紫音の少女

柊 潤一

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城に招かれる2

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 翌朝ゼルダ王子は、お共の者と紫音の家へと向かう準備をしていた。

「紫音と申す者の家は遠いのか?」

「いえ、広場から西へ入ってすぐのところでございます」

「そうか。では歩いていこうか」

 ゼルダ王子とお共の者は、城の門をくぐり広場へと向かって行った。

「戦争の最中でも、町は活気付いているな」

「これもひとえにハシバ国王の徳政の賜物かと存じ上げます」

「うむ、父上はお優しい方だからな。しかし自国の者には良いが、敵国に対してはもう少し強く出ても良いのではないかと思う」

「王様には王様のお考えがあるかと存じますが・・」

「そうでもあろうが・・所で紫音と申すものは一人で住んでいるのか?」

「いえ、シュリ婆と申す者の孫の家がございまして、そこへシュリ婆共々、世話になっておるようでございます」

「シュリ婆といえば・・・怪我をした街の者を戦場から助け出したというあのシュリ婆か?」

「左様で。ゼルダ様もご存知でしたか」

「知っている。噂になっていたからな」

「かなり気が強いとの評判でございます」

「シュリ婆とはどういう関係なのだ?」

「台帳によりますれば、遠い親戚という事になっております」

「なんでも、両親が亡くなったのでシュリ婆を頼って来たとか・・・」 

 その頃紫音は、皆で朝食を済ませエリカの夫が仕事に出かけた後、シュリ婆と今日の打ち合わせをしていた。

「今日は午前中が3人と午後からが5人じゃな」

 シュリ婆は8人の症状が書かれた紙を紫音に渡しながら言った。

「しかし、お前様も元気じゃな。毎日毎日で疲れはせんかえ?」

「私は色んな所からエネルギーを貰うから大丈夫よ。それよりお婆さんはどうなの?無理したらだめよ」

 その時誰かが表で戸を叩く音がしてシュリ婆が応対に行き、しばらくして二人の男を連れて戻ってきた。

「紫音や、お前様にお客様じゃぞえ」

 そして、挨拶をしにシュリ婆の前に出たゼルダ王子を見て紫音は、あっ・・・と言って絶句してしまった 
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