妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

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迷走編

10話【off duty】大橋 潤也 21歳:ダーツバー(大橋編)

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「いやあ~、やっぱり持つべきはいい先輩だね~」
「あんた、こないだまでと全然いってること違うじゃん」
「え~、だって、小山内先輩が藍原先生をデートに誘わなければ、俺、こうして楓さんと会えてなかったわけでしょ?」
「あいかわらず調子いいわね」

 目の前の楓さんが呆れ顔で俺を見てる。でも、いい感じにアルコールが入ってほろ酔いの俺は、そんなのも全然気にならない。いつもの楓さんと比べたら、むしろ優しいくらいだ。

「楓さん、ダーツしたことあったの?」
「ん~、ちょっとね」
「なんだ、俺、楓さんの後ろから抱きついて、手取り足取り教えてあげたかったのにな~」
「あんた、エロいことしか考えてないよね」
「へへ、楓さん限定でねっ」

 俺たちは四人でダーツバーというやつに来てる。俺はカウンターでお酒を飲みながら、楓さんとまったり中。藍原先生は、先輩とダーツしてる。……あ、ほら、先輩だって、藍原先生の後ろから腕とか持って投げ方教えてる。さりげなく左手を先生のお腹に回してさ、もう下心見え見えだっつの。

「ほらほら楓さん、俺らもあんなふうにやろうよ。見てよあれ、絶対先生にチンコ押しつけてるよな。……あ、腕がさりげなくおっぱいの下のほうまさぐってる。あのふたり、今日こそヤッちゃ――」

 バキッ。

「って! 何だよ、何か変なこといった?」
「あんた、いちいちいい方が下品なのよ」

 楓さん、相変わらず暴力的だなあ。下品とかいうけどさあ、男なんてみんなこんなもんだよ。それにさ、楓さんだって、俺とヤるときはあられもなく喘いで、人のこといえないでしょ。……て内心思ってるけど、絶対いわない。いったら二度とセックスしてくれなくなるかもしれないから。俺は小山内先輩みたいにイケメンでもマッチョでもないからさ、そんな俺が楓さんみたいな可愛い子とヤレるのはもう奇跡みたいなもんで。だから、この関係は大事にしないと。

「ほら楓さん、グラスが空だよ。次何にする?」

 とりあえずどんどん飲ませる。楓さん、酒入らないと俺とヤッてくれないから。

「ん~、じゃあカシスオレンジ」

 よしよし、この調子。楓さん、いっぱい飲んで気持ちよくなっちゃって。
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