30 / 56
肆場 七
しおりを挟む
「あ~ははははは!出落ちか? 出落ちか。あんたら、腕上げよったなぁ~あ~はははは。猿に鎧着せとる~卑怯やろ~は~はっはは~」
屋敷につくなり静華が大爆笑している。吉右衛門は頭から血まみれ。二人は真っ黒。そして義経は裸に大鎧、顔がまっくろである。
「あんたら、ウチが知らないところで猿回し始めたんか? はははは……くくくく……ふふふあははは。だめや、ツボや。はははは……笑い死ぬ……助けて~」
静華が大きな瞳から涙を流して笑い転げて死にそうになっているところへ吉右衛門が
「こいつもここに置こうと思うんだけどいいかな?」
「あ? ウチ、犬猫近くに来るとくしゃみ止まらへんねん。サルも一緒やろ。あかんわ。嵐山にでもほかしてきぃ」
靜華は義経がひょろっとしているのと顔が猿に似ていたことでサル呼ばわりしていると思われるが、
「奥方様、どうか私をご一門にお加え願えないでしょうか?」
「あ? この猿しゃべらはるのんか?」
「猿ではございません。源九郎義経でございます」
「ほうかぁ~かんにんな。外見を笑ったらあかんな。ほな! 罪滅ぼしや。家で面倒見たるわ。もう一人も三人も変わらんもんな。とにかく汚れ落として寝なはれ、随分おっそいからな」
屋敷につくなり静華が大爆笑している。吉右衛門は頭から血まみれ。二人は真っ黒。そして義経は裸に大鎧、顔がまっくろである。
「あんたら、ウチが知らないところで猿回し始めたんか? はははは……くくくく……ふふふあははは。だめや、ツボや。はははは……笑い死ぬ……助けて~」
静華が大きな瞳から涙を流して笑い転げて死にそうになっているところへ吉右衛門が
「こいつもここに置こうと思うんだけどいいかな?」
「あ? ウチ、犬猫近くに来るとくしゃみ止まらへんねん。サルも一緒やろ。あかんわ。嵐山にでもほかしてきぃ」
靜華は義経がひょろっとしているのと顔が猿に似ていたことでサル呼ばわりしていると思われるが、
「奥方様、どうか私をご一門にお加え願えないでしょうか?」
「あ? この猿しゃべらはるのんか?」
「猿ではございません。源九郎義経でございます」
「ほうかぁ~かんにんな。外見を笑ったらあかんな。ほな! 罪滅ぼしや。家で面倒見たるわ。もう一人も三人も変わらんもんな。とにかく汚れ落として寝なはれ、随分おっそいからな」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる