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「なぁー聞いてるー?」
ぼーっと思考をとばしていた俺をセルジオが突っついた。
「あー聞いてる聞いてる。んー、会いたい人、か」
会いたい人ねー。俺が今会いたいのは…ぼんやりと思考を巡らす。と、一瞬である人が脳裏に浮かんだ。それは、ニコラだった。その事実に思わず固まる。
俺が会いたいのはニコラ…!?
急に固まった俺を不審に思ったのだろう。セルジオが顔をのぞき込んできた。そして驚いたように一瞬目を丸くしてからにやっと笑う。
「っなんだよ」
「いやーお前にもちゃんとそういう相手がいるんじゃねーか」
セルジオは依然としてにやにやしている。
「そういう相手?会いたい人ってことか?」
「そうそう。会いたくてそんで、好きな人」
好きな、人!?セルジオの言葉に俺は焦った。
「は、ちょ、なんだよ好きな人って!なんでそんな」
一人あわあわとする俺を面白そうににやにや見つめるセルジオ。
「だってお前、顔真っ赤だぜ」
思わずばっと頬に両手を当てる。その動きにセルジオがぶはっと吹き出した。
「なんだそれ!面白すぎってかかわいすぎだろ!」
またかわいいと言われている上に盛大に笑われているけれど俺はそれどころではなかった。
え、ちょ、俺がニコラを好き!?いや、そんな訳ないし!俺がニコラを好きとかそんな!心臓がばくばく音をたてる。ふっとニコラの顔が頭に浮かんでくる。笑った顔、吹き出した顔、焦った顔、優しく微笑む顔…そして最後に会ったときの甘い顔を思い出してぼんっと思考がショートした。
へにゃへにゃと机に倒れ込む。俺は…ニコラが好き、なのか。
「お、どうしたー?」
ゲラゲラ笑っていたセルジオが突っ伏した俺に声をかけてくる。
「…セルジオ、俺、好きな人いる」
声に出して言うと、もう駄目だった。あぁ、俺ニコラのこと好きだったんだな。思い返せばニコラにどきっとしたことなんかいくらでもある。なんて鈍感なんだよ俺。自分のことくらい気付けよ馬鹿。
「ほぉー?で、誰だ?」
セルジオが聞いてくる。声でにやにやしているのがわかる。
「lumeっていうパブの人で…」
そこまで言って言葉を切った。lumeっていうパブの人で…男。セルジオは俺がやっぱり男を好きだって知って気持ち悪いとか思わないだろうか。いや、そんなことを思うこと自体セルジオに失礼だ。セルジオは俺の気持ちを知ってその上でずっと一緒にいてくれて今も友達してくれてる人だ。
「パブの人で?」
セルジオが言葉の続きを促してくる。
「そんで、男」
「そうか」
「うん」
少し緊張して隣にいるセルジオをうかがう。
「いいじゃん」
セルジオはいつものように笑顔だった。
「お前かわいいからなー。彼氏がいるぐらいでちょうどいいぞ。ってか安心」
「安心ってなんだよ!ってかかわいくないし」
「あーはいはい」
にやっと笑いながらからかうように言うセルジオ。セルジオが男が好きとか気持ち悪い、なんて言うはずないとわかっていたけれどやっぱり少し安心した。
ぼーっと思考をとばしていた俺をセルジオが突っついた。
「あー聞いてる聞いてる。んー、会いたい人、か」
会いたい人ねー。俺が今会いたいのは…ぼんやりと思考を巡らす。と、一瞬である人が脳裏に浮かんだ。それは、ニコラだった。その事実に思わず固まる。
俺が会いたいのはニコラ…!?
急に固まった俺を不審に思ったのだろう。セルジオが顔をのぞき込んできた。そして驚いたように一瞬目を丸くしてからにやっと笑う。
「っなんだよ」
「いやーお前にもちゃんとそういう相手がいるんじゃねーか」
セルジオは依然としてにやにやしている。
「そういう相手?会いたい人ってことか?」
「そうそう。会いたくてそんで、好きな人」
好きな、人!?セルジオの言葉に俺は焦った。
「は、ちょ、なんだよ好きな人って!なんでそんな」
一人あわあわとする俺を面白そうににやにや見つめるセルジオ。
「だってお前、顔真っ赤だぜ」
思わずばっと頬に両手を当てる。その動きにセルジオがぶはっと吹き出した。
「なんだそれ!面白すぎってかかわいすぎだろ!」
またかわいいと言われている上に盛大に笑われているけれど俺はそれどころではなかった。
え、ちょ、俺がニコラを好き!?いや、そんな訳ないし!俺がニコラを好きとかそんな!心臓がばくばく音をたてる。ふっとニコラの顔が頭に浮かんでくる。笑った顔、吹き出した顔、焦った顔、優しく微笑む顔…そして最後に会ったときの甘い顔を思い出してぼんっと思考がショートした。
へにゃへにゃと机に倒れ込む。俺は…ニコラが好き、なのか。
「お、どうしたー?」
ゲラゲラ笑っていたセルジオが突っ伏した俺に声をかけてくる。
「…セルジオ、俺、好きな人いる」
声に出して言うと、もう駄目だった。あぁ、俺ニコラのこと好きだったんだな。思い返せばニコラにどきっとしたことなんかいくらでもある。なんて鈍感なんだよ俺。自分のことくらい気付けよ馬鹿。
「ほぉー?で、誰だ?」
セルジオが聞いてくる。声でにやにやしているのがわかる。
「lumeっていうパブの人で…」
そこまで言って言葉を切った。lumeっていうパブの人で…男。セルジオは俺がやっぱり男を好きだって知って気持ち悪いとか思わないだろうか。いや、そんなことを思うこと自体セルジオに失礼だ。セルジオは俺の気持ちを知ってその上でずっと一緒にいてくれて今も友達してくれてる人だ。
「パブの人で?」
セルジオが言葉の続きを促してくる。
「そんで、男」
「そうか」
「うん」
少し緊張して隣にいるセルジオをうかがう。
「いいじゃん」
セルジオはいつものように笑顔だった。
「お前かわいいからなー。彼氏がいるぐらいでちょうどいいぞ。ってか安心」
「安心ってなんだよ!ってかかわいくないし」
「あーはいはい」
にやっと笑いながらからかうように言うセルジオ。セルジオが男が好きとか気持ち悪い、なんて言うはずないとわかっていたけれどやっぱり少し安心した。
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