妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

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障害編

23話【daily work】西園寺 すみれ:忠告(藍原編)

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 いつものように出勤して医局に入ると、西園寺先生の目がきらりと光った。

「藍原さん。その様子じゃ、悩みは解決したみたいね?」
「えっ、あ、わかります!? あの、お世話になりました! 先生のいうとおりでした!」
「あら、いうとおりだった? うふふ、やっぱりね……」
「え? 何がやっぱりなんですか?」
「いいえ、何でもないのよ。……ということは、あなた、数学オタクのほうを選んだわけ?」
「あ、えっと、そういうことになりますね……」

 数学オタクっていい方がちょっと気になるけど、まあ、おおむね間違ってはいないわね。
 すると、西園寺先生が近寄ってきてあたしの耳元で囁いた。

「……忠告してあげる。今の彼と長く付き合いたいなら、彼氏のこと、戸叶さんにはいわないほうがいいわよ」
「え? どうしてですか?」

 突然梨沙ちゃんの名前が出てきてびっくりする。西園寺先生は意味ありげにウインクした。

「酔っぱらって彼氏にキスでもされたらイヤでしょ?」
「確かに梨沙ちゃん、キス魔ですけど……でも、大丈夫じゃないですか? 今、好きな人いるみたいだし」

 そうよ。梨沙ちゃんは今神沢先輩に惹かれていて、先輩だってまんざらじゃないんだから。

「好きな人? 戸叶さんに?」

 西園寺先生は目を丸くして、すぐに鼻で笑い飛ばした。

「……あれは長続きしないわよ」
「え? どうしてそう思うんですか?」
「私を誰だと思ってるの」

 ……答えになってないような。

「とにかく私は忠告したからね。さ、仕事しなさい」

 何だか妙に引っかかるものを感じながら、病棟へ向かう。すでに梨沙ちゃんがいた。……梨沙ちゃん、あのあとどうしたのかしら? 先輩と、うまく行ったのかしら……。

「おはよう、梨沙ちゃん」
「……おはようございます」

 あら。ご機嫌斜め。……うまく、行かなかったのかな……。西園寺先生の予言が当たるのかしら。……だめだめ、今は仕事に集中しなきゃ。
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