」

 肩で息をしながら、半ば絶望にも似た気持ちで脱力する。視界の隅で、林さんが筆を動かし始めるのが見えた。ぐったりともたれた凛太郎くんの胸から聞こえる鼓動は、冷めたほど落ち着いていて。

「……凛太郎くん。脱いで」

 冷静な林さんの指示で、凛太郎くんがまとっていた衣服を脱ぎ始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おっぱい編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート詰め合わせ♡

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

処理中です...