21 / 39
ボスを目指して
次の村へ出発
しおりを挟む
最初は戸惑っていたあつしも、今はゾーイと楽しそうに話し、食事に舌鼓をうっていた。
センタと凪沙も、給仕に着いた村の娘が取り分けてくれる料理をセンタが凪沙の口に入れてやり、また凪沙が箸でセンタに食べさせてやっていた。
その間にも村人は楽器を演奏し舞い踊り、村に訪れた平和を喜んでいた。
「なぁ、凪沙さん」
「なぁに?」
「この食事ってさぁ、いつお腹がふくれるんやろ?」
「さぁ?確かにずっと食べてるけど全然お腹いっぱいにならないわねぇ。でも、美味しいものがずっと食べられるんだからいいじゃん」
凪沙はそう言いながら食べ続けている。
センタはもう充分食べたと思った。
そう思うと急にお腹がふくれた気がしてきた。
その時、村長が宴席の中央に立った。
「さぁ、皆の衆。宴のフィナーレじゃ。救世主さまを送らねばならん。みんな、集まるが良いぞ。ささ、救世主さま、こちらへ」
そう言うと、村人は村長の周りに集まり、センタとあつしと凪沙の三人は村長のそばに寄った。
村長は、腰の高さまである小さなテーブルの上に、ボスが落とした二つのものを置いた。
「さぁ、いきますぞ」
村長はそう言い、四角い箱のくぼみにもう一個のものをはめ込んだ。
皆はかたずを飲んで箱を見つめた。
箱は、はめ込まれた物のまわりが円形に半周回転し、真ん中から左右に別れて丸いくぼみが出来ると、中から半円の球体がせり上がってきた。
そして、球体は輝き、虹色のまばゆい光を出してサーチライトのように大きく空を照らした。
虹色に照らされた雲がザワザワと騒ぎ、その中から金色の龍が三匹、最初は小さく、そしてだんだんと大きくなり、絡み合うように、また舞う様に空を泳ぎだした。
皆はその美しい光景に見とれた。
三匹の龍は、遊ぶ様に戯れながら、やがて寄り添い、回転し、球体となって地上の広場に降りてくると消えた。
そして、そのあとの空間には丸くゲートが現れていた。
ゲートの向こうには、鬱蒼とした森に囲まれた村が見えていた。
「あれが次の村ですじゃ。あなたがたのお陰でこの村も平和になりました。サエも喜んでおりましょう」
村長はそう言って、センタとあつし、凪沙、三人を見て
「どうか、魔王を倒してこの世界を平和に導いてくだされ」
と言った。
そして、センタと凪沙の手を取り
「どうかお二人で、サエの分まで幸せになってくだされ」
村長は涙ぐみ、センタと凪沙は神妙な面持ちで村長の言葉を聞いていた。
あつしは、ゾーイとの別れを惜しんでいた。
二人は抱き合い、見つめ合ったあと、長いキスを交わした。
「さぁ、次の村で皆待っております」
三人は、村長と村人たちに見送られて、そしてあつしはゾーイとの別れを惜しみながら、ゲートをくぐっていった。
センタと凪沙も、給仕に着いた村の娘が取り分けてくれる料理をセンタが凪沙の口に入れてやり、また凪沙が箸でセンタに食べさせてやっていた。
その間にも村人は楽器を演奏し舞い踊り、村に訪れた平和を喜んでいた。
「なぁ、凪沙さん」
「なぁに?」
「この食事ってさぁ、いつお腹がふくれるんやろ?」
「さぁ?確かにずっと食べてるけど全然お腹いっぱいにならないわねぇ。でも、美味しいものがずっと食べられるんだからいいじゃん」
凪沙はそう言いながら食べ続けている。
センタはもう充分食べたと思った。
そう思うと急にお腹がふくれた気がしてきた。
その時、村長が宴席の中央に立った。
「さぁ、皆の衆。宴のフィナーレじゃ。救世主さまを送らねばならん。みんな、集まるが良いぞ。ささ、救世主さま、こちらへ」
そう言うと、村人は村長の周りに集まり、センタとあつしと凪沙の三人は村長のそばに寄った。
村長は、腰の高さまである小さなテーブルの上に、ボスが落とした二つのものを置いた。
「さぁ、いきますぞ」
村長はそう言い、四角い箱のくぼみにもう一個のものをはめ込んだ。
皆はかたずを飲んで箱を見つめた。
箱は、はめ込まれた物のまわりが円形に半周回転し、真ん中から左右に別れて丸いくぼみが出来ると、中から半円の球体がせり上がってきた。
そして、球体は輝き、虹色のまばゆい光を出してサーチライトのように大きく空を照らした。
虹色に照らされた雲がザワザワと騒ぎ、その中から金色の龍が三匹、最初は小さく、そしてだんだんと大きくなり、絡み合うように、また舞う様に空を泳ぎだした。
皆はその美しい光景に見とれた。
三匹の龍は、遊ぶ様に戯れながら、やがて寄り添い、回転し、球体となって地上の広場に降りてくると消えた。
そして、そのあとの空間には丸くゲートが現れていた。
ゲートの向こうには、鬱蒼とした森に囲まれた村が見えていた。
「あれが次の村ですじゃ。あなたがたのお陰でこの村も平和になりました。サエも喜んでおりましょう」
村長はそう言って、センタとあつし、凪沙、三人を見て
「どうか、魔王を倒してこの世界を平和に導いてくだされ」
と言った。
そして、センタと凪沙の手を取り
「どうかお二人で、サエの分まで幸せになってくだされ」
村長は涙ぐみ、センタと凪沙は神妙な面持ちで村長の言葉を聞いていた。
あつしは、ゾーイとの別れを惜しんでいた。
二人は抱き合い、見つめ合ったあと、長いキスを交わした。
「さぁ、次の村で皆待っております」
三人は、村長と村人たちに見送られて、そしてあつしはゾーイとの別れを惜しみながら、ゲートをくぐっていった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?
ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。
しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。
しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる