妄想女医・藍原香織の診察室

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障害編

32話【hot spring travel】新條 浩平 21歳:「間違えました」(藍原編)①

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『ねえ先生。俺、我慢できない……』
『ダメよ、大橋くんも楓ちゃんもいるんだから。目を覚ましたら大変』
『大丈夫だよ、声出さなければ』
『そんな、声出さないなんて、できな――ンンッ』
『先生、声、我慢して?』
『だから、あ……っ、無理だってば……っ』

 モソモソ、モソモソ。

 体の芯が熱くなるような疼くような不思議な感覚で、ゆっくりと目が覚めた。あたりは真っ暗だ。あたし、いつの間に寝てたんだろう? もう夜中だ、楓ちゃんたちもみんな寝てるみたい。
 ……何だか、内股が、熱をもったようにもじもじする。いやらしい夢を見てたからかしら――あれ……

 モソモソ、モソモソ。

 胸元までかぶった布団の中で、下のほうが何やら蠢いてる。夢うつつだった感覚がだんだん戻ってきて、やっと気がついた。――あたしの足元に、誰かいる! それで、寝相が悪かったのか、あたしの足は両方とも開いて、膝を立てる形になってて――

「んあ……っ!」

 突然、股の中心から鋭い電流のような快感が走って、あたしは声を漏らした。温かくて大きな手のひらがあたしの両の太ももを押し開いて、下着の上からあたしの突起を何か生温かいものがつついたのだ。股に湿った息遣いを感じて、それが硬く尖らせた舌先だということがわかった。新條くんが、我慢できなくてこっそり潜り込んできたんだわ!

「だ、ダメよ、ここではダメ……!」

 そっと布団をめくって中に小声で訴えたけど、新條くんはやめてくれない。ざらざらとした舌を、今度は内腿に這わせて、丁寧に舐めていく。あたしは思わず下半身を震わせた。

「んん……ッ、はっ、ダメ、ねぇ……」

 布団の上から頭を押しのけようとすると、今度は足を広げていた左手が外れて、さっき舌でつついたあたしの敏感な突起を、指の腹でくりっと潰された。

「ひあっ……!」

 びくんと腰が揺れて、思わず足を閉じる。新條くんは、あたしに頭を挟まれたまま、執拗にあたしの突起をぐりぐりと舐り続けて、あたしは悶えるように体を捻りながら、漏れ出る声を堪えた。

「ああっ、んッ、ふ、んく……ッ、はぁ、ダメ、あっ、も……」

 声は堪えても、感じる体は正直で、あたしの中からみるみる生温かい愛液が溢れ出す。それが下着を濡らし始めると、新條くんのもう一方の手が、下着の上からそっと割れ目をなぞり始めた。

「あん……ッ、あ、い……」

 新條くんの頭を股間に押しつけたくなる衝動を何とか堪える。ダメ、キモチよすぎて、これ以上されたら、もう我慢できない。そうなる前に、何とかやめないと――

「ね、ダメだってば、新條くん……ッ」

 布団を持ち上げて囁く。股間に顔をうずめていた新條くんが、ぱっと顔をあげた。あれ? 何だか様子がおかしい。暗くてよく見えないけど、新條くんが体を起こして――あれ……? あれれ?

「……!」

 布団がずり落ちて、顔を出したのは――新條くんじゃなくて、大橋くんだった!

「きゃああああッ!?」

 悲鳴をあげそうになるのを、慌てて両手で押さえる。う、嘘でしょっ、今の全部、お、大橋くんだったの!?

「まっ、間違えましたっっ!!」

 大橋くんがズザッと飛びずさって小声で叫んだ。

「せっ、先生だったの!? す、すんませんホントに! 俺てっきり楓さんだと思ってッ! うわぁ、やっちまった、ごめん先生、今の忘れてッ!!」

 あたしの反応も待たずに、大橋くんはそそくさと隣の布団へ移動していった。あたしはまだドキドキとパニックが収まらず、茫然。
 しばらくしてから、横の布団で物音がし始めた。

 モソモソ、モソモソ。

 ……。

「んん……」

 モソモソ。

「ん、ふ……」

 モソ。……くちゅ。

「あん……」

 !! う、嘘でしょ。今度こそ、大橋くんと楓ちゃんよね!? ちょっと大橋くん、立ち直りが早くない!? あたしはこんなにダメージ食らってるというのに、あなた、まったくめげないのね!? し、しかも、あたしが起きてるのわかってるのに、この堂々っぷりたるや……!
 半ば感心しながらも、逃げ場のない10畳一間で、中途半端にアソコをいじられた挙句、こんな卑猥な音を聞かされて……。

「……」

 ……ムラムラ、しないわけがない。
 妙なドキドキが収まらないまま、あたしはちらり、と反対の布団を見やる。……新條くんが、穏やかな寝息を立ててる。腰まで布団をかぶって、片足は外にはみ出てる。浴衣の胸元は微妙にはだけてて……薄めの胸板が、少しだけ覗いてる。

 ごくり。

 生唾を飲み込む。
 ドキドキしながら、静かに、新條くんのそばに近寄ってみた。後ろからは、まだ大橋くんたちの物音が聞こえる。楓ちゃん、起きてるのかしら……? よくわからない。

 暗がりの中、新條くんの顔を覗き込んでみた。爆睡してる。
 ちょっと迷ったあと、そっと新條くんの唇にキスしてみた。

 ちゅっ。

 軽く触れるだけ。新條くん、全然起きない。もう一度、今度はちょっと強めに唇を押しつけてみた。

 んちゅ。

 新條くんの唇、弾力がある。でもまだ、起きないみたい。
 あたしは恐る恐る、新條くんの浴衣の胸元に手を伸ばした。そっと広げると、新條くんの胸があらわになる。ゆっくり上下する胸板の上に、ふたつの小さな乳首が見える。控えめに飛び出したその突起が可愛くて可愛くて仕方なくて、あたしは吸い寄られるように、そこへ顔を近づけた。
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