8 / 41
8
しおりを挟む
そのまま暫くシグさんを見守っていると、うーとかあー、とか呻きながら起き上がってきた。どうやら軽く復活してくれたらしい。
「…待てよ。これでお前がもし幻獣だったら万事解決じゃないか。高位の幻獣は言葉を話すというし…」
…ゲンジュウ?なんだろう
「リツカ、お前幻獣なのか?」
シグさんに問われるも分からないので首を傾げておく。
「そうだな…‘はい’なら尻尾を1度、‘いいえ’なら2度振ってくれ」
それは分かるので尻尾を1度振る。それを見てシグさんは満足そうに頷いた。
「よし。通じたな。なら、お前は幻獣か?」
だからそれは分からないんだって‼
どうしようもないので尻尾をぱたぱたと何度も振った。
「あぁ?お前理解できんのかできないのかどっちだよ!」
「にゃー!(怒られても困るよ!)」
仕方がないのでまた書類から文字を探すことにした。
必死に一文字ずつ探す私を見てシグさんが
「ちょっと待ってろ」
と言い、傍にあった白紙に大きく字を書き始めた。表のようにして一文字ずつ丁寧に書いていく。どうやら五十音表のようなものを作ってくれているらしい。
「できたぞ、ほら」
と机の上に広げてくれたその紙には私が前足で十分押さえて示すことができるくらいの大きさの文字が並んでいる。
「にゃあ!(ありがとう!)」
と返事してから私は早速それを使って言葉を伝える。
「わ、か、ら、な、い?自分が幻獣かどうかだということがか?」
尻尾を1度振る。
「げ、ん、じ、ゅ、う、と、は、な、に…は?お前幻獣が何かもわからないっていうのか?」
また尻尾を1度振る。
「はぁー…お前ほんとに何なんだ?」
シグさんは頭を抱えてしまった。
「…いいか、この世には人間と普通の動物の他に魔獣と幻獣という2つの生き物がいる。一般的に魔獣は人間を襲い、幻獣は人を加護するものだと言われている。 」
どうやら説明してくれるようだ。私はふんふんと頷きながら話を聞く。
「魔獣と幻獣は個体にもよるが大きな魔力をもつ」
あ、ちょっとストップ!その魔力って何だ?私の想像通りだとハリー・○ッターとかになるんですけど…
私は慌てて表で文字を示す。
「ん?なんだ?…魔力って?だと!?まさかそこからか!」
シグさんが驚愕に目を見開いている。
どうもすみません。この世界初心者なんですよ…
「はぁー、…魔力っていうのは基本的にもつ力だ。誰にでもある。保有量は個人差があるがな。俺達はそれを使って生活したり仕事をしたりするんだ。つっても仕事にできるやつってのは一握りだ。魔力はコントロールすると魔法になる。だがそのコントロールが難しい。だから食っていけるレベルにまでなるやつは少ないんだ。それに保有量が多くないと高度な魔法は使えないからな。」
「にゃー(なるほど!)」
さっきのお湯のことも聞いてみる。
「あれは魔石だ。…お前ほんとに何も知らないんだな。魔石は魔力のコントロールを助けるんだ。まあ、お湯くらいならなくても簡単にできるんだが、めんどくさいからな。子供だったりはよく使うんだ。後は料理の火を起こしたり、明かりをつけたりするのに使われることが多い」
シグさん説明ありがとうございます!
これでだいたいわかった。やっぱりこの世界は剣と魔法の世界らしい。
前の世界とはまったく違う異世界に来てしまったようだと認めざるをえなくなってしまった。
…まあ、なんか楽しそうだからいっか!
「で、話を戻すが、幻獣は大きな魔力を持つ。魔力には質がいろいろあるんだが幻獣の持つものは清浄で半端じゃなく質がいい」
シグさんの話は続く。
「ここからが本題なんだが、森の中でお前からその清浄な魔力を感じたんだ」
ん?それって…私が幻獣ってこと?
