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2 涼香殿
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「また、兄上、あのような、その場しのぎの嘘をお付きになって、如何するおつもりですか?」
可愛い妹殿が頬を膨らませて怒っておられる。いいね!その感じ。もっと、罵《ののし》って!
「聞いておいでですか?」
「……ああ、聞いていたよ。少し、違うこと考えていたけど……」
「だから、どうするかと聞いているのです!」
手を腰に当てて怒っていただいている。なんだこれ。俺の妹、ほんと可愛い!!
「いやね、涼香《すずか》殿。あれはあれで咄嗟に出た嘘でもないのだよ」
「はあ……」
少し小首を傾げ俺を見つめる。
それも可愛い!いいよ!とってもいい!
「あれは、以前、父上が申されておいででな。それを披露したまで、二番煎じだ」
「そうでしたか……父上様が」
父上は、よく仰っておられた。
『水さえあれば、田畑が潤い救える命もあったはず。父に力がないばかりに……』
幼くして死んだ弟や妹やその他の人達、凶作で栄養が十分に取れなくて死んでいった多くの人の事だと俺は理解している。父上は死ぬ間際まで後悔を漏らされておられた。
「こうなっては、是非もない。やってみようでは無いか、父上の夢の実現を。のう、涼香殿!」
潤んだ瞳で俺を見つめる涼香殿……可愛い……父への想いなど消し飛ぶわ!!
ああ、もう我慢できん。高い高いからのグルグルだ。子供の時喜んでたよな。
華奢な妹を抱え上げグルグル回った。
「おやめくださいまし、おやめ………気持ちわるうぃ」
「あははははは」
嬉しすぎて、回し過ぎた。妹、俺の頭の上に御戻しになられる。
次回、皆の衆、水源探索へ向かうの巻き!
可愛い妹殿が頬を膨らませて怒っておられる。いいね!その感じ。もっと、罵《ののし》って!
「聞いておいでですか?」
「……ああ、聞いていたよ。少し、違うこと考えていたけど……」
「だから、どうするかと聞いているのです!」
手を腰に当てて怒っていただいている。なんだこれ。俺の妹、ほんと可愛い!!
「いやね、涼香《すずか》殿。あれはあれで咄嗟に出た嘘でもないのだよ」
「はあ……」
少し小首を傾げ俺を見つめる。
それも可愛い!いいよ!とってもいい!
「あれは、以前、父上が申されておいででな。それを披露したまで、二番煎じだ」
「そうでしたか……父上様が」
父上は、よく仰っておられた。
『水さえあれば、田畑が潤い救える命もあったはず。父に力がないばかりに……』
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ああ、もう我慢できん。高い高いからのグルグルだ。子供の時喜んでたよな。
華奢な妹を抱え上げグルグル回った。
「おやめくださいまし、おやめ………気持ちわるうぃ」
「あははははは」
嬉しすぎて、回し過ぎた。妹、俺の頭の上に御戻しになられる。
次回、皆の衆、水源探索へ向かうの巻き!
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