紫音の少女

柊 潤一

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慶祝客2

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 その次の日にはゴダール国のカガリ国王と、マリー妃がやって来た。

「ゼルダ様、御即位おめでとうございます。また紫音様とのご結婚おめでとうございます」

 カガリ国王は妻のマリーと共に祝の言葉を述べた。

「遠いところをわざわざお越しいただき、丁寧なご挨拶恐れ入ります。お妃様もお元気なご様子で何よりです」

「はい、お陰様で。あの節は紫音様にほんとうにお世話になりました」

「その後、いかがですか?」

 紫音がマリーに聞いた。

「はい。順調に回復しております。この頃はようやくこうやって長旅もできるようになりました」

「それはようございました。せっかくですから、お体のご様子を見ておきましょう」

「ありがとうございます。是非お願い致します」

「国王様、ちょっと行ってまいりますね」

 紫音はゼルダにそう言ってマリーと一緒に別室へ行った。

「ところでゼルダ様お願いがあるのですが」

「何ですかな。あらたまって・・・」

「どうか、我が国と友好条約を結んではいただけないでしょうか。この先貴国とは親密な関係を築いていきたいと思っております」

「おお、それは私も望むところです。実は昨日もも・・・」

 ゼルダはそう言ってノルディ国との昨日の経緯を話した。

「なるほどそうですか」

 カガリはノルディ国ほどの大国が友好条約の話を持ち出した事に驚きはしたが納得もした。

 彼もノルディ国のアーネル国王同様、目の前にいるゼルダ国王が、妻の治療の時とは別人の様に貫禄と凄みを持っているのを見たからだった。

「日取りを決めてノルディ国と共に締結しましょう」

 ゼルダがそう言った時、紫音とマリーがにこやかな顔で戻ってきた。

「紫音や、お妃様の具合はどうであった?」

「ええ、治療したところも元通りになられて、他に悪いところもありませんでしたわ」

 それは良かったと、ゼルダ共々四人は喜びあった。

 そのあとカガリ国王とマリー妃は、宿泊のための部屋に案内された。

 夜になり、二人は晩餐の接待を受けて、翌日の朝早くに帰っていった。

 カガリ国王とマリー妃が帰った日の昼に、今度はファルアーク国のエルフォード国王とレオン王子がやってきた。

 彼らもまた、友好条約の締結を言ってきた。

 ゼルダにとっての友好条約は言葉通りに親密な国の関係を作るためのものだったが、他の国にとってそれは自衛のためのものでもあった。

 このあと良き日を選び、イシュタル、ノルディ、ゴダール、ファルアークの四国が友好条約を結ぶこととなる。
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