「な?びっくりするだろ?」
余程驚いた顔をしていたらしい。っていうか猫でも表情わかるんですね。
「お前みたいなちびが幻獣だとは思えないんだがなー」
「にゃー!(ちびって失礼!)」
「いって!」
鳴き声と猫パンチで抗議しておく。
すると、仕返しとばかりに頬をむにゅーと掴まれて潰れたような情けない声が出た。
「それにしてもお前は自覚ないんだよな?」
そんな自覚はまったくないので尻尾を一回振る。
「うーん、ますますわからんな」
シグさんが考え込む。わたしにもまったく訳がわからない。異世界に来たと思ったらまさかの幻獣疑惑とか、頭がついていけない。
「…待てよ。これでお前がもし幻獣だったら万事解決じゃないか。高位の幻獣は言葉を話すというし…」
…ゲンジュウ?なんだろう
「リツカ、お前幻獣なのか?」
シグさんに問われるも分からないので首を傾げておく。
「そうだな…‘はい’なら尻尾を1度、‘いいえ’なら2度振ってくれ」
それは分かるので尻尾を1度振る。それを見てシグさんは満足そうに頷いた。
「よし。通じたな。なら、お前は幻獣か?」
だからそれは分からないんだって‼
どうしようもないので尻尾をぱたぱたと何度も振った。
「あぁ?お前理解できんのかできないのかどっちだよ!」
「にゃー!(怒られても困るよ!)」
仕方がないのでまた書類から文字を探すことにした。
必死に一文字ずつ探す私を見てシグさんが
「ちょっと待ってろ」
と言い、傍にあった白紙に大きく字を書き始めた。表のようにして一文字ずつ丁寧に書いていく。どうやら五十音表のようなものを作ってくれているらしい。
「できたぞ、ほら」
と机の上に広げてくれたその紙には私が前足で十分押さえて示すことができるくらいの大きさの文字が並んでいる。
「にゃあ!(ありがとう!)」
と返事してから私は早速それを使って言葉を伝える。
「わ、か、ら、な、い?自分が幻獣かどうかだということがか?」
尻尾を1度振る。
「げ、ん、じ、ゅ、う、と、は、な、に…は?お前幻獣が何かもわからないっていうのか?」
また尻尾を1度振る。
「はぁー…お前ほんとに何なんだ?」
シグさんは頭を抱えてしまった。
「…いいか、この世には人間と普通の動物の他に魔獣と幻獣という2つの生き物がいる。一般的に魔獣は人間を襲い、幻獣は人を加護するものだと言われている。 」
どうやら説明してくれるようだ。私はふんふんと頷きながら話を聞く。
「魔獣と幻獣は個体にもよるが大きな魔力をもつ」
あ、ちょっとストップ!その魔力って何だ?私の想像通りだとハリー・○ッターとかになるんですけど…
私は慌てて表で文字を示す。
「ん?なんだ?…魔力って?だと!?まさかそこからか!」
シグさんが驚愕に目を見開いている。
どうもすみません。この世界初心者なんですよ…
「はぁー、…魔力っていうのは基本的にもつ力だ。誰にでもある。保有量は個人差があるがな。俺達はそれを使って生活したり仕事をしたりするんだ。つっても仕事にできるやつってのは一握りだ。魔力はコントロールすると魔法になる。だがそのコントロールが難しい。だから食っていけるレベルにまでなるやつは少ないんだ。それに保有量が多くないと高度な魔法は使えないからな。」
「にゃー(なるほど!)」
さっきのお湯のことも聞いてみる。
「あれは魔石だ。…お前ほんとに何も知らないんだな。魔石は魔力のコントロールを助けるんだ。まあ、お湯くらいならなくても簡単にできるんだが、めんどくさいからな。子供だったりはよく使うんだ。後は料理の火を起こしたり、明かりをつけたりするのに使われることが多い」
シグさん説明ありがとうございます!
これでだいたいわかった。やっぱりこの世界は剣と魔法の世界らしい。
前の世界とはまったく違う異世界に来てしまったようだと認めざるをえなくなってしまった。
…まあ、なんか楽しそうだからいっか!
「で、話を戻すが、幻獣は大きな魔力を持つ。魔力には質がいろいろあるんだが幻獣の持つものは清浄で半端じゃなく質がいい」
シグさんの話は続く。
「ここからが本題なんだが、森の中でお前からその清浄な魔力を感じたんだ」
ん?それって…私が幻獣ってこと?
「な?びっくりするだろ?」
余程驚いた顔をしていたらしい。っていうか猫でも表情わかるんですね。
「お前みたいなちびが幻獣だとは思えないんだがなー」
「にゃー!(ちびって失礼!)」
「いって!」
鳴き声と猫パンチで抗議しておく。
すると、仕返しとばかりに頬をむにゅーと掴まれて潰れたような情けない声が出た。
「それにしてもお前は自覚ないんだよな?」
そんな自覚はまったくないので尻尾を一回振る。
「うーん、ますますわからんな」
シグさんが考え込む。わたしにもまったく訳がわからない。異世界に来たと思ったらまさかの幻獣疑惑とか、頭がついていけない。
0
お気に入りに追加
436
あなたにおすすめの小説
[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します
シマ
恋愛
私、ハリエットには婚約者がいる。初めての顔合わせの時に暴言を吐いた婚約者のクロード様。
両親から叱られていたが、彼は反省なんてしていなかった。
その後の交流には不参加もしくは当日のキャンセル。繰り返される不誠実な態度に、もう我慢の限界です。婚約者を交代させて頂きます。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